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水の中に自分を見た日(ロニ・ホーン展すごくよかった)

3月26日(土)小雨

ポーラ美術館に行ってきた。

ポーラ美術館は箱根にあるので、行くのがとっても面倒なんだけど、今月末で終わってしまうロニ・ホーンの個展がどうしても見たかったのだ。

朝早く起きて電車で小田原に向かい、登山バスに乗り換えて、山道をひたすら進む。

カーブ地獄

やっとポーラ美術館到着。山の自然の中に佇んでいる感じ。建築が美しくてよい。

ポーラ美術館エントランス

鑑賞の前にまずは腹ごしらえ。今日はまだ何も食べてないのだ。しかしやはり素敵な建築の空間はいいね。いるだけで気分がよくなる。

素敵な建築だと水すらもアーティスティックに見えてしまう。なんせ今回の展示のタイトルは、「水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」なのだ。

お腹を満たしていざ鑑賞へ。

このガラス作品を見てみたくて今回きた。写真でもすごくよかったけれど、やっぱり生で見るべきだと思った。実際対峙した際の存在感がすごい。

まるで液体のようなガラス作品。普通に上から見れば空っぽの入れ物に見えなくもないが、これが周りの風景をリフレクションした瞬間に、まるで別物のような文脈が印象の中に浮かび上がる。

100kg以上あるらしい
まるで水面のよう

この世は空(くう)であるといった仏教的な観点や、有と無が重ね合わせに存在しているような量子論的な文脈、そして外界への反応によって存在している、僕らの意識をリフレクションされているような、まるで自分自身を表現されているようなシンクロ感等、さまざまな心情が浮かび上がってきて、しばらくジーッと眺め込んでしまった。まるで池の水面を夢中で覗き込んでいた幼い頃のように。

まさに「水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」というタイトル通りだった。

正直久々にアートを見て痺れた。わざわざ箱根まで見にきて本当によかった。

優れたアートとは、作品そのものではなく、作品を通して、鑑賞者の中にさまざまな感情や文脈を想起される力があるのだろう。そういうアートに触れると、幸福感というか、充足感というか、言葉にできない「よきもの」が自分の中に広がるのは、おそらく自分の意識の下に広がる、無意識の領域にまで届いたからのではないか、なんて思ったりする。

この日は春の嵐で、風光明媚な箱根を見ることはできなかったけれど、それでもこの展示を見るにはピッタリの天気だったのかもしれない。

僕は「水」の中に「自分」を見たのだ。


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