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批評 『クォーターバック: 不屈の求道者』、NETFLIX、2023年

『レシーバー 風を切って走る』を見た後、本作を見直してみた。

圧倒的に、本作の方が面白い。
一般的に、スポーツ選手は批判に晒されてやすい。なぜなら、その全てのプレーが録画され、査定され、批判されるからである。

その中でも、NFLのQBへの、批判はかなり厳しい。比べられるなら、プロ野球のエースぐらいであろう。ただ、エースも全ての試合に登板するわけではなく、多くても5分の1ぐらいであろう。全ての試合に責任を持つものではない。

エースQBは、怪我がなければ全試合に出場し、攻撃の全てのスナップを受ける。そのため、チームが勝てないとき、QBが一番に批判される。メディアで見られるQBの顔は、そつがないものだし、批判に対して言い訳はしない。なぜなら、批判をその場に留めておかなければ、ウィルスのように周りに広がるからである。

アメフトでは、思うより、多くの人が試合に関わっている。まずは、選手が控えを入れて53人、コーチが20人、トレーナーが10人、その他の人を入れると1チーム100人くらいが試合にダイレクトに関わっている。例えば、あるプレーが上手くいかなかった場合、少なくとも10通りぐらいの理由が100人から、返ってくるのではないだろうか。

これが、QBが批判に対して言い返さない大きな理由の一つである。QBが荒れたら、チームが荒れるのである。
そのため、QBは孤独である。チーム・スポーツでありながら、そのオフ・ショットでの立ち振る舞いは、まるで「修行僧」のようである。

あらゆるスポーツで最も孤独なプレーヤーは、QBであるように思える。彼らがいかに「孤独」に対しているか。それが、本作の見どころである。

まだ、『レシーバー』を観ている最中の方は、とりあえず保留して、本作を見ることを薦める。


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