315億調達とその先へ
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315億調達とその先へ

「このままだと、あと数カ月もしないうちに、お金がなくなる」

振り返れば、創業期からいつも、そんな恐怖と闘っています。投資家を訪ね回り、幾度となく断られ、時には酷いことも言われました。

「マネーフォワード(お金を前へ)というミッションを持つ会社が、実はお金に困っている」なんてほとんどジョークみたいですが、創業当時は事実なので笑えません。

流石に最近ではビジネスも成長し、以前ほどの「お金がなくなる」という恐怖からは少しずつ解放されつつありますが、それでもビジネスは何が起こるか分かりません。「いつ潰れてもおかしくない」と常に漠然とした恐怖を抱えながら経営をしています。

先日、約315億円の資金調達が完了した際も、安堵の気持ちとともに、誰に言うとでもなく僕の口をついたのは「これでよっぽどのことが起こらない限り、明日会社が潰れることはなくなったかな」でした。

Why Japan?
Why Money Forward?

話は遡って、2018年の年末にも僕たちは海外募集による資金調達を行いました。当時はコロナ前でしたし、今のようにオンラインが当たり前の世界ではなかったので、海外の投資家に直接会いに行き、そして文字通り寝る間を惜しんで面談を続けました。

しかし、マーケットが崩れていた最中ということもあり、投資家の反応は芳しくありません。なかなか投資家から目標金額が集まらず苦しい時間を過ごしました。

海外の投資家からすれば「Why Japan?」「Why Money Forward?」。
GDPの成長率が他先進国と比べて見劣りする日本は、グローバル市場において、海外の投資家から見て、魅力的な市場には見えていません。加えて、僕たちはトヨタさんやソニーさんのような名が通った企業ではなく、グローバルではなんの知名度もない会社です。さらに、当時、投資家の鋭い質問にタジタジになることもあったりして(今もありますが…)、経営者としても力不足でした。そんな中、なんとかかんとか約70億円を集めることができたのですが、本当に苦しい資金調達でした。

そして、それから3年、今回はその4.5倍にあたる約315億円を調達することができました。

315億円調達の裏側

今回調達させていただいたのは約315億円でしたが、外部環境や投資家からの支援にも恵まれ、最終的にはその10倍近い3,000億円近い需要が集まりました。

当社が資金調達にあたって新規に発行する株式250万株=約315億円(供給)に対して、投資家の方々が購入を希望する株式は2,500万株=約3,150億円(需要)があった、ということになります。

そのため、希望通りの株式数を購入することができなかった投資家の方々が、さらに市場でも株式を購入してくださったことも起こったようで、資金調達のための新株発行で希薄化しているにもかかわらず、株価が上昇するという、我々も想定していなかった出来事も起こりました。これには、希薄化することでご迷惑をおかけする既存株主様に対して、経営者としてほっとしました。

一般的には、新規に株式を発行すると発行済株式数が増え、一株当たりの価値が下がるので、理論上株価はその分下がります。分かりやすく単純化すると、株価100円、発行済株式数100株の会社が、新規に10株発行すると、会社の価値は同じである(100円x100株=1万円)一方、株式数は10%増えるので理論上株価は、1万円➗ 110株 =90.9円 と約10%下がってしまう、ということになります。


何が変わったのか

日々のチームの頑張り、そして何よりユーザーの方々のおかげで、直近の成長が加速してきたということが勿論最も大きな要因です。それに加え、IRチームが日々のIR活動の中で投資家の方々と築いた信頼関係ということも非常に大きかったと思います。投資家と言っても、さまざまなタイプの方々がいらっしゃるので、興味を持つ点や懸念点は人によって違います。日々のIR活動の中で、そういった相互理解が大きく進んでいたように思います。

投資家との関係性も結局は、日々コツコツと積み上げることであり、人と人との信頼がベースだということを改めて実感しました。ある投資家には、「辻さんが上場時に言っていたことをきちんと実現していますね」と言われて、そんな以前のメモをきちんとみているのか、確認しているのか、と驚きました。

当社は、Fintech × SaaSのリーディングカンパニーとして、赤字上場、新しい海外公募への取り組みなど、前例がなかなかない中でも、新しい取り組みにチャレンジしてきています。

※この辺りは、IPOから4年弱IR責任者を務めた石原さんによる振り返りのnoteに詳しく記載されていますので、よろしければご覧ください。

今回の資金調達を踏まえ、「成長企業の増資は買い」というコンセプトが国内外に広がることにより、スタートアップエコシステムの成長スピードが加速し、もっと成長企業がチャレンジしやすくなるといいな、と思っています。

これからの展開と仲間募集!

この資金調達によって、当社の投資余力は大幅に増え、成長に向けてさらに投資を加速することができます。既存事業への更なる成長投資はもちろんのこと、グループジョイン(M&A)も加速していきたいと思いますので、ぜひ一緒に事業を加速したい!という経営者の方々がいらっしゃいましたら、お声がけ、並びにご紹介いただけましたら幸いです。

僕も資金調達を完了し、ようやく気持ちに少し余裕ができました。数日ぶりに顔を合わせたメンバーにも「顔色が良いですね」と言われたりしました。確かに発表から3日間、連日朝7時から深夜3時まで、1日最大17本!の投資家との面談を英語でこなし、疲労で顔色は日増しにどす黒くなっていっていました。

資金調達が無事終わったので「さすがにゆっくり夏休みでも取ろうかな」などとちょっと考えていて、ふと隣を見たら、CFOの金坂さんがもうフルスロットルで働いていて驚愕しました。

資金調達はゴールでは全くありません。

投資家に期待いただき預けてもらった資金を、しっかりと成長に結びつけていく大きな責任をまた新たに背負いました。これまで以上にユーザーの皆様に大きな価値を届けられる、より多くのユーザーのお金の課題を解決することができると思うと、心からワクワクします。これからが、まさにスタートです!

先日も、増え続けるSaaSへの新たなソリューションとして「マネーフォワード IT管理クラウド」の発表を行いましたが、これからもマネーフォワードのテクノロジーを活かしてSaaS×Fintech領域で社会課題を解決するようなサービスも生み出し続けたいと思います。

ほぼ全職種で募集しておりますので、ぜひ興味を持っていただいた方は、お声がけいただけると嬉しいです。僕たちと一緒に、社会をフォーワードしていきましょう!

謝辞


最後に、僕たちを信じて投資してくださった投資家のみなさまに深くお礼申し上げます。

また、エクイティストーリー作成にあたっては、証券会社のみなさまにも貴重な意見をいただくことができました。そして、身内で恐縮ですが、CFOの金坂さん率いる経営企画チームのみんな(僕は日本屈指のチームだと思っています。)、そして、日々頑張ってくれているメンバーのみんなのおかげです。本当にありがとうございます。一人一人の日々の頑張りを評価いただけたのだと、うれしく思います。これからも、チーム一丸で頑張っていきましょう。

そして、何より日々信じていつも応援してくださっているユーザーの皆様、本当にありがとうございます。引き続きどうぞよろしくお願いします!

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ありがとうございます!
マネーフォワード社長です。 ビジネス向けクラウドサービス『マネーフォワード クラウド』や、お金の見える化サービス『マネーフォワード ME』などを提供しています。経営のこと、サービスづくりのこと、最近興味あることなど発信していければと思います。 よろしくお願いします。