数学で抽象化思考を学ぶ
デザイン思考さんが先日非常に面白い記事を書いていてインスピレーションを得たので自分なりに考えを述べてみたいと思います。
まずはその記事をご紹介。
数学を学ぶ理由は思考訓練であるから、数学の解答そのものが将来使うかどうかが重要なわけではないと言うふうにぼくは解釈しています。有益な問題提起ですよね。
▽
そもそもどうして数学に限って特に将来使うかわからないという文句みたいな話が多いんでしょうか。(少なくともぼくはそう感じています)
それは数学が抽象的な学問であるからではないかという風に思います。
数学は哲学と並んでもっとも抽象度の高い学問なのだそうです。
よくよく考えたらそうですよね。
まどろっこしい証明問題や集合、帰納法などなど。
とりあえず具体例を見てみましょうか。
例えば下の図を見てください。(汚くてすみません)
【例題】Cは辺ADの中点でかつ∠BAC=∠EDCのとき
△BAC≡△EDCとなることを証明せよ。
という問題だったとします。
昔やった三角形の合同の証明ですよね。
【回答例】
仮定より ∠BAC=∠EDC
CはADの中点なので AC=DC
対頂角は等しいので ∠ACB=∠DCE
よって1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいので
△BAC≡△EDCとなる。
みたいな感じになります。
与えられた仮定が、∠BAC=∠EDCであることと、CはADの中点だということですよね。
そこに、”対頂角が等しい”という性質と、それによって導かれた”1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい三角形は合同である”という性質を根拠に、二つの三角形は合同であると証明しているわけです。
確かにこの単元の具体例だけで考えてしまうと使いどころがないような気もしてきます。
こうした見方をすると、三角形の形が同じとか、角度が同じ事を求めるなんて絶対今後使わないだろ。
となるわけです。(まあこれに関しても幾何学の基礎だったりするので、今後習う三角関数を含めて測量等で使う人も結構いると思いますけどね。ぼくも結構使いますよ)
しかし、この問題を三角形の角度を求める問題とだけ考えてしまうということは、具体でしか考えていないことになります。
では、少し抽象化、もとい一般化して考えましょう。
証明とは、ある仮定と性質(この場合は図形の性質)を根拠に結論を導くという考え方な訳です。
こういった論理構造は日頃よく使っているはずです。
そして業務の中でもあるんじゃないでしょうか。
ある仮定(仮説)のもとで、ある性質を根拠に結論を導く。
仮定+性質=結論
と表してみると、
結論と性質が分かってくれば仮定の正しさが証明されるし、
仮定と結論が出れば性質が分かる。
方程式も抽象化するための技法ですから
考え方のイメージを伝えるのに有効ですね。
というように抽象化もとい一般化して考えるといくらでも応用が利くようになるわけですね。
これに対して解法のみ、つまり具体にばかりフィーチャーする詰め込み教育というか丸暗記勉強をしてしまうと抽象化した姿が見えないのです。
だから、これって大人になったら役に立つの?
本当に使うの?
ってなるわけです。
答えを言いましょう。
ええ、めちゃめちゃ使いますよ、と。
▽
最後に、少し古い本ですが、数学的思考力に関するオススメを貼っておきます。いわゆる細野本と呼ばれ、大学受験参考書で一斉を風靡した著者によって極めて分かりやすく、とっつきやすいです。オススメ!今度読み直そうと思ってます。
具体と抽象についてもう少し詳しく知りたい人はこれ。ただ一言、名著過ぎます。
抽象化を利用した実践的フレームワークを学ぶにはこれをオススメ。
モレスキンノートを使ったメモの仕方にばかり注目がいきがちですが、本質は具象(ファクト・具体)を抽象化し転用(展開)するという実務上実に有益なフレームワークを学ぶ本だと思っています。
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