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攻撃回数③ サッカーは失敗のスポーツ

サッカー中継では、試合中に「ボール保持率」というスタッツが視聴者に紹介されることがままにある。

この数字を見て、「えっ、実感と違うな」となることはないだろうか。

結論から言おう「ボール保持率」はノイズなのである。
そのノイズを取り払ってみると、聞こえてくるのは、「攻撃回数」というビートである。

一般的に、ポゼッション率が高いチームが攻撃的なのが球技である。例えば、アメフトではポゼッション率が高いチームが攻撃的であるし、テニスや卓球でもボールをたくさん打った方が勝つ。

ここで考えなければならないのは、アメフト等は手を使う競技なのに対して、サッカーは足を使うということだ。そのため、あらゆるプレーの成功率が他のスポーツに比べ、低くなる。

プレー成功率を考えるとき、最も重要なのが、「目」と「ボール」の距離である。例えば、ゴルフを考えてみよう。ゴルフは、止まっているボールを打つ競技である。なのになぜあれほど難しいのだろうか。例えば、ドライバーでティーショットを打つとする。その時の目とボールの距離はおよそ2メートルになる。だから、ゴルフは難しいのである。

逆に、卓球等を考えてみよう、あんなに至近距離でおよそ時速100キロメートル以上のボールを打ち合ってもラリーが続くのは、目と打点の距離が近いからである。

同様に、サッカーの場合を考えると目とボールの距離は、およそ自分の身長くらいになる。しかも、動いているボールを打つのだから、さらに難しくなる。また、ヘディングとパスの精度を考えてみよう。距離は出せないが、ヘディングの方が精度は高いのではないだろうか。

サッカーを解析する場合において、最も重要なのは、サッカーは失敗のスポーツであるということを頭に入れることである。すなわち、成功が少ないスポーツである。

これを前提にすると、試合時間90分間において、そのプレー試行数はかなり多くになり(失敗数が高いので)、成功率はかなり低くなる。

そのため、サッカーを解析する上で最も重要となるのは、ボリュームの大きい量的スタッツを見つけることである。

「ボール保持率」を採用できないのは、まずそれが量的スタッツではないからだ。これは、単純なことで両チーム合わせて必ず100%になる。
その上、名称通りそれはそれ「率」である、量ではないということである。
また、それはあくまでも成功を前提として、計算されている。

そこで、私が注目する「攻撃回数」の登場である。これは、量的なスタッツであり、かなりのボリュームを持ったもので、サッカーが失敗のスポーツであるという要素も解析を加えることのできるスタッツである。

以下に、J1リーグ第19節までの攻撃回数を上げた。次回からは、この攻撃回数を分析し、最終的には勝敗予想までのモデルを設計していきたい。この表をじっくり見ていただきたい。様々な驚きがあるはずである。その驚きの種明かしを次回から行おうと思う。


J STAS 参照



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