見出し画像

②男子!ちゃんと歌ってよ!!

合唱コンクールには人それぞれの考え方がある。
すげー楽しみな人(僕)やすげー嫌な人、真面目にやりたい人や何も考えていない人などだ。
別に合唱をやりたくて集まった人たちではないので当然やる気にバラツキが出る。



サッカーならレベル1000の選手と10の選手がいてもなんとかなりそうだが、合唱になると1000がいようが10000がいようが、10が1人いれば全体の評価が10になってしまう。
だから指揮者的にはおサボリやおちゃらけは避けていただきたいのだ。

練習中になぜか100%の魔力でキレる音楽の先生も大変だ。


ふざけ出す人、じゃれ合う人、頑なに口を開けない人(僕は脳内で「口内炎100個野郎」というあだ名をつけていた)、絶対に違う音なのに大声で歌う人(周りまで音が取れなくなる)、口を大きく開けることに全神経を注いでいる人、明らかに僕じゃなくて僕の後ろのベートーベンの絵を見ている人、いつも教室でアホウドリのように騒いでるのに合唱になるとモスキート音程度の声量になる人、僕の手ではなく目をずっっっと見る人、速攻で保健室に行く人など様々だ。


ひとつ言おう、合唱は真面目にやる人のみカッコいい。
他の行動は全て「超ダサすぎ若気の至りですか?うぃ〜すおつかれ〜行動」でしかない。


別に嫌でもいいのだ。
嫌ならさっさと歌えばいいじゃないかお前が口閉じるから練習長引いてるんだぞ。
上司に怒られるのが嫌ならさっさと最低限の仕事をして定時で上がればいいのだ。
わざとミス多めの企画書を提出するあなたは仕事好きと言わざる得ない。

僕のクラスのヤンキーは直感的にそれを理解していたので優勝できた。


だってどう見ても指揮者がいちばん変なのだ。
超大げさな動き、ぶんぶん振り回す手、大声で飛ぶ指示。
いつもの学級委員長はもうそこにいない。
合唱に取り憑かれた指揮モンスターである。


「男子!ここから!ん〜〜〜〜いいね最高!」
「アルト〜〜いいじゃんバッチリ!」
「ソプラノ!!はいキレ〜〜〜!美しい!!」


紛れもなく僕が1番合唱を楽しんでいた。
自分を起点にクラスが一つとなり、ヤンキーからも笑みがこぼれる。


吹奏楽部は別に指揮を練習する部活じゃない。
おかげで3年でやった「消えた八月」にはめちゃくちゃ苦戦した。
拍子が突然変わるし、曲が曲だけにめちゃ重い(原爆の曲)。

僕的には、あの曲は歌詞通りに暗く重く壮大に歌うより、明るく歯切れよく歌った方がいいと思っていた。
その方が怖いからだ。


中学生の未成熟な声に乗せられて

熱い光の中で 僕は一枚の絵になった熱い風の中で 

君はひとつの石像になった

と歌われたらめちゃ怖いだろう。エヴァっぽい。

でも合唱コンクールは人を怖がらせるためにあるのではない。
結局重くどっしりやった。
(もう一回やるなら明るく歯切れよく超笑顔でやりたい)
曲の理解も含めて合唱コンクールを楽しんでくれ給え。

おこがましいが、これを見ている合唱コンクール指揮者になってしまった君へ少しだけアドバイスだ。


音程が合わないクラスはまず指揮者が誰よりも大きい声で歌ってやるといい。
そしてクラスの誰よりも笑われるといい。
バカみたいに手を振って、褒めちぎり、自分の中のロマンチックを全てさらけ出すのだ。

そうそう、分かりやすいように大きく大きく手を振ってな。

あ、

鳥は僕か。


どうも。 サッと読んでクスッと笑えるようなブログを目指して書いています。