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[78] 宝石

人間生活を営むことで
大なり小なり
肉体には苦悩がたまってゆく
どんなに立派な言葉でも
どんなに素敵な言葉でも
この皮膚が受け入れなければ
この心が受け入れなければ
空虚な文字列
伏せ字のごとく 見えなくなる
聞こえなくなる

失望できないのは
珠玉の言の葉
どこかに埋もれていると信じているから
掘り当てたいのだ
めいっぱい喜びたくて
めいっぱい癒されたくて
めいっぱい慰められたくて
ひとり
ずぶずぶ沈んでしまうとしても

死を想えば
この世の正しさがなんであろう
この世の幸せがなんであろう
よくできたまやかしにしか思えなくなる
かけがえのない
愛さえも
そんな救いようのないペシミストに
堕ちたからこそ
深く見つめられる
命の不思議があるのではないか
秘められた可能性に過ぎないが
後戻りはもうできない
めいっぱい悔やむとしても
めいっぱい苦しむとしても
めいっぱい悲しむとしても
生きているかぎり
宝石のような 自分だけの
真実
探し求めてゆく


※幻想宇宙でうたう星々
(胸がときめく星の声 後編)

お読みいただきありがとうございました。なにか感じていただければ幸いです。