資本主義のルールを超えて #起業家が挑む社会事業 01
僕の人生のテーマの一つは「社会をForwardするために、チャレンジする人を増やしたい」ということです。
また、サービスの提供を通して、ユーザーのみなさんからうれしいお声をいただいたり、感謝いただいたりすることが僕の一番のモチベーションとなっています。
資本主義のルール
マネーフォワードでは、SDGsの一つの目標として「Society Forward」というコンセプトを打ち出し、推進しています。
社会課題を解決し、社会をもっと前へ進めていくというミッションの推進と同時に、僕たちは厳しい資本主義のルールの中で、ビジネスをしています。投資家から大切なお金をお預かりし、ユーザーに喜んでいただけるサービスを作り、対価をいただく。経済活動を通して雇用を増やし、配当や株価によって株主に還元していく、というサイクルです。
資本主義は、世の中にイノベーションを起こし、人々の生活をよくしている大きなエンジンの一つであることは自明ですが、一方で欧米を中心に、格差はどんどん大きくなり、人々の間で不公平感が生まれています。また、社会にとって素晴らしいことや、社会課題の解決のために活動をしているにもかかわらず、資本主義のルールの下では、経済的にはなかなか恵まれない活動が多いことも事実です。
適切な分配とは?
上記の課題を解決すべき立場にある政治の大きな役割の一つは、国家の圧倒的な権力である徴税権を使って集めた税金という資本を、適切に配分することです。ただ、この「適切」というのが本当に難しいなあと思います。
社会には、様々な立場、境遇の人たちがいらっしゃいます。社会的に恵まれない方々に対するセーフティーネットを作ってサポートすることは必須ですが、使える財源は限られていて、全ての要望を叶えることはできません。
それぞれの立場から見る「適切」は、立場によって全く異なるので、誰にとっても合意できるような「適切な分配」を実現することは、至難の業となります。さらに加えて、私たちが営利企業として「資本主義」という枠組みでの活動であるのと同様に、政治家は「選挙制度」という枠組みの中での活動であり、どうしてもその枠組みの間、はざまに落ちてしまう社会課題が多くあります。
政府だけに頼るのではなく、私たち自身が、仕組み上落ちてしまうような社会課題解決に向けて、配分の仕組みを作っていくことがすごく大切だと思います。
『パイ自体を増やすには?』
本論とは少し離れるますが、適切な分配方法を考えることと併せて、分配する元となるパイ自体を増やすことは極めて重要です。
平成元年当時、世界の時価総額トップ10に日本は7社を占めていましたが、30年後の平成30年のトップ10は、残念ながら日本企業は1社もなく、アメリカ、中国企業が占めたという週刊ダイヤモンドさんの記事がありました。日本が成長分野へのシフトに遅れている間に、アメリカ、中国は凄まじい額の新しい富、パイを創出しています。
分配する元となるパイ自体を増やすための規制改革、成長分野へのリソースシフトが、今の日本にとってとても必要なことだと思います。
起業家が挑む社会事業
ビル・ゲイツ氏やウォーレン・バフェット氏をはじめとする起業家が何兆円もの金額を慈善事業に投じたりしていて、欧米を中心に起業家が慈善事業を行うことは珍しくありません。そして、日本でも同様の動きが広がっています。
『日本の社会起業家』
古くは、渋沢栄一さんの社会事業から始まり(今年のNHK大河ドラマ「晴天を衝け」、本当に面白いですね!)、SONYの盛田昭夫さん、ソフトバンクの孫正義さん、ユニクロの柳生正さん、最近では、メルカリの山田進太郎さんなど、本業に加えて、社会貢献に積極的に取り組まれています。
前橋のまちづくりを勧められているJINSの田中仁さんのように、地域を元気にしていくという取り組みを始めている起業家も増えています。
私も、認定NPO法人フローレンスの駒崎弘樹さん、認定NPO法人カタリバの今村久美さん、ISAK Japanの小林りんさん、一般社団法人RCFの藤沢烈さんといった、素晴らしい社会起業家の方々と出会い、その素晴らしい志と思いに共感し、微力ながら応援させてもらっています。また、Sansan創業者の寺田親弘さんが設立を目指されている「神山まるごと高専」もあります。私もファウンディングパートナーをさせていただいており、今後は、起業家講師として授業も一部担当させていただく予定です。
他にも、クラウドワークス吉田さんが立ち上げられた災害時緊急支援プラットフォームである、一般社団法人 災害時緊急支援プラットフォームの理事も務めさせていただいています。
こういった他のすばらしい起業家のみなさまの活動を拝見していて、ここ数年、寄附という形に加えて、僕ならではのやり方で「社会をもっと前へ進めたい、貢献していきたい」と思うようになりました。
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