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建築しか見ない旅 コペンハーゲン編

弾丸北欧建築旅行も大詰め。 前回でストックホルム、前々回でヘルシンキ旅行記をご紹介したが、今回その旅の最後を飾る都市。

ヘルシンキ1泊2日、
船にてヘルシンキ→ストックホルム1泊、
ストックホルム0泊。
そして最後コペンハーゲン2泊。
こんな弾丸旅行に付き合ってくれる友達もいる訳なく、カンペキなるひとり旅だ。

最初から最後までひとり海外旅は人生初めてだった。
これまでは途中まで友達と行って、最後行きたい国が分かれるとかでひとりになるってことはあった。
ひとり旅には良い面悪い面あると思う。
良い面は100%自分のペースで見たいものを自由に見られること。

腹減ってなきゃ食べなくて済むし、毎食おやつラーメンで大丈夫だし、建築のチョイスも自由。
特に自分はなるべく生で見ながらスケッチをしたいタイプなので、ひとつの建築に費やす時間が長いというクセ持ちだから。

しかしながら悪い面というか、1人じゃないから楽しめることもある。
特に食事なんてその国の文化に分かりやすく触れられる場面な訳で、建築だけ見てりゃ良いってもんでない。
酒飲んでワイワイもひとりじゃできない。現地のバーに行って地元のおっちゃんと盛り上がれるかつったら、そんなコミュニケーション能力もモチベーションも持ち合わせてない。

自ら望んでないんだけど、現地の変な気持ち悪い奴をよく吸い寄せるオーラが僕から出てるのは間違いないけども。

そして最後、コペンハーゲンに2泊3日。
コペンハーゲンには飛行機の遅れもあり、23時くらいに空港に着いた。
大学4年生のとき、このくらいの時間帯にバルセロナに着いて、一瞬で偽警察にカモられた経験の持ち主なため、少しビクつきながらホテルまで向かった。
しかしなんだろう、アブナイ空気を全く感じない。圧倒的治安。1人でも全然安心。

今回の旅で見たコペン建築は、
コペンハーゲン中央駅
コペンハーゲン市庁舎
ブラックダイアモンド
ロイヤルSASホテル
ユダヤ博物館
ルイジアナ美術館
王立プレイハウス
王立オペラハウス
クロイヤープラザ
ノルデア
エイトハウス
エイトハウス横のボコボコバルコニーの老人ホーム
国立銀行
バウスヴェア教会
計14。

知らなかった建物とか、なんだアレ!つって想定してなかった建物がちょくちょく登場する。
メインの運河沿いの建築は軒並み迫力ある。
基本的に日本との比較であれば地震ないわ、雨少ないわで、物理的にヨーロッパの方が有利。
そう行った意味での日本におけるアドバンテージはほぼ皆無と思うが、やはりキャンチの出具合、薄さはシンプルにかっちょいい。
ノルデアは本社ビルのオフィスで、クロイヤープラザは集合住宅。どちらも群で丹精に風景を作ってる。

その対岸にはブラックダイアモンド。ブラックダイアモンドは国立の図書館。
そして超観光エリアのニューハウンを超えて、もう少し奥まで行くと、オペラハウス、プレイハウスの劇場エリアに着く。

駅から続く川沿いにパブリックもプライベートもいろんな機能があって都市を作ってるのが、歩いててすごくわかりやすく体感できる。
いやぁ、いい街。
また良いのが、観光客によるガチャガチャ感が出てないことかと思った。

観光客もいて、地元の人もちゃんといる。
国立としての立ち位置がしっかり機能している。
当たり前のことかもしれんが、めちゃくちゃ日本との差を感じた。
その川沿いのスポットは建築を見るなら結構誰でもいくと思うんだけど、今回時間が限られている中で、やはり取捨選択をしなければならない。
その川沿いのゾーンからはみ出てるけど、見たい!っていうゾーンが大きく3つ。

ルイジアナ美術館
コペンハーゲンから40分電車、15分歩き、計1時間あれば着く。そんな遠くないんだけど、どう旅程のピースにはめるかは考えどころ。

開発エリア
ヘニング・ラーセンのIT大学キャンパスや、ヌーベルのホール、またBIGのエイトハウスなどめちゃ元気のいい作品がまとまって沢山ある。

バウスヴェア教会
シドニーオペラハウスでおなじみヨーン・ウッツォンのこじんまりとした教会。
R大好きホウキバラにとってはコイツァ押さえておきたい。
しかしコペンハーゲン中央駅からガッツリ1時間かかる。
結果、僕はこのエリア全部行くトライした。

夜にコペンハーゲンについてその日はそのままビール飲んで寝る。
空港から中央駅まで20分くらいなのがナイス。
次の日朝一でルイジアナ美術館へ。
世界一美しい美術館。
なのだが。
やはりお盆のハイシーズンということもあり、凄い人。
コペンハーゲンの市街地では感じなかった、ゴミゴミ感が満載。
活気があるのはいいことだけど、落ち着いてのんびり、波の音聞きながらぶらぶらする、という雰囲気ではなかった。
ジャコメッティのここなんて、写真に人が入らないチャンスを15分くらい伺ってようやく、と言った感じ。

