フリーライター奮闘記(4)フリーランスの罠と、大切にしたいこと
(前回はこちら)
苦しんだインタビュー記事
フリーランスになって2ヶ月目の2017年2月、「5000円でプロフィール文章を書く」という初仕事を終えたぼくだったが、当然それだけでは家賃すら払えない。
そんな折、知人の経営者から、「またうちのメディアで書きませんか?」とご連絡をいただいた。
実はその半年ほど前、ぼくがまだ会社員だったときに、一度だけメディアでインタビュー記事を書いたことがあったのだ。レザークラフト体験の講師の方に、「どうしてレザークラフトを教えるようになったんですか?」とキャリアについて伺う記事だった。
そのときの経緯としては、2015〜16年にぼくが休日を使ってたくさんの方にインタビューし、Facebookに長文で投稿していたのをその社長が読んでくれていて、
「中村さんって良い文章書きますよね。うちのメディアでインタビュー記事を書いてくれませんか?」
と依頼してくださったことがはじまりだった。そのときは本業も忙しかったし一度切りだったのだけど、ぼくがフリーランスライターになったのを知って、またお仕事を振ってくださった。
原稿料は、インタビュー記事としては標準的な範囲の価格だった。しかし、その仕事だけで月20万円を稼ごうと思うと、あまり現実的ではなかった。一本書くのに数日かかるし、おまけに初稿を出してからの修正依頼がキツめで、何度も戻された。翌週も原稿の修正で持ち越し、ということが続き、「これでは結局家賃すら・・・」と精神的にかなり参ってしまった。
仕上げた記事に関しては、自信を持って「良い記事を書けた」と言える。しかし、今でも苦しかった経験のひとつで、よく友達に悩みを打ち明けて、二子玉川で昼飯を食べながら励ましてもらっていたことを思い出す。
フリーランスの罠と、大切にしたいこと
正直、このインタビュー記事の仕事からは離れて、仕切り直しをしたかった。かといって、他に仕事があるわけでもない。1月はただ東海道を歩いて旅していただけだからお気楽なものだったが、2月に入って早速「フリーランスはなんて大変なんだ」と現実を思い知らされた。
なんとかこの窮地を脱したい。
2月19日、ぼくはブログにこんなことを書いた。
【フリーランスの罠と、大切にしたいこと】
一般的な話ではなく、あくまで自分自身の問題としてだけど、フリーランスになっても、罠はある。
・できることだけをやってしまう
とりあえず食っていかないといけないから、今持っているスキルで、仕事をする。ぼくであれば、文章を書くこと。今までもやってきた、できること。でも、いつの間にか、それが「やりたかったこと」にすり替わっていることがある。
違う。それはできることであって、やりたくないことではないけれど、本当の意味でやりたいことではない。説明が難しい。
できるとわかっていることをするのは、当然大切なことなんだけど、でもそれだけではいけない。自分の場合。
できることをするためにフリーランスになったのではなく、できるかわからないけど、やりたいことをやるために、フリーランスになった。そこを忘れてはいけない。挑戦することを自らに課さないと、ズルズルと楽な方向にいってしまうことがある。
ぼくがとくにやりたくもない儲け話に手を出して1億稼ごうが、宇宙レベルで見れば、そんなこと超どうでもいい話で、たとえ今はその価値を認められなかったとしても、ぼくじゃないとできないことをやらないと。
少なくとも、その方向に向かっている自分でありたい。じゃないと、何のために生きているんだかわからなくなる。
ゴッホの絵だって、彼の生前に売れたのは、たった1枚だけだった。でも彼は、売れないからといって、スタイルを変えなかった。そういう信念を大切にしたい。
・自己投資せずに、守りに入ってしまう
収入が減る分、なるべくお金を使わないようにする。これも罠だと思った。リスクを取らないでいたら、大した成長はできない。
海外に行きたいなら、行くと決めてしまう。
他人のことはどうこう言わないけど、ぼくにはどうしてもやりたいことのためにスポンサーを集めた経験があるから、「お金がないから海外へ行けない」と言うのは、自分にとっては言い訳。
まず、行くと決める。状況は無視して、先に決めてしまう。
決めてから、その方策を考えて、行動を起こす。そうしないと、色々なことはできない。お金を一切かけないで自分を成長させることなんて、なかなかできない。本を買うのも、海外へ行くのも、人と会うのも、基本的にはどこかしらでお金がかかる。とにかく自分の成長ややりたいことのためには、お金を使う。あとで必ず回収できると信じて、無理してでも使う勇気を持った方がいい。
以上、2つの罠を、最近は感じているところ。
その他、大切にしたいことをいくつか。
・本質的に生きたい
生きることの本質を追いたい。美しく生きたい。
先日、チェリオ専務取締役(現社長)の菅大介さんとお話ししていて、意見が一致したのは、「美しく生きたいよね」ということ。
ぼくは昔から、迷ったら「美しさ」を感じるものを選ぶ。
数学が好きだった影響が大きくて、定理や公式には、シンプルで無駄のない美しさがあるから、逆に言えば、シンプルで無駄のない美しさを感じたら、それが正解なんだろうと思っている。
・体験を第一に
言葉を生むため、つまり書くために何かをしようとするのは、本来順番が逆。
体験を第一に。骨の髄まで染み渡るような強い体験をしたら、書かずにはいられなくなる。そしたら書けばいい。
・突き抜ける体験
もうひとつ、菅大介さんから言われたのが、「洋太、お前は突き抜けろ」という言葉。
そう、せっかくフリーになったのだから、中途半端なことをやったらいけない。
真面目でもバカでもいいから、とにかく振り幅を大きくした方がいい。突き抜ける体験をした方が、おもしろい。今までの経験でできることをやるだけの人間にならないでほしい。未知のこと、わからないことに直面して、そこを突き破っていく。そんな体験をしたい。
ぼくは、フリーランスになった時点でできる(とわかっている)ことばかりやっていた。新しいチャレンジから逃げていて、自分でもワクワク感を得られていなかった。
何か大胆なチャレンジをしたい。「こういうことをするためにフリーランスになったんだ」と思えるような「何か」を。
そんなとき、アメリカへ行きたい気持ちが湧いてきた。
(つづく)
お読みいただきありがとうございます! 記事のシェアやサポートをしていただけたら嬉しいです! 執筆時のスタバ代に使わせていただきます。