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ラクをしたければ学級経営に力を入れよう

今日の要点

 ・学級経営で子どもの自主性、学力を伸ばすことができる
・学級経営は教師をラクにする
・学級経営では、「聞く」学級、「時計で動く」学級、「仕事が可視化されている」学級を目指そう
・1学期は種まき、2,3学期の収穫を目指そう


 学級担任は大変な役割です。14年間、学級担任をし続け、15年目で初めて担任以外のポジションについてよく分かりました。
 ところで、こんな状況になったことはありませんか。
 


・声を枯らしながら、必死に子どもたちに指示を出す
・同じ質問を何度もしてくる子どもたちに対応する
・提出物の回収に一苦労する
・あいさつもロクにできない子どもにイライラする
・授業中にやたらとトイレに行きたがる子どもへの対応に迷う
・給食当番、帰りの支度など、様々な準備が遅い

 
 他にもいろいろな状況があると思います。こういったことにイライラしていると、ストレスがたまり、子どもたちも怒られて自己肯定感が下がり、教師にとっても子どもにとってもよいことはありません。

 逆に子どもたちが学校で求められる行動を自然にとれるようになると、教師は学習に力を入れることができ、子どもたちも学習活動に費やす時間が増えるため、学力も伸ばすことができます。
 
 私は同僚から、「先生のクラスはラクそうでいいね。」と本音なのか嫌味なのか分からないようなことを何度も言われてきた経験があります。

 自分なりに同僚からラクそうに見える学級の作り方をまとめたいと思います。
 
 

1 こんな学級を作ろう!


   どんな姿を目指して、学級を作ってきたか。それはズバリ…
 
「自分が1日不在でも、他の教師の指示なしで1日過ごせる学級」
 
  もう少し具体的に述べると、次の3つのことができる学級です。
(1)「聞く」学級
(2)「時計」で動く学級
(3)「仕事が可視化されている」学級


2 なぜその3つが大切なのか


(1)なぜ「聞く」学級なのか


  先生や友達の話を聞くことによるメリットは少なくとも2つあると思います。
 
 一つ目は、学力の向上につながります。聞けないとどんなことが起こるのか?
 
   「静かにしなさい。」
   「もう1度説明します。」
   「さっき言いました。」
   「さっき言ったからもう言いません。」
   「何度も言っているのに、なぜそんな間違いをするの?」
 
 このような注意の言葉が必然的に増えることになります。

 先生の言葉の8割が学習に関する言葉の場合と、先生の言葉の8割が注意に関する言葉の場合を比較してみてください。

 もちろん、前者の方が学力は上がるでしょう。

 また、対話的な学びの観点からも、友達の話を聞くことができれば、自分の気付かなかった視点などに気付くこともできるので、学びの質が上がるということが言えます。
 
 

 二つ目のメリットは、他者を大切にしようとする態度が育つことです。聞くということは、相手や異なる考えを大切にしようとすることです。
 はじめは、教師から指導されてしぶしぶ話を聞こうとする子もいるかもしれませんが、自分が聞いてもらえたという経験が、相手の話を聞こうという気持ちを誘発し、お互いに大切にしあっていくことにつながります。

 そういうことが自然にできるようになった学級では、声の小さな(発言力があまりない)子どもも、声の大きな子と同じように考えを大切にされます。(少なくとも私の学級ではそうでした。)
 
 このメリットによって、学力は伸ばしやすく、履修遅れも防ぐことができ、子ども同士のいざこざも激減させることができます。

 そして、子どもにもメリットがあり、さらに教師のラクにつながります。
 
 

(2)なぜ「時計で動く」学級なのか


 自分たちで考えて行動する自治的な集団に近づくことができます。
 
「先生が来た~。すわれ~。」というドラえもんでよく見る風景がありますが、これはだめですね(笑)。先生が来なければ永遠に朝学活や授業が始まらないことになります。


 時計で動く学級ができれば、自分たちで朝学活を始めたり、着席したりすることができます。時間で行動できる学級を作ると、副産物があります。
 時間だけではなく、これを続けていくことで教室のいろいろな問題に気づいて、子どもたちが自らそれを解決しようと行動することにつながっていくのです。

