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「わたし、SaaSへ転職できますか?」~毎月数十名のSaaS転職希望者と対話して分かった、転職を成功させる3つのポイント~

このnoteを書こうと思った背景

弊社、エムエム総研の運営する「マーキャリNEXT CAREER」という転職エージェントは人材業界でもいちはやく「SaaS企業特化型」を名乗り、特にインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスなど近年急拡大する専門職の人材紹介および採用支援を開始しました。

そんな毎日のご相談の中で、もう何度も耳にしてきた質問がタイトルの通り、「わたし、SaaSへ転職できますか?」という質問です。

去年から今年にかけて、年齢も幅広く、有形/無形問わず、多様な業界の方から相談頂く機会が急激に増加し、SaaS業界への関心の高まりを身をもって感じています。

今回は、実際にご相談いただく方だけではなく、SaaS企業への転職に関心があると考えている方にこのポイントは抑えてほしいという内容をまとめました。

いつもは1対1の面談の中でお話する内容を幅広い方向けに書いているのでもっと詳しく聞きたいよ!という方は、一番下にリンクを載せておくのでぜひTwitterやFacebookなどでご相談ください。

序章1)
なぜSaaS業界が転職市場においてトレンドなのか

今、多くの求職者がSaaS業界に注目している理由の一つに、コロナ禍で社会的なDXトレンド・ニーズが急激に高まっている中、働く人たちのワークスタイルも変化していることにあります。企業のDX化や、組織の急激なIT化に伴うSaaS市場の拡大などでSaaS業界の市場規模が成長しているといった背景があります。2024年にはSaaS業界の市場規模は、1兆1200億円まで成長する見込みであることが株式会社富士キメラ総研によって発表されています。また、2021年6月にSmartHRが約156億円の資金調達を行いユニコーン企業となったのも記憶に新しいところ。

SaaS企業は自らがDX化を推進し柔軟なワークスタイルで組織運営を行っていくため、他業界に比べても業務専門性、業務裁量、労働環境、成長市場での成長機会など、組織にも個人にも多くの魅力があります。それゆえ、今人気の転職市場となっています。

ここからは、さらに掘り下げてお伝えします。

注目されている理由① 成長環境で働けること

まず何より一番の理由は、成長環境の中で働くことによって、自らも成長できる機会が多く得られる点です。
SaaS企業は長期的なLTV(ライフタイムバリュー=生涯顧客価値)で収益を回収するビジネスモデルのため、サービスが市場ニーズにフィットしてから利用ユーザーの獲得を目指し投資をしようとするほど短期的には赤字となるビジネスです。

長期的な収益を得るために短期的なプロモーションや組織拡大投資を行うので、拡大に必要な投資が短期収益を上回るため、成長するSaaS企業は短期的な成長を実現する為に第三者から資本を調達し、投資を行います。

そして第三者が入ると成果が求められるため、更なる事業成長が求められ、事業成長を求められた組織では、調達した資本を用いて人材の採用や組織拡大が行われます。

急速に拡大する組織では、マネージャーやリーダー等のポジションに就ける機会が多く訪れるなど、さまざまなチャレンジ機会があるため、必然的に働くメンバーの成長機会も多くなります。

注目されている理由② 希少なビジネス職種の拡大

SaaS企業では、「カスタマーサクセス」や「インサイドセールス」といった近年急拡大するビジネス職種が台頭しています。

先述した通り、SaaS企業のビジネスモデルは長期的なLTVで収益を回収するため、これまでの営業のように売る為の役割だけではなく、売った後もサービスを継続して利用頂くための活動が必要となります。新規獲得を担う役割、契約いただいた顧客に向き合ってサービス利用の定着を推進するなど、それぞれ異なる業務の生産性や運用効率性を高めるため、営業組織を分業化しているのです。

継続してサービスを利用頂くために必要な活動を「カスタマーサクセス」と呼び、この活動を専門的に担う部門、職種がSaaS企業で急拡大しています。

またインターネットやスマートデバイスの発達によって顧客の購買に関わる情報収集が容易となったことで顧客の購買行動も変化し、この影響によって営業もインサイドセールスとフィールドセールスの二職種に分業する組織が増えてきました。

こういった新たなビジネス職種ははっきりとしたデファクトスタンダード、つまり標準化された業務領域が存在せず、特に成果を生み出す前工程の組織作り、仕組み作りという領域はそれそのものを推進できる人材の希少性が高いためにキャリア上市場価値が高まりやすく、高年収が狙える点からも人気があります。

注目されている理由③ ワークスタイル、柔軟性の向上

最後に、営業組織の分業化がもたらしたもう一つのメリットは柔軟なワークスタイル環境の実現です。

分業化によって営業活動の工程を複数の部門が担うことで、SaaS企業ではアナログなマネジメント環境を撤廃し、SFAやCRMといったツールを用いて厳密に活動を管理することで、定量的な活動指標や目標によってマネジメントする組織が求められています。

