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ウルトラマンの顔の由来は仏像だった?!〜仏像にまつわる与太話〜

東大寺、法隆寺、薬師寺…...

修学旅行や観光でつきものなのが寺院巡り。そして寺院につきものなのが仏像ですよね。
京都の修学旅行で三十三間堂の大量の仏像が記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。

でもみなさんはその仏像の顔をじっくりみたことはありますか?
「え?仏像なんて全部、同じ顔なんじゃないの?」
そういって適当に仏像の顔を見過ごしている人も多いのではないでしょうか。

でも、実はそれは、はっきりいってそれはもったいないです!

おそらく日本で生きている限り、旅行や観光でこれから何十、何百の仏像を見ることになるでしょう。
その度にただただなんとなく「古いな~」とか「なんかすごそうだな~」とかありきたりの感想しか持てないのは、勿体無いと思いませんか?
今回お話しするのは、仏像をみるのが少し楽しくなるような与太話
今後旅行や観光でお寺に行ったときに、仏像の顔をじ~っとのぞき込みたくなるような、そんなお話をしたいと思います。

〇ウルトラマンと仏像の顔はそっくり?

まずみなさんが仏像!と聞いて思い浮かべるのはどのような顔でしょうか。
「仏頂面の仏像」でしょうか?「怒っている顔の仏像」でしょうか?
もしかしたら少しだけ微笑んでいる顔の仏像を思い浮かべた人もいるかもしれません。

ではこの笑顔、どこかで見覚えがあると思いませんか?

そうです!みんな大好きウルトラマンです!実はこの初代ウルトラマンは、みなさんも良く知っている仏像のある特徴が取り入れられているのです!
それは「口元」。ギリシャ彫刻に特徴的なアルカイックスマイルという技法が両者に共通しているのです。
ギリシャで生まれたこの技法は日本の飛鳥時代の仏像制作にも影響を与えました。
そしてウルトラマンは、この技法を活用して作られています
この初代ウルトラマンをデザインされたのは成田亨さんという彫刻家の方なのですが、この方は、怪獣=混沌、ウルトラマン=秩序と考えたそうです。そのため、神やこの世の支配者といった全能な存在として仏の特徴をウルトラマンのデザインに反映したのです。ウルトラマンどこか懐かしさを感じるのはもしかしたらそのせいかもしれませんね。
このアルカイックスマイルは上の写真の弥勒菩薩半跏像でも使われているのですが、飛鳥時代の仏像には広く用いられている技法です。
また実はこの技法、顔は笑っていないにも関わらず口元だけが笑っているため、気味悪がられたことも多いです。みなさんはどう感じるでしょうか?
冷笑的、と言われればたしかにそのような気もしますが、私としてはむしろ、「慈愛」や「慈悲」といった印象を受けますね。
みなさんがこれから(これまでにも)見る仏像の中に、もしうっすらと笑っている仏像があったらぜひこのウルトラマンのことを思い出した見てくださいね!

〇仏像には四種類の顔がある?!

うっすらと笑っている仏像については、大体ご理解いただけたと思います。
ですが、それ以外にも仏像はあります。
大きく分けて「如来」「菩薩」「明王」「天部」の4種類がいますので、順番に紹介していきましょう。

・如来
まずは「如来」です。みなさんは、頭がパンチパーマみたいな仏像を見たことはあるでしょうか?それがこの如来です。薬師如来、阿弥陀如来など様々な如来を聞いてことがあると思うのですが、実はこの如来、4つの仏像の中で一番偉いんです。
パンチパーマでおばちゃんみたいなイメージがありますが、一番偉いんです(2回目)
なぜならこの如来は既に悟りを開いた人のことを指すから。すでに悟りを開いているのですから、仏教の中では偉い人だと定義されるわけです。
ですので「オレ悟り開いたわ…」なんて言っている人がいたら「如来やないかい!」と優しく突っ込んであげてくださいね。そんな人がいたらですが。
ちなみに頭のクルクルは「螺髪(らほつ)」といいます。これがパンチパーマに見えるわけですね。

・菩薩
次は「菩薩」です。菩薩のような人、と言う言葉を聞いたことがある人もいるかもしれませんし、観音菩薩や弥勒菩薩、地蔵菩薩なんかを聞いたことがあるかもしれません。その菩薩です。
菩薩の特徴は「服装」。あたまに宝石などで飾っている冠をかぶっている仏像がこれに当たります。
菩薩の偉さは、というと、、、2番目です!この仏像は「これから悟りを開こうとする人」を示しています。
ですので「オレこれから悟り開いてくるぜ…」なんて人がいたら(そんな人いない)「菩薩やないかい!」と優しく突っ込んであげましょう。
みなさんが観光地や旅行先で見る仏像がこれまでご紹介した「如来」や「菩薩」になります。

・明王と天部
さて、仏像にはあと二種類、あまりお目にかけないもがあるんです。
それがこの明王(上)と天部(下)です!

名前すら聞いたことないって人が多いのではないでしょうか?
でも実は、みなさんも多分聞いたことがあるはずの、「不動明王」や「阿修羅」なんかはここの仏像に属すするんです。
左の明王は「人々をしかりつけて教えさとすもの」を表現しています。また「第三の眼」なんていう言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、明王は額に第三の眼をもっておりなんでも見通して悪い子にお仕置きしちゃうんです。
そして最後は右の「天部」。偉さでいったら一番低いかもしれませんが、聞きなじみのある仏像はこの「天部」のランクに属していることが多いですよ。
この天部の特徴は「バラバラ」。実はこの天部に属する仏さんは元々はインドの神々だったのですが仏教に宗旨替えし仏教を守る役目を持った神様のことを言うんです。そのため姿形も役割も「バラバラ」なんですね。
ちなみにみなさんがゲームなどで目にする「四天王」という言葉(ポケモンとか、魔王を倒す系のゲームで出てきますね)。これは天部の中の「持国天、広目天、増長天、多聞天」の四方を守る武神のことを指すんです!
知っていればちょっと自慢できるかもしれませんね。

〇さいごに

いかがだったでしょうか?普通ならなんとなく見過ごしてしまう仏像にはこんなに面白い一面があったんですね!
自分は仏教徒ではない!と思っている人でも仏教は日本人の生活に深く根付いていますから、普段何気なく仏教用語や仏教に関連するものに触れているかもしれません。
ぜひみなさんも、この与太話を機に、古代の仏教文化や仏像について調べてみてください!