 あとは、子どもを褒めていればどんどん伸びていきます。

 このサイクルに入ると、教師もラクになっていきます。
 
 

(3)なぜ「仕事が可視化されている」学級なのか


 子どもたちが気分で動くことを防ぐことができます。

 日常の当番活動などは気分ではなく、欠席等を除いて、当たり前に動いてもらわないといけません。子どもたちがどんな状況でも当たり前に仕事をしてくれれば、その分、教師は授業に集中することができます。子どもたち自身も、集団の役に立っているという自己有用感を高めることにつながります。
 
 当たり前のことを当たり前にするために、誰がいつ仕事をするのか?誰がまだやっていないのかが一目で分かるように可視化するのが大切です。
 
 当たり前のことが当たり前にできると、子どもは自己有用感を高め、教師は注意しなくてよくなるのでラクになります。
   
 

3 そのためにこんなことをしてみよう


 全ての教育活動に渡って、次のことを一貫して指導し続けます。
 

(1)「聞く」学級


  大切なのは、子どもたちが聞いていない状況であるにも関わらず、根負けして教師が話し出さないことです。全員が黙って聞けるように徹底して取り組む必要があります。
 
 聞く学級の作り方の例をあげるとすると、こんな感じでしょう。
 大きい声で話す、小さい声で話す、目を合わせる、黙るまで待つ、たまに怒る、へそを向けさせる、 物を置かせる、「1回しか言いません!」、etc
 
 注意しなくてはいけないのは、恐怖一辺倒でしつけようとすると、担任の話しか聞けない学級になります。
 
 ときにアクセントとして、怖い面を見せるのはアリだと思いますが、誰の話でも聞けるようにするには、聞けていることを価値づけてあげて、褒めてあげることが大切だと思います。さらに、友達から聞いてもらえてよかったと実感させることも、人の話を聞こうとすることにつながると思います。

 また、間違っても教師が声の大きい子だけの意見を吸い上げるようなことをしてはいけません。声の小さい子の意見こそ大切にしようとする姿を、子どもたちは見ています。

 聞いて、聞いてもらってを繰り返すことで友達を大切にする学級ができます。
 

(2)「時計で動く」学級


  教師が時間を守りましょう。時間を守らない教師の学級は、子どもたちももれなく時間を守ろうとしません。
  ちなみに私は、教師である自分が早めに教室に行ったときに、子どもが座ろうとしていると、「まだ5分もあるよ!」と声を掛けます。いくら教師が教室に入ってきても、時間が来ていないから座る必要がないことを説明するのです。
 

(3)「仕事が可視化」されている学級


  いつどこで誰が何をするのかが、学級全員から見えるようにしましょう。当番ポスターにそれらの項目を必ず書かせていました。また、慣れ→ダレ→荒れにならないよう、時折、仕事の状況を抜き打ちでチェックすると、緊張感を持たせることができると思います。
 
 
 
 
 
いかがだったでしょうか?


 学級を変革していく時期、特に1学期は大変ですが、根負けせずに全ての教育活動において、指導していきましょう。私の担任生活を振り返ると、大体1学期はあまり子どもと仲良くありませんでしたが(笑)、2学期くらいから急速に仲良くなっていくことが多かったです。それだけ、1学期は言いたくないことも逃げずに言ってきました。

 これをすることで、必ず教室がラクになり、学習指導に打ち込むことができる時期がきます。一朝一夕では学級は作れません。畑を耕し、種をまいているのと一緒です。
 収穫の2、3学期を目指して毎日半歩ずつ進みましょう。
 
 
今回の記事が、わずか1ミリでもあなたの助けになっていればうれしいです。
 
それでは、今回も私の大好きな寅さんのせりふでさようなら。
 
「夢なんて見てないでぐっすり眠りましょう!」


今日のまとめ

 ・学級経営で子どもの自主性、学力を伸ばすことができる
・学級経営は教師をラクにする
・学級経営では、「聞く」学級、「時計で動く」学級、「仕事が可視化されている」学級 
 を目指そう
・1学期は種まき、2,3学期の収穫を目指そう

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