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【2万字】取材とインタビュー記事の書き方における実践的アドバイス集

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「取材のコツが知りたい」
「まだ経験は浅いけど、インタビュー記事をうまく書けるようになりたい」
「これからはSEO記事だけでなく、インタビュー記事にも取り組んでいきたい」

そんなライターさんたちの力になれるような記事を書きたくて、半年前からメモを書き溜めていた。

今回は、取材前の準備や取材中のコツ、そして実際にインタビュー記事を書く際における自分が持っているノウハウを、できる限りご紹介してみたい。

※以下に続く「はじめに(1)〜(3)」では、インタビュー記事の需要についての肌感覚や、原稿料の相場感などについて書いています。「早く具体的なノウハウを知りたい」という方は【A. 取材前(事前準備)】まで飛ばしてください。

はじめに(1) 需要と供給の話

「ライターとして活躍していきたい」と思っている方や、「どうしたら単価(原稿料)を上げられるのか」と悩んでいる方にお勧めしたいのが、インタビュー記事を書くスキルを上達させることだ。

2010年以降、クラウドソーシングサイトの台頭により、Webライター初心者の方の多くが、SEO記事からスタートする風潮がある。その結果、SEOライターが市場に溢れ、供給過多になっている一方で、インタビュー記事を上手に書けるライターが需要に対してとても少ないように感じる。多くのメディアや企業が、インタビュー記事を安心して任せられるライターを探し求めている。

そのため、「このライターさんはインタビュー記事がうまい」と一度クライアントから認められると、継続案件になりやすいし、書いた記事がPR材料となって別のメディアや企業からも仕事の依頼が増えてくる。

しかし、ライターがひとりで受け切れる仕事量には限界がある。文字数にもよるが、良い記事を丁寧に作ろうとすると、1日1本ペースで書くのは難しい。ぼくの場合は、ひとつの記事に3〜4日かけることも多い。

そのため、抱え切れず泣く泣く仕事をお断りすると、大抵は「周りでどなたか良いライターさんいませんかね〜?」と尋ねられる。活躍しているライターの方々も、よく同じことを尋ねられるようだ。

SEOライティングの場合はクラウドソーシングでライターを探すのが便利だが、インタビュー記事の場合は、質にこだわりたい企業ほどクラウドソーシングに頼らない。信頼する知人の紹介でライターを見つけたり、あるいはメディアでインタビュー記事を書いている方に、SNSやメールで直接コンタクトを取ったりする。

クラウドソーシングに頼らない、あるいは頼れない理由のひとつは、インタビュー記事では、SEOがほとんど不要な代わりに、別のスキルが求められるからだ。

・打ち合わせや取材でのコミュニケーション能力
・クライアントの意向を正確に把握し、記事に反映させられること
・「文字起こしを軽く整える程度の原稿」ではなく、ちゃんと「編集」できること
・読者にとってわかりやすく、おもしろい記事が書けること

これらは、「SEO記事しか書いたことがありません」というライターには難しく、ある程度の練習が必要になる。

だけど努力する価値はある。インタビュー記事をうまく書けるようになると、仕事のチャンスは広がるし、SEO記事に比べて遥かに単価も上がるから、ぜひチャレンジしてみてほしい。

はじめに(2) 原稿料の相場感の話

SEO記事の場合、クラウドソーシングによって単価の相場感がなんとなくできてしまっていて、1文字1円〜5円などの世界から抜け出すのはなかなか難しいものがある。少ない募集に多くのWebライターが集まるので、いくらでも替えが効くし、結果単価も低くならざるを得ない。

クラウドソーシング上では、片や「質よりも、できるだけ安く頼みたい」という依頼者がいて、片や「時給500円程度でもやらないよりはマシ」と考える主婦ライターがいる。そこで見事なマッチングが発生してしまうので、土台、そのような戦場で単価を上げるのは至難の技である。

「生活費の足しにしたい」「副業として月5万円稼げればいい」くらいの気持ちならまだしも、「ライターとして会社員並みに稼げるようになりたい」と思っているのであれば、単価を上げていくことをおすすめしたい。朝から晩まで書き続けるのは持続可能な働き方ではないし、インプットに充てる時間も減ってしまう。

メディアや運営会社の方針によっても異なるが、インタビュー記事の多くは、記事単価である。1記事1〜2万円という原稿料はよくあることだし、企業サイトの社員インタビューなどでは3〜5万円程度のケースもある。

社員インタビューというのは、主に誰が見るか。それは、その企業への入社を検討している人である。魅力的な社員が、魅力的な働き方をしていたら、「私もこの会社に入りたい」と思うだろう。

つまり、社員インタビューは企業にとって優秀な人材の採用に直結する大切なコンテンツであり、そこを「質はどうでもいいから安く書いてくれるライターに頼もう」と考える採用担当者は絶対にいないのである。「多少お金がかかってでも良いライターに頼みたい」と思うのが当然で、だからこそうまく書けると重宝されるし、単価交渉もしやすくなるのだ。

また、noteなどで自由に書けるエッセイは楽しいが、それがすぐお金につながるかというと難しいものがある。書店に行けばエッセイの名著がたくさんあり、かつ毎日新しい記事が無数に生まれているなかで、それらを差し置いてまで「読む価値のあるエッセイ」と読者に認められるのは簡単なことではない。それは、なかなかお金になりづらい、ということでもある。

しかし、インタビュー記事は違う。多くの場合、インタビューというのは何かの専門家や、詳しい知識を持っている方、貴重な経験をした方などから、有益な情報を引き出す行為である。

