⑧最終回　本当のこと【短編エッセイ】ハタチの私へ。人生計画

「そろそろ、話そうか」

福寿のお猪口を３本も空けていた。。
【４０代の私】の独り言にも似た話を
【２０才の私】は黙って聞いていてくれた。

良く聞いてくれたな。嬉しかったよ。

だって、君は私なんだから。
そして、私は君なんだから。
本当の事しか話さないよ。

これから君には、前向きで、がむしゃらな時期が来る。
暴走しそうなほど強烈な出会い
これ以上ない幸福感
泣きたいほどの情けない自分
先の人生が見えない時期も続くよ。
宝くじ当選より運の良い自分、
誰とでも親しくなれる自分、
どうしても親しくなれない人、
自分の力ではどうしようもない現実、
世界がわかったような日…

そんな日も現実に来るんだ。
心が何かに締め付けられて、１人では眠れない夜も1度や2度じゃない。

経験したから言えるんだ。
そして何かに迷ったときに、
この言葉を思い出して欲しいんだ。

「自分のためだけに、生きようとしないで」
「誰かのために、生きてみて欲しい」

難しいと思うかもしれないけど、まずは身近な人のために生きる。両親でも恋人でも友人でも良いよ。

その人が困っていることはないか、精神的にも肉体的にも疲れていることはないか。

少しでも違和感を感じたら実行して欲しい。
そして言葉に出さないと伝わらないから、上手に話すことを心掛けるんだ。

ある時はストレートに、ある時はさりげなく、負担に感じさせないように、話を聞いてあげることだけでもいいんだ。

すると、今度はあなたが困っているときに相手があなたと同じことをしてくれるんだ。不思議なんだけど、事実だよ。

人生なんて試練の連続だよ。

人は１人では生きていけないって言うでしょ。それは、着ているものや、食べるところや、住むところがないと、それを作ってくれる人がいないと、とか言うことだけじゃない。

希望や夢や幸せを掴むためには、
出会った人を大切にする事が大事なんだ。

その人達のために生きることは、君の人生そのものということに、気付いて欲しい。

今、君が漠然と抱いている不安は、この事を行動に移していけば、いつの間にかスーッと消えていくから大丈夫だよ。
そして、その事が、次に次にと不思議と繋がっていく。とても良い流れが出来上がるんだ。

自分が生きる理由も探さなくて良い。

もうそれは手に入れてる。
目の前の出来事から、目を背けなければいい。見てみないふりをしてはダメだよ。
勇気を持って向き合うことが大事なんだ。
そして、一つ一つの出会いを大事に育てていくこと。

誰かのために尽くすことは、君を孤独から救い、君の悩みを解決し、君の夢や目標を見つけ、君を大きな流れに乗せてくれる。

心配しなくていい

君は楽しく生きていけるから。
８４歳まで一緒に生きていきたいと思える人と出会えるから。

君は大丈夫だ。

「子曰く、吾十有五にして学に志す、三十にして立つ、四十にして惑わず、五十にして天命を知る、六十にして耳順う、七十にして心の欲する所に従えども、矩を踰えず」

----------私は十五才で学問を志し、三十才で学問の基礎ができて自立でき、四十才になり迷うことがなくなった。五十才には天から与えられた使命を知り、六十才で人のことばに素直に耳を傾けることができるようになり、七十才で思うままに生きても人の道から外れるようなことはなくなった。　--------------------------------------------------------------孔子『論語・為政』より

第１章　完