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「未来」 湊かなえ 著 双葉文庫

いくらフィクションだからといって、盛りすぎだよね、ここまでのことは、小説の中でしか起こらないよ・・・と、以前の僕であれば思ったことでしょう。

「おやっ?」と思うことはあっても、かつての自分も含め、多くの人は、「そんなことあるはずはないよね」「まさかそんなことはしないよね」と、自分を納得させ通り過ぎてしまいます。


でも、現実にそれは起こっているということを、今の僕は知っています。


いじめ、DV、ひきこもり、児童虐待、性犯罪。


人は、どこまでも残酷になれます。自分の心を封印すれば、他人の心を壊すのは簡単です。


しかし、完全には壊れない人たちもいます。この本の登場人物たちは、そういう人たちです。彼らは壊れなかった、だからこそ、その代償に地獄のような苦しみを覚醒しながら体験することになってしまったのでしょう。その苦しみの中に、ほんの小さな、うっかりすると消えてしまいそうな希望を見つけることもあるのかもしれません。「ばくだんおにぎり」、「ハイテンション」、「マドレーヌ」、「未来の自分からの手紙」・・・。


ネタバレになるので、細かい内容についてはお話ししませんが・・・すごい小説でした。



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