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2022年グローバル化への2ndステップ

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。

2022年最初の投稿なので、今年の目標について書いてみたいと思います。多くの方々がされているように、僕も毎年年末年始に一年の目標を立てるようにしています。「言語化・テキスト化すると、その目標が潜在意識に刷り込まれて、意識的にも無意識的にも、目標達成の道筋やアクションを探し出す」というのは本当にそうだなあと思います。

年明け最初のイベントは通期決算発表

当社は決算期が11月末のため、新年の最初のイベントは通期決算発表になります。めずらしい決算期であるため投資家の方に知っていただきやすい一方で、年末年始は決算発表のことがどうしても常に頭の中にあるので精神的にはあまりおすすめはしません。(笑)先週金曜日に発表を終え、「ようやく年を越せたなあ」と。

さて、通期売上高は前年同期比+38%の156.3億円、売上総利益は同+42%の108.2億円、EBITDAは4.3億円となり、上場以来、5期連続して売上高・営業利益・EBITDAのいずれも期初目標を達成することができました。

私たちを信じて投資してくださっている株主の方々とのお約束を果たすことができたことを本当にうれしく思うととも、少しホッとしています。改めて、応援してくださっているユーザーやお取引先のみなさま、そして(身内ではありますが)日々努力を積み重ねてくれているメンバーのみんなのお陰と、この場を借りて心から感謝申し上げます。

EBITDA黒字化達成、次は最大の投資フェーズへ

今年、マネーフォワードは創業10周年を迎えますが、チャレンジをますます加速していきます。2021年通期ではEBITDA黒字化を達成しましたが、今後、複数年に渡って売上高成長率を前年同期比+30%〜40%にチャレンジしていくとともに、今期の売上高は203~219億円、SaaS ARRは同+40〜50%の157~168億円と、更なる成長をめざし再び投資を加速していきます。

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(出典:2021年11月 通期決算発表資料

「やっとEBITDA黒字化したのに。これから利益創出フェーズなのに」と思われる方もいらっしゃるかも知れません。創業以来、当社最大の投資フェーズとなりますが、グローバル水準で考えると、当社はまだまだ成長が求められるフェーズにあります。

下記は、Bessemer Venture Partnersが出している資料ですが、米国SaaS企業の場合、ARR$100 million以上であっても高成長を重視し、先行投資を継続することが一般的です。当社もARRが112億円に到達しましたが、目の前に広がる大きなマーケットを見ると、まだまだ先行投資を継続することが、結果的に中長期の企業価値の最大化につながると考えています。

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(出典:Bessemer Venture Partners, “Scaling to $100 Million” 2021年9月21日 )

なぜ、グローバル水準にするのか。マクロ環境、株式市場で見れば、全世界のPERは29.9倍、アメリカは37.5倍、という数値に対して、日本はアメリカの半分以下の17.8倍にとどまっています(my INDEX 「世界各国のPER・PBR・時価総額 」2021年12月実績)。ただでさえ、遅れをとっている日本企業が、グローバル目線で経営をしていかなければ、投資資金は日本マーケットをスルーしていき、日本以外のマーケットに投資されます。その結果、日本企業は成長資金を獲得することが難しくなり、成長は鈍化します

スタートアップ業界では、メルカリ、スマートニュースなどが、アメリカ市場へチャレンジをしています。実際、当社の株主の45%(2021年11月末時点)は海外の機関投資家の方々です。グローバルスタンダートに追いつき追い越さなければ、こういった機関投資家の方々のサポートを受け続けていくことはできません。

今回、経営陣もメガベンチャーの経営経験のある、グローバル基準の経営力をお持ちのお二人、元楽天CTO安武さん、ヤフー取締役常務執行役員の宮澤さんに社外取締役としてジョインしていただく予定です。株主総会で承認いただければ、社内4名、社外6名で、引き続き過半数を社外取締役が占める体制を継続し、ガバナンスを強化しつつも、SaaS x Fintech領域で次なる成長にチャレンジをしていきます。

もし日本人が10年前に投資していたら?

少し話は変わりますが、この5年間の株価を見てみると、米国株式は約2倍、日本株式は約1.5倍10年間では米国株式は約5倍、日本株式は約3倍になっています。

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(出典:「Yahoo!ファイナンス」2022年1月14日時点 太字・色字筆者)

日本の個人の金融資産は現在約2,000兆円と言われていますが、もし10年前(当時1600兆円)、10%の160兆円をアメリカ株に投資していれば、800兆円、日本株に投資していれば480兆円に、個人の金融資産を増やすことができました。
(GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が株式比率を高められたのは、国民の財産を増やすという点で素晴らしい判断だったと思います。)

それと同時に、日本企業にも、160兆円もの成長資金が流れ込むので、企業の成長も加速していたことと思います。

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(出典:日本銀行「資金循環統計」2021年9月17日 グラフ筆者)

実際には、株式投資は、損をするリスクも当然ありますし、これほど単純な話ではないですが、資産に占める投資比率を10%増やすだけで未来は変わります。今、世間で話されている「分配」をしていくためには、そもそもの分配の元となるパイを増やしていく必要があります。

日本が持つ閉塞感や希望のなさをなんとかしたい。私たち一人ひとりが新しいことに挑戦し、新しい価値を生み出していく国にしていきたい」という憤りにも近い思いでマネーフォワードを起業したのがちょうど10年前。日本を元気にするためには一人ひとりが自分のお金に対する知識と主導権を持ち、やりたいことに挑戦できる人生を歩める社会へと変えていく必要があります。マネーフォワードの原点であり、ミッションです。

