フィルムコートの失敗とブックカバー考
図書館の本と、その他の本の違いって、なんだと思いますか?
ひとつには、フィルムコートがあると思っています。
カバーの上からかけられる、あのラミネート加工のおかげで、本が丈夫になり、多くの人が手にしても、ポストに投げ込まれても、タフでいられるのです。
きっと多くの図書館が採用しているだろうフィルムコートは、大事な本を守る大発明ですよね。ささっと消毒なんかもできますし、本を共用することにも、わたしは抵抗がありません。しかも図書館員さんたちは、きれいに、上手に貼れるんだなぁ、といつも感心しています。
hontoのフィルムコートサービス
そんなフィルムコートを、購入した本にもつけてくれるサービスがあることを、ご存知でしょうか。
本の通販の「honto」が展開しています。
わたしは電子書籍は昔から「honto」をよく使っていて、丸善やジュンク堂などリアル書店との連携もあって、ハイブリッドに愛用しています。
なので、このフィルムコートサービス(現在は1冊130円)も気になっていて、あるとき利用してみたのです。
結果は「やらなきゃよかった・・・」でした。
そこで学んだことを、ぜひシェアさせてください。
なぜ失敗したか
わたしがhontoでフィルムコートを頼んだのは、2015年のこと、谷川俊太郎さんの詩集『あたしとあなた』を購入したときでした。
すこぶる評判も良く、大好きな谷川さんの「愛の詩集」というから、手元に置いていつでもめくりたいな、と思ったのです。
特別な本だから、長く持っていたいから、フィルムコートすれば長持ちするのでは、という安直な気持ちでだったのですが……
届いた本を見て、一瞬で後悔しました。
写真で伝わるでしょうか。
Amazonのサイトから書籍紹介を引用すると、
そう、この本はアートディレクターの名久井直子氏が、詩集にインスピレーションを得て、紙や装丁まで凝りに凝った、特別な一冊だったのです。
……ごめんなさい、カバーの贅沢感がまるでなくなっていました。
教訓。
装丁が凝ってるものにフィルムコート、絶対ダメ。
図書館で借りたら、きっとこんな感じです。
それはそれで納得できるのですが、自分でわざわざフィルムコートしたからタチが悪い。後悔先に立たず、とはこのことでした。
封印を解く?
以来、フィルムコートは図書館の本だけでいいのではないか、というのがわたしの考えとなり、誰にも言えないまま8年も封印していました!
ここで明かせたのは、こちらのツイートの影響です。
なるほど、フィルムコートいいかも♡って、思いますよね。わたしも利用したくなりました。
ただし! 装丁を楽しむべき本には、くれぐれも気をつけて。と自戒を込めて振り返っておきたかったのでした。
たとえばこちら、装丁が素敵でしょう? 写真でも伝わると思います。
肌触りや質感が、所有の満足度を高めてくれるというものです。詩集として谷川さんの本と並んでいるのがまた、感慨深いです。
現在hontoさんのフィルムコートサービスの注意事項には、「フィルムコートサービスを利用できない書籍」として、
・雑誌
・表紙に装飾がある書籍
・「フィルムコート不可」アイコンがある書籍
とありますが、谷川さんの本も、皆川さんの本も「フィルムコート不可」は付いていません……不可にしといてほしいけれど。
フィルムコートは自己責任で、教科書とか、絵本には良いと思います!
書店のブックカバー
本を守るという意味では、書店で紙のカバーは、やっぱり付けてもらっちゃいます。いつでも外せるから、依頼して失敗することはまずありませんし、ありがたいサービスですよね。
紀伊国屋書店さん、並べてみると紙の色が違う、なにか変わったのかな?
このデザインだと分厚い方がサマになりますね。しかも中央に配置できるのが書店員さんのスキルなのかもしれません。
このデザインで、ブックカバーができるほど、ファンは多そうです。
そこで、ひとつ紀伊国屋書店さんに提案したいのは、オンライン通販で買うときでも、紙のカバーを付けてくれるサービスがあればいいのでは、ということです。
リアル書店のサービスとしての価値も分かるのですが、オンライン書店でも他店さんとの差別化になると思うのですよね。
そもそも1枚10円くらいとってもいいと思うのですが、どうでしょう?
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近ごろ、本に使われるフォントの話や、ブックデザインのことを考える機会があって、紙の本のありがたみを思います。
一方で、電子書籍やオーディオブックの便利さもあって……本っていろいろ悩ましいけど、話題が尽きないですね。
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