ルイジアナ美術館のさらに奥に、BIGの海洋美術館があるのだけど、深追い禁物と、この時の旅行では諦めた。(まさか翌年、仕事の視察で行けるとは。)
そしてまた市街地へ戻ってきて、テンポよく葬っていく。
川岸対岸に次の建築見えるから、お、次あそこ行こうってなるんだけど、いかんせん街区は大きいし、河幅もあるのでめっちゃ歩く。
駅前のSASロイヤルホテルはルーム606というオリジナルのヤコブセンデザインが残っている一室がある。
予約でガチガチなのだけど、宿泊とかでなく、部屋の入れ替えの2時とか3時とかに行って、フロントのめっちゃいい匂いするおにーちゃんに「見せテーや」と言うと、結構頑張って見せてくれようとしてくれる。
残念ながら連泊中のお客さんがいてどうにもならず。(これまた翌年は運の良いことに見ることができた。本当にダメ元で一度掛け合って見るべき。)

そしてそのままヤコブセンをハシゴ。
国立銀行。

長手ガラスのファサードと短手石のファサード。
プロポーションとコンポジションの世界がギンギンの緊張感を作り出す。
まぁとにかく2つのファサードがかっちょいい。

この2つのファサードがぶつかり合うコーナー部がまたいい。
ガラス、石のファサードどちらが勝ち、負けというコーナーでなく、立面から見た時のスリットラインのプロポーションが保たれるようにデザインされている。

さてぐるりとして中へ。
こちらも特段アポはいらない。
というか、エントランス以外は入ろうにも絶対入れない。

しかしこのエントランスの空間。
これは僕の建築史上最もガツンと来た空間ベスト3にガッツリランクインするかと。

なんというか、分かりやすく特殊、という空間では無い気がするのだけど、
まずは空間の形、プロポーションがこれ以上ないという感覚。
台形状の平面で、入り口から入って、逆パースに開いていく。
そして縦に長い空間。軽やかな折り返し階段と、PCのスリットから入る線的な光が空間のプロポーションを強調。

特にガツンと来たのはPCの小口。
壁面に対して小口は垂直でなく、長手立面の軸と並行になってる。
台形状の空間が最大限に活かされてるのはここかなと思った。

すごく厚みを感じさせる石の空間なのだけど、この壁面は西にに面して居るようで、小口面は南面になる。
そうすると小口面にバチっと光が当たって、石の壁面がすごく薄く軽やかに見えてくる。
また、光が入って来てるけど、ガラス面が見えないのが好きだった。
外部から光が差し込んでるが、外部が見えない。ある種閉ざされた空間であること。

階段、登っちゃダメとは知っていながらも、「怒られるまでは行く」が建築視察時のモットー。
勢いよく登って、勢いよく怒られた。
しかし何故こんなにもこの階段軽やかか。

さて、市街地のメインどころと、ルイジアナ美術館を葬ったところで1日目終了。

2日目朝一から市街地メインどころをもう少し見て、午後一くらいから開発エリア。
お目当はBIGのエイトハウス。
BIGって実際の建築は見たことなかった。
コンペ出す時のダイアグラムのリファレンスではめちゃくちゃ見てたけど。
ダイアグラムそのまんまの建築を作ってるわけだけど、実際どうなのかな。
市街地から地下鉄で20分。近い。

ものすんごい勢い。オールアルミパネル。
細かいとこ、ボコボコしてて気になる納まりはあるものの、いやぁカッコいい。
こういう、圧倒的に基本設計時の構成が、実際モノになった時もしっかり力を持っている作品こそ、我々ゼネコン設計にもっともっとあるべきなんだと思う。
活気もあったし、バルコニーも住戸ごとにキャラクターがあって面白かった。

アトリエをやってるようなところもあって、デザイナーが住んでたりするんだろうな。
中庭の緑量がすごい。それと引き換えなのか、屋上緑化はゲーハー状態だった。
でもやっぱそういう揚げ足取りみたいなことは置いておいて、こういう元気な建築、作っていかないとって思う。

さてもう時間がない。
あと残された時間は2時間。
どうしようかと悩んだ結果、ウッツォンのバウスヴェア教会に行くことに決断。
しかしぶっちゃけ電車の行きと空港までの行きで2時間弱かかる。
だから2時間で行って、残された「弱」で見ようと。
バウスヴェア教会も全くアポいらず。
最寄り駅に着いて猛ダッシュ。
ダッシュで5分くらいで着く。

外観は意外と普通、というか、グリッドな感じ。
写真で見たRの天井の印象はない。
ダッシュで白く明るい回廊を行く。

そしてメインの教会。

光を入れる装置というか、光が上から降り注いでいるのを感じる。
Rの壁面がヌメッとグラデーションを作り出して地上まで届けている。
いいRです。
とあと30分はゆっくり佇みたい空間だがタイムアップ。
おそらく7分くらいしかいられなかった。
そして3時ごろ空港へ向かう電車に乗る。
ぶっちゃけこの旅の料理、あんまし美味しくなくて、それはいつもおやつラーメンを食べてたってのもあるけど、
コペンハーゲンにはセブンイレブンが結構あって、そこのホットスナックで売ってるコイツが一番美味かったのでおススメ。

というわけで北欧旅行編以上。

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