インタビューライターは何者でなくてもいいし、これから取材する内容についても必ずしも詳しい知識を持っている必要はない。もちろん取材前にはある程度の予習が必要だが、仕事を依頼された時点では無知ということはよくある。

むしろ初心者向けの記事では、詳しくないことが武器になることさえある。

たとえば、ぼくが投資について何も知らなかったとしても、ファイナンシャルプランナーの方に「投資信託って、最近よく聞きますが、どういうものですか?」「NISAやiDeCoとは? どういう風に使い分けるといいんでしょうか?」「リスクはないのですか?」などと質問して、自分が理解したことや「なるほど!」と思った回答を初心者でもわかるよう平たく書けば、それで読者にとって十分学びがあり、「良い記事だった」と喜ばれるものになる。

広告収入に頼るメディアであれば、記事が話題になればPVが上がるので、それに応じて広告収益も上がる。あるいは、記事を通してサービスや商品の購買に繋がるのなら、それもメディアの収益につながる。

あるいはまた、企業がブランド力強化のためにメディアを運営するケースもある。短期的な収益にはならなかったとしても、メディアに良い記事が集まることで長期的に見て運営会社のイメージアップにもつながっていく。

そういう記事には価値があることを、メディアや企業はわかっている。かつ取材して、わかりやすい内容にまとめるには時間や労力、それに当然経験やスキルが必要なため、まともなメディアであればきちんと対価を支払ってくれるはずだ。

世の中には、素敵な想いを持っているのに、「伝えるのは苦手」という方も多い。だからこそ、本人の代わりに価値や魅力を届けるライターの存在が重要となる。ライターの地位は決して低いものであってはならない、とぼくは思っている。

ライターという仕事を選んだということは、きっと周りの人よりも少しは、書くのが得意なはずだ。ぜひその才能を生かして、「作業」ではなく、「創造」をしてほしい。インタビューして、読者に伝える。「私はこの記事を書けて幸せだ」と感じられるような、価値のある文章をたくさん書いていただきたい。

何より、インタビューはライター本人が楽しい。活躍している方々からたくさんの刺激を得られる。「こんな貴重なお話を生で聞けるなんて」という気持ちにもなる。インタビュー後は、張り詰めていた緊張がほどけてドッと疲れるが、やり遂げた充足感に満たされる。きっと仕事のやりがいや生きがいにもつながってくると思う。

はじめに(3) ライターコンサルでの「よくある質問」がヒントに

2020年夏に書いた「Webライターが単価を高めるためのアドバイス」という記事が「note編集部のおすすめ」に取り上げられ、多くの方から反響をいただいた。そして、読み手のひとりであったインタビューライターの池田あゆ里さんから、「私にコンサルしていただけませんか?」とご依頼いただいたのがきっかけで、ライター向けのコンサルや添削指導を始めることになった。

今では受講生が100名を突破し(2022年3月現在)、当初は無名のママさんライターだったコンサル生たちが、朝日新聞社や小学館など、続々と大手企業の運営メディアで執筆するようになった。インタビュー記事を書けるライターにどれだけ需要があるかは、コンサル生を通して肌で感じている。「今度はこんな案件を依頼されました」と日々報告を受けるからだ。

そして、コンサル生たちに文章術や仕事術を伝えるなかで、1,2を争うほど多かった相談もまた、「インタビュー記事」に関するものだった。

・今までSEO記事ばかり書いてきた。インタビュー記事に挑戦してみたいが、やったことがなくて、そもそもどうやってアポを取ればいいのか、どんな質問をすればいいのかすらわからない。そこの部分から教えてほしい。

・取材中にはどんなことを心がけるといいのか。

・取材時は盛り上がって話もおもしろかったのに、いざ文章にしてみると、なぜか魅力が失われてしまう。単調な質問と回答の羅列になってしまう。どう書けばいいのか。

などなど、皆さん本当に多くの悩みを抱えていた。それらの質問や悩みが、今回の記事を書くうえで大きなヒントになった。

会社員ライターでもない限り、「インタビュー記事はこう書くといいよ」と丁寧に教えてくれる人も周りにいないだろうし、やったことがなければわからなくて当然である。

ぼくも最初は手探りだった。会社員時代は旅行情報誌の編集者だったため、書くのはトラベル系の記事ばかり。しかしインタビュー記事に憧れた。会社にいてもできない。

そこで、土日を使って様々な業種の100人以上の方にアポを取りまくり、お話を聞いてブログやFacebookで書き続けた。荒削りだったが、試行錯誤しながら自分の書き方やノウハウを体得していった。

2017年にフリーランスになり、インタビュー記事を主軸に仕事をするようになってからは、さらにスキルを磨いた。失敗も多く経験したからこそ、「こういう場合はこうすると失敗を防げる」と実践的なノウハウを伝えられるようになった。2年前にはソフトバンクのビジネスメディアで副編集長を務め、多くの著名人の取材や編集にも携わった。その後も朝日新聞社のメディアなどで取材記事を執筆してきた。

とはいえ、インタビュー記事に書き方のルールやマニュアルはないから、取材の仕方やどう書くかはライターそれぞれの自由でいい。だから今からご紹介することも、あくまでぼくの個人的なやり方でしかないから、「あなたはそうやっているのね」程度に読んでいただければこちらも気が楽になる。

そのうえで、何かひとつでも参考になるものがあれば、ぜひ取り入れてみていただきたい。

今回は、A. 取材前、B. 取材中、C. 取材後 の3ステップに分けて、普段意識していることをご紹介する。

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