風が吹けば桶屋が儲かるに関する体験記
ことわざを日常生活で体験したことってありますか?僕はあります。
「風が吹けば桶屋が儲かる」
意外なところに影響が出ること、また、あてにならない期待をすることのたとえ。風が吹くと土ぼこりがたって目に入り盲人が増える。盲人は三味線で生計を立てようとするから、三味線の胴を張る猫の皮の需要が増える。猫が減るとねずみが増え、ねずみが桶をかじるから桶屋がもうかって喜ぶということ。大風が吹けば桶屋が喜ぶ。 -コトバンクより引用
皆さんはこんなことわざ聞いたことありますでしょうか。
僕はつい先日このことわざを身をもって体験したのでその顛末を共有させていただければな、と思います。
これは3月のとある日の話です。
僕は原付バイクに乗り自宅へ帰宅していた。
しかしその日はとても強く風が吹いていて、国道を通ると風でバイクがあおられて、このまま乗って帰るのは危ないなと思った。
なのですぐ近くに目に入ったマクドナルドへ寄り、風が止むまで少し時間を潰すことにした。
「フィレオフィッシュのセット1つ。それで飲み物はコーラで。あ、氷抜いて下さい。」
そうオーダーした。いつもは氷を抜くことなんてしないのだが、その日は風がとても強く、体が冷えていたからだ。
温かい飲み物をオーダーしろ?そんなことはありえない。ハンバーガーにはコーラ以外の選択肢は無い。店頭のドナルドもそう言いたげな顔をして笑っている。
「637番でお待ちのお客様ぁ」
僕の番号だ。フィレオフィッシュのセットを受け取り席に着く。フィレオフィッシュを食べ、さらに口にポテトを詰め、コーラで流し込む。氷抜きの。
「これだよこれ。」
氷抜きのコーラうっま。
そんなこんなで時間を潰していると、じきに風が止んだ。僕はその後安全に帰宅することに成功した。
数日後
「チーズ牛丼大盛りで。あ、玉ねぎ抜いて下さい。」
僕は昼食をとるために牛丼屋さんにいた。
氷抜きのコーラの味が忘れられない僕は、とりあえず何かを抜くことにはまってしまったようだ。
「あ、しおりみたいなやつ抜いて下さい。」
オードリーの若林のエッセイ本を購入した時。
「あ、右中間抜いて下さい。」
DeNA対阪神の9回裏、同点で2アウト2塁、バッターボックスにその日2安打と好調な筒香。これは僕だけでなくファンならみんな願ったと思うけど。
「あ、前の車抜いて下さい。」
終電を逃しタクシーに乗った時。見事ごぼう抜きしてくれた。
「あ、どうぞ抜いて下さい。」
原付に乗っていてセルシオに煽られた時につぶやいた。
「あっ、抜いて下しゃい...」
おお、画面の中の男優も言ってるなあ。
「あ、拭いて下さい」
事後に女優が言った。
ともかく、マクドナルドで"氷抜きのコーラ"を頼んだその日から、
僕はなんでもかんでも抜くことがたまらなく楽しくなってしまったのである。
数週間後
「おろしポン酢牛丼で。あ、お肉と玉ねぎとポン酢も抜いて下さい。」
完全に取り憑かれてしまった。これじゃおろし丼だけどこの際何でもいい。
「あ、もう情報とか抜いて下さい。」
自らロシア語の怪しいサイトにアクセスし、クレジットカード情報を入力。
「襟足はどうしますか?けっこう量多くなってますけど。」
「あ、抜いて下さい。」
痛いけど我慢。
抜くの楽しい!!!ビバ"抜き"!!!これぞライフハック!!!
それからさらに一ヶ月
「アイスコーヒー1つ。あ、容器抜いて下さい。」
もう湧き水すくって飲む時のアレでいっちゃう。
「牛丼大盛りで。あ、お肉と玉ねぎとご飯も抜いて下さい。」
丼ぶりの大盛り。
そして一度だけ禁じ手の全部抜きを試してみようとした。
(ラーメン1つ。あ、ネギとチャーシュー、メンマ、麺、スープ、丼も抜いて下さい。あ、あとカウンターも厨房も何もかもぜんぶ抜いて下さい。)
言わずもがなこれは注文前に辞めておいた。
全てを抜いて地球や宇宙そのものを抜いてしまうと困る。
そう。とにかくもう僕に抜けないものなどないのである。
しかしそんな神をも凌駕する力を得て、"抜きライフ"を満喫していた時、
こんなネット広告が目に入った。
衝撃である。絶対に底が抜けない?そんなものあるわけがない。
買って試さなくてはいけない。すぐにポチる。
翌日、自宅に桶が届く。早速開封。
「絶対に抜けないものなんて存在しないはず。拳で抜いてみせよう。」
余裕で底が抜ける。なんだよ。抜けるじゃん。
いやもしかしたら不良品かも?
でも壊しちゃったし返品は無理か。もう一回買おう。
ポチる。
届く。
底が抜ける。
信じられん。
"絶対に底の抜けない桶"だぞ?こんな簡単に抜けていいはずがない。
俺は馬鹿にされているのか?神の力を超越した者だぞ?
ふつふつと怒りが湧き上がるのを感じた。
「ふざけやがって...!俺を馬鹿にするなぁぁ!だりゃりゃりゃりゃぁ!!」
怒りのポチり連打。
桶屋が儲かる。
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