脳内

金木犀の散ったあと冬の冷たさは許しに似ている
先の見えない人生のトンネルを掘り進める
カナリヤも仲間もいないまるでスペランカー
真っ当な人間にはなれずとも全うしたいこの生
あこがれの彼女の淀みない歩み
そのなかに含まれる迷いすら想像できないまま眠れない未明
望んでいない朝日と夜に置き去りにされる頃に訪れる微睡み
記憶の中で朧げな彼女の微笑み
淡い願いは言えずに今日もまた終い
情報と超高層ビルによって狭められた青空
疾走と失踪を繰り返す思想
街角で叫ぶ陰謀論見つからない希望
社会にピンボールみたいに弾かれていく私
困ったら精神論、低軌道で描かれていく人生
いつかはAIが全事象を網羅する時代
愛はどこにってこの星の上にはそんなものない
思考に捕らわれた脳内はもう溶けてしまいそう





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