この10年間、当社として、「お金の見える化」を促進することはできましたが、「貯蓄から投資へ」の流れを加速するようなサービス、イノベーションを生み出せていないという焦燥を感じています。早くみなさまにサービスを届けられるよう今年も取り組んでいきたいと思います。

グローバル化は”3step”、要は人材のグローバル化

当社の最大の資産は人材、競争優位性は一人一人が作り出すカルチャーです。今回発表したチャレンジを実現するためには、今いてくれるメンバーが持っている力を遺憾無く発揮できる環境づくり、そして、更なる素晴らしい人材にジョインいただくことが必須です。
僕の時間のつかい方としてもウェイトが最も高いのが採用・人材教育です。驚かれることも多いですが、今も面接も面談もやっています。どうしても来ていただきたい方に対して、熱烈なアピールも勿論します(笑)

当社は、今期数百名の方を採用をし、年度末には1500〜1600人(2021年11月末で1259人)、もしくはそれ以上の規模になることを目指しています。

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(出典:2021年11月 通期決算発表資料

今のメンバーがより活躍するためにも、そして今後もすばらしい方にご入社いただくためにも、「働きがい」と「働きやすさ」の両立を目指し、様々な人事施策にチャレンジしています。

具体的には、人事報酬制度・評価制度を大幅改定し、給与テーブルも上方修正しました。同時に成果を出して下さった方により多くの報酬をお支払いできるような仕組みも取り入れました。経営陣も、社外取締役が過半数を占める指名報酬委員会で議論された報酬体系(業績連動型報酬等)を導入予定です。「マネーフォワードだからこそ、こんなに成長できた」「入社して本当によかった」と、メンバーのみんなに思っていただけるような会社をめざし、今後もフェアな人事制度として、よりアップデートをし続けていきます

また、人材という観点でも何より大事なのがグローバル化です。僕は、グローバル化には3stepあると考えています。

1)資金調達のグローバル化
2)人材のグローバル化
3)事業のグローバル化

当社の海外投資家比率はすでに45%と「1)資金調達のグローバル化」は順調に進んでいるので、次に取り組んでいるのが「2)人材のグローバル化」です。

特にエンジニアについては、国内だけに頼っていては需給関係というマクロ環境により、必要な人材を確保できず、成長の最大のボトルネックになってしまいます。現在、海外の開発拠点はありますが、今後さらにNon-Japaneseのメンバー(日本語が母国語ではないメンバー)を積極的に採用していきます。

※日経さんからも「人材採用力が成長力」というタイトルで取材いただきましたので、よろしければご覧ください。

agree to disagree

言語、バックグランド、文化もそれぞれが違う多様なメンバーに対して、個々のメンバーが働きやすい環境を整えていくという意味でD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の重要性は増しています。

D&Iというテーマを考えるとき、僕の原点は留学の経験にあります。僕は、2009年、32歳の時にペンシルベニア大学ウォートン・スクールに留学をしました。ドメドメの人間だったので、みんなの会話に出てくる文化や歴史観も分からないし、それ以前に、英語も苦手で、目の前でみんなが話している内容すらよく分からない状況でした。実際に人種差別にもたびたび遭いました。悔しくて、悲しくて、理不尽さを前に涙を流したこともありました。

この時は留学している日本人はほんの僅か、完全なマイノリティでした。このマイノリティの立場に立った経験が、逆にずっと日本という国においてマジョリティ側に立っていた僕に、マイノリティであることのストレスや辛さ、また、多様な価値観を受け入れることの重要性を教えてくれたと思います。

「agree to disagree(人はそれぞれ違う意見を持っているという事実を受け入れよう)」

先日、ソニーの平井一夫さんと対談をさせていただいた際に、平井さんが教えてくださった言葉です。その考えに賛成はできないけど、背景にある考え方は理解はできる、全否定で入るのではなく、まず相手を受け入れて、それから議論を組み立てて、よりいい結果に導いていこうという考え方です。

多様な価値観・才能を受け入れて、認め合い、お互いに高めあっていく、それぞれの持っている実力を発揮できる環境を作ることこそが会社の競争力の源泉になると思っています。D&Iは、会社の今後成長のために僕が今期、最も重視する、取り組まなくてはならないテーマの一つです。

D&Iの推進も含め、目標を実現するために取り組むべきことは山ほどありますが、今年もメンバー一丸となって、がんばっていきたいと思います。
僕たちと一緒にチャレンジしてくれる仲間を引き続き大募集していますので、ご興味ある方はまずはお話だけでもいいので、ぜひコンタクトください!

最後に

仕事の話ばかりになってしまいましたが、プライベートも、大切な家族、友人を大切にしながら、読書、テニス、ゴルフ、釣り、サッカー、キャンプ、登山、スキー・・・などなど楽しみたいと思います。そのためにも何より「健康第一」で、運動量を増やし、少しお酒を控えたいと思います。
また、昨年のnoteに書いた社会事業も今年中には方向性を定めて進めていきます。(まだお返事できていない方、申し訳ございません。)

コロナが落ち着いたら、今年こそは海外にも積極的に足を運んでいきます。スマートフォンの登場以来の盛り上がりになってきているWeb3.0についても、新しいテクノロジー、アーキテクチャでワクワクしてきますね!

長くなってしまいましたが、改めまして、皆様とご一緒に楽しくワクワクしながら、社会をforwardしていきたいと思いますので、今年もどうぞよろしくお願いいたします!

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