パンツを脱ぐ
パンツを脱ぐ。
いや、私が脱いだ訳ではない。
私はしっかりパンツを穿いて文章を打ち込んでいる。
将棋の用語で「パンツを脱ぐ」という言葉があるのだ。
玉(王将)の隣に置いた守り駒を自ら動かして隙を作ることで「玉がスースーする」という意味らしい。
6月26日に放送される『世にも奇妙な物語'21 夏の特別編』で『成る』という将棋を題材にしたオリジナルの脚本を書いた。
主演の又吉直樹さんのプロ棋士感がすごくてビジュアルを見た時びっくりした。
白状するが、実は将棋のルールをよく知らない。
だけど、棋士の方々を追ったドキュメンタリーを見るのが大好きだ。
撮りためたドキュメンタリー番組や対局を見返したりしながら、隙があれば将棋の勉強をした。
こちらのインタビューで又吉さんが話されている対局に近いものを私も見ている。
確か羽生さんと森内さんの対局中に記録係が2人とも眠ってしまっていたのだ。
究極の緊張状態の中にふと、2人以外誰も寄せつけない穏やかな場所へたどり着いてしまったように見えて、クスッと笑いつつもゾッとしたのを覚えている。
また、前に見た別の番組では、プロ棋士の養成期間である奨励会でなかなかプロになれず苦労している方々が、カラオケに行くと尾崎豊の『シェリー』をみんなで歌っているというエピソードがあった。
笑い話のように語っていたが、『シェリー』の歌詞を見ると彼らの切実さが垣間見えるような気がする。
この番組を時折見返しては、だらんと曲がりかけた我が背筋をしゃっきりと伸ばしている。
這い上がるために、全身全霊で一手を打つ棋士に敬意を払いながら、今日も文字を打ち込んでいる。
『世にも奇妙な物語'21 夏の特別編』は6月26日土曜日21:00からフジテレビ系で放送予定。
ちなみにタモリさんが登場するテラーパートの脚本も担当したので、そちらもぜひともお楽しみに。
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