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「たくさん」とはどれくらい?認識のズレを防ぐ定量化

私はメーカーでデータサイエンス活用に関するプロマネをしている。
プロマネという立場上、データサイエンティストと開発現場の人たち両方と話すことが多い。

そして最近気になるのは両者の感覚が異なっていること。
例えば開発の人が「このテーマはたくさんデータがあるからデータ分析向きだよ」と言ったとする。
※一旦ここではデータの精度や取得範囲は考えない

ただ、その言葉を鵜呑みにしてデータ分析しても全然うまくいかない。
そしてデータサイエンティストに聞いてみると「データの数が全然足りない」と言っている。

実際にデータの数を見ると、30個くらいだった。
1回の実験に1週間以上かかる開発の人にとっては「30個=たくさん」だ。
だけどデータ分析者にとっては「30個=少ない」だったりする。

プロジェクトには様々な部署、専門の人が集まっているため、このような認識のズレが起こりやすい。
私はその原因の1つとして「お互いの感覚が違う」ことがあると思う。
そして認識のズレを防ぐのが定量的な表現だ。

相手と一緒に定量化する

私は様々なテーマの進捗や状況を確認する立場だが、定性的な表現で説明を受けることは本当に多い。
例えば次のように。
※なお、ここでは自分の発言を棚に上げている(私自身もこんな説明をすることはある)

「この部品、結構高いのですが必要なので買っていいですか」
「最近忙しくて手が回らないんですよ」
「このテーマはいい感じに進んでいます」

工数確保、予算管理、開発テーマの進捗などは定量化しないと状況が分からないし、対策も打てない。
だからできるだけ情報は定量化してほしい。

「忙しい」という状況なら「週にどれくらい時間使っているか」「忙しさの波はあるか」「どこが特に忙しいか」など。
「テーマの進捗」なら「目標はそもそも明確か(「SMART」な目標か)」「直近の中間目標はなにか」を聞いた上で「どこまで進んだか」を聞くなど。

ここで重要なのは「相手とともに定量化する」ことだと思う。
状況を一番知っているのは担当者なのだから、私は定量化を手助けする立場に徹する。
だから相手が考えやすいように質問の仕方を変えて、定量化を進めている。

定量化できないときは後回し(ただし期限は決める)

とはいっても、実際のところ1回の会議や相談ですべてを定量化できるわけではない。
そんなときは「もう一度話しましょう」と後回しにする。

ただし、ここで重要なのは期限を決めることだ。
そうしないと少なくとも私は絶対に忘れる。

費用が発生する案件ならば正式な費用がいつまでに決まるか教えてもらう。
テーマ間の工数調整の話ならば、お互いの現状と希望をまとめて再度打ち合わせする日を決める。

「何となくこんな感じでいけるやろ」ということが積み重なるとどこかで必ず歪みが生じる。
そうやって痛い目を何回も見てきた。

だからこそ、フワッとした曖昧な状態で会議を終わらせるよりも定量化出来るまで話し続けた方がいい。
とはいっても、話し続けて実行できないと本末転倒だから動く期限も決めた方がいい。

プロジェクトは正直思い通りにいかないことだらけだし、ツギハギで何とかしのいでいるところもある。
だけど、新しいことをやっている以上そうやって進めていくしか無いのだろう。

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