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ジモ泉からの贈り物

真っ青の空の下、ポカポカとした休日の昼間
日常化していく温泉巡りが心地よくて、
ただ、湯上がりのひと時は非日常を感じる

喫茶店「茶房たかさき」のマスターの一言一句
別府温泉への熱い想いってやつを頂いた
その贈り物を僕なりに解釈を加えていく

喫茶店たかさき

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ビーフシチューの最後の一口が、忘れられない。
もうすぐ、後にすることを仄めかしてきてさ、
それでも、もうちょい居てよっていう匂いがして
ちょっぴり、僕にはスパイスが効きすぎていた。
マスターが焚き始めた石油ストーブの灯油の匂い
微妙に鼻に残る雰囲気が醸し出されていく。
僕たちは共に会話のエンジンを温めて行って、
別府温泉への熱い語りが繰り広げられた延長戦

そういえば、此処の温泉は無料な事に加えて、
硫黄成分がなくツルツルした「美人の湯」なのと
近くの山からの源泉掛け流しという豪華セット
ただ過去に、その山が金鉱山で採掘されていて、
一時期温泉の脈を分断しまった事があったらしい
温泉の歴史って奴はどうやら深くて、溺れそう。

あとね、マスターにど直球で聞いてみたんだ。
なんでここの温泉は無料なんですか?と。
温泉を維持するのに費用はもちろんかかる。
月の支払いだけではなく、別府の行政にも。
じゃあ、人々が暖まり続けることができる理由
マスター曰く、温度調節の蛇口は捻らない、
繋がりにはあるがままの姿が大切っぽいと思った

金儲けではなく、人儲けです。

質問した事への答えです。これが直接引用です。

オーナーの言葉の端々に人々の笑顔が垣間見れる
生きている意味ですら教示してくれる姿があり、
その中で特別に、心に残った言葉があった。

「自分の能力を理解した上で、極力頼まれた事は、全て引き受けなさい。これが人儲けです。」

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最近の私ごとだけどね。
レトロなモノに「エモい」と安く表現している
懐古主義者の大衆とは、距離感がある気がする。
過ぎ去った過去を高貴な物に仕立て上げていて、
安楽な場所に依拠している大衆っていうのが、
自己勝手を主張しているようにしか見えない。

お世辞にも綺麗とは言い難いジモ泉が近くにあり
年老いた爺ちゃんから夢見る未来の子供達へと、
コツコツと積み重ねた贈り物が循環している。
美化しすぎていない、ありのままを目指した
別府の明るい未来が来る事を願っている

明るく、楽しく、元気よく。

高崎さんから頂いた贈り物
温泉とコーヒーと本と煙草と春の匂い

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