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講演のための思考メモ(20)アメリカでの3ヶ月間

2017年4月16日から7月15日まで、3ヶ月間をアメリカで過ごした。短期間とはいえ、憧れの海外留学だった。この3ヶ月間を2000字で表現してみたい。

生活拠点となったのは、カリフォルニア州南部のサンディエゴ。ほとんど雨が降らない、素晴らしい気候の都市だ。メキシコ国境に近いため、本場さながらのおいしいタコス店がたくさんある。

サンディエゴはビーチが素晴らしい

この街で、2ヶ月間のシェアハウス生活を送った。ひとつの家に、5人が住んでいた。レイさん(日人女性)、ケンくん(日本人男性)、ラズィーク(トルコ人男性)、アビー(アメリカ人女性)、そしてぼくという構成だった。

シェアハウスの仲間たち

アボカドの種の取り方のコツを、ぼくはこの家でレイさんに教わった。車を持っていたケンくんは、ときどきスーパーやジムに連れていってくれた。陽気なラズィークは、帰宅するといつも「Yota, hou are you?」と聞いてきた。ぼくがいつも「Good」と答えていると、ある日「ワンパターンだから、Good以外のバリエーションを持つといいぞ」と割と深刻な表情でアドバイスしてくれて、思いやりを感じた。アビーはニューヨークに住んでいた彼氏と結婚することになり、ある日彼氏が車で迎えに来たので驚いた。ニューヨークから約4500kmも車を走らせてやってきたのだ。愛のスケールの大きさにアメリカを感じた。

語学学校は、家から13km離れた場所にあり、毎日自転車で通った。途中のキツい坂道で足腰が鍛えられた。

語学学校にて

語学学校には、イタリア人、スペイン人、中国人、韓国人、台湾人、トルコ人、サウジアラビア人、アルゼンチン人、ブラジル人など、様々な国からの学生が集まっていた。気質や性格もバラバラ。英語を学ぶ目的で通ったが、ここでの日々は「英語が話せるようになること」以上に大切な意味があったと感じる。アメリカ滞在中は、学校のPRも兼ねて毎日ブログを更新した。

サンディエゴには美しいビーチがたくさんあり、休日はよく訪ねた。語学学校の友人とトレイルへ出かけたこともあった。少し街を出ると、広大な自然が広がっていた。

トーリーパインズ州立自然保護区

5月、ぼくは現地で知り合った友人を誘い、キャンピングカーでロサンゼルスからセドナまで旅した。

キャンピングカーで3泊4日の旅へ

ペーパードライバーだったぼくが、アメリカで、それも信じられないくらい大きなキャンピングカーをいきなり運転することになった。怖かったけど、勢いというのはすごい。でもこの旅は本当に楽しかった。

迫力あるセドナの景観に度肝を抜かれた

それから、「16歳の中国人」とのエピソードが生まれたのもこの時期だった。noteで書いて、初めて大きな反響を得たエッセイだったから、ぼくにとって重要な意味を持つ出来事だった。

サンディエゴ生活は、何もかもが新鮮だった。スーパーへ行くだけでおもしろかった。物価が高いので、レストランへはあまり行かず、自炊したり、タコスやハンバーガーを食べたりしていた。「In-N-Out」というハンバーガー屋さんが好きで、いつかまた行きたいなと思う。

In-N-Outのハンバーガー

2ヶ月間はあっという間に過ぎた。語学学校の先生や友人に別れを告げ、ぼくは自転車で旅に出た。アメリカ西海岸2500kmを縦断するのである。日本でいえば、札幌〜鹿児島間くらいの距離だ。毎日ライフガードのジャージを着て、カリフォルニアを北上した。

「ツール・ド・西海岸」が始まった
2500kmのルートマップ

2日目でロサンゼルスへ着き、10日目でサンフランシスコに着いた。ロサンゼルスでお世話になったのは、かつて都内で出会ったアメリカ人だった。ぼくは会社員時代、和菓子屋さん巡りのサイクリングツアー「ツール・ド・和菓子」を企画し、友人を誘って趣味で開催していた。これがあるときAirbnbの目に留まり、外国人観光客向けのツアーになった。その最初のお客さんだったロサンゼルス在住のカイルが、家に泊めてくれた。おまけにプロカメラマンの彼は、ぼくのポートレート写真まで記念に撮影してくれた。

「ツール・ド・和菓子」で案内したカイル(右端)

途中のサン・ルイス・オビスポという地方都市では、ニコルという大学生の友達ができた。彼女のお父さんが大の自転車好きで、ぼくの旅の話を聞きつけて後日サンフランシスコにやってきた。そしてニコルパパと一緒に100km先の街までサイクリングをした。翌年にはニコルファミリーが来日し、横須賀の実家に遊びに来た。偶然の出会いから生まれた交流だった。

この交流エピソードは、地域情報紙のコラムで紹介した

シリコンバレーでは人のご縁に恵まれて、Google、Apple、Facebook、Airbnbの本社見学をさせていただけた。Airbnbのサンフランシスコ本社にはぼくのポスターが貼ってあった。信じられないことだった。

Airbnb本社でぼくのポスターを発見

やがてオレゴン州に入り、ゴールのポートランドに到着。猛暑で過酷な旅となったが、なんとか無事に走り切ることができた。人との出会いは語り尽くせないほどあった。お世話になった方々に感謝。

ポートランドにて

日本へと戻る機内、JALのCAさんから「もしかして自転車で回られていた方ですか?」と声をかけられて、旅の成功を祝福された。視野の広がる充実した3ヶ月間はこうして終わった。

成田空港でCAさんたちから祝福を受ける

(つづく)

※アメリカ滞在中のことはまだメディアで書いたことがないので、いつか連載でも書ければと思います。

旅の報告会には、たくさんの方が来てくれた

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