それぞれの役割や業務内容が明文化され、日々の業務量やコントロールも容易となったことで、フレックスやリモートワークが許容される組織が増えている点が特徴です。

ただし、あくまでもワークスタイルの柔軟性向上は企業にとって優秀な人材を確保する為の手段であって、目的ではない点に注意が必要です。 つまり、在宅で働きたいという理由ではなかなかSaaS企業が受け入れてくれるわけではないことに留意しましょう。

序章2)
成長するSaaS企業はどのように見極めるべきか

これまではSaaS業界のトレンドについてお話しましたが、これはあくまで「成長するSaaS企業」についてのお話であり、当然SaaS企業全てに当てはまる話ではありません。

特に近年はあらゆるIT企業がSaaSと名乗っている為、自身にとって本当に良い転職となるかどうかは、求職者側もしっかりと見極めていかなければなりません。
では、どのように見極めれば良いのでしょうか?

見極め方① 誰が見てもサービスのバリューが一目でわかる

当たり前の話ですが、成長するサービスは、サービスサイトを見て誰に対してどんな価値を提供するサービスかがすぐにわかります。1スクロール、10秒見て分からなければそのサービスがマーケットにフィットして成長することは難しいでしょう。
求人を見る時は、必ずその企業のサービスサイトを確認するようにしましょう。

見極め方② 成長の裏付けと意思を確認せよ

SaaS企業だからといって全ての企業が成長している訳ではなく、当然伸び悩んでいるSaaS企業もあれば、衰退している企業もあります。
というより、今IT業界の多くが「SaaS」を名乗っている為、転職を成功させるためには単純に「SaaS企業」に転職するのではなく、成長意思を持った企業へ転職することが成功の絶対条件です。

今回は、その見分け方をご紹介します。

まず何よりもわかりやすいのは、資本に関わるニュースリリースです。
先述したように、SaaS企業のビジネスモデルは長期的に収益を回収するので、成長するためには赤字投資が必要となる場合が多いのです。その為、自己資本のみではリスクを取ることができず、第三者からの資本調達を行うケースが非常に多くなります。

もし資本調達が行われていない場合、その他に見るべき点は資本金や株主構成です。例えば株主構成をみると大手企業の子会社や、グループ会社の場合があります。その場合は親会社から資本を調達されていることも考慮しましょう。

そのほか、SaaS事業は「ARR」「MRR」と呼ばれる繰り返し得られる継続利用分の経常収益という考え方で収益管理をしていますが、もし選考中の企業があれば、「経常収益の成長率」という観点も重要になります。

見極め方③ 良い組織には必ず良いマネージャーがいる

働く組織がどれほど成熟しているのか、もしくは成熟していないにしろ、組織を作り上げていくために必要な優秀なマネージャーの存在は重要な見極めポイントです。

分業組織ではインサイドセールスやカスタマーサクセスなどの各職種が成果を出す為に、プレイヤーのスキルや能力に依存しない組織作りが求められます。組織の方針や各職種の役割、ミッション、目標、そして定量活動指標の策定や活動管理に必要な各種マネジメントツールの選定、導入、運用、評価制度の導入、運用など、とにかく組織構築に幅広いノウハウが求められるのです。

選考ではいかに内定を取るかだけでなく、その会社は自身を成長させてくれる会社かどうかを見極めることも忘れずに行うようにしましょう。

本編)SaaS企業での転職を成功させるために重要な3つのポイント

では、良い企業と出会った後に、自身が内定を勝ち取る為に重要な3つのポイントについてお話したいと思います。ここからが本題です。

ポイント① 自身にフィットする職種選びの方法

まず、SaaS企業はほぼ必ずと言ってよいほど、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス等の職種ごとに求人を募集しているため、自身がどんな職種へ応募すべきか迷うことがあると思います。

これまで法人営業を経験してきた方の中には既存顧客向けの営業経験がある為、カスタマーサクセスを選びたいという方は多いのではないでしょうか?実際、求職者の方と初めてお話した際にカスタマーサクセス職を希望される方も多くいらっしゃいます。

しかし、既存顧客向けの営業活動と、カスタマーサクセスは実は大きな違いがあり、これまでの経験をそのまま転用できるわけではないのです。
それどころか、カスタマーサクセスは受注顧客のみを対象とする組織の為、即戦力が
求められる傾向が高く、失敗が許されない環境でもあります。

つまり、これまでの業界知識や経験をそのまま活かせるならカスタマーサクセス、業界や業務上のキャリアチェンジ要素が強ければインサイドセールスやフィールドセールスなどの他職種を選んだ方が成功率は高いと言えます。

インサイドセールスは組織としてチャレンジ機会を提供できる柔軟性があり、業務内容に裁量を持たせやすい特徴があるため、インサイドセールスは敷居が低いという特徴があります。ですが、インサイドセールスと一言で言っても、営業活動の対象顧客属性によっても業務内容が大きく違ってきます。

このように同じ職種でも企業ごとに業務内容が異なったり、自身のこれまでの経歴と企業の選び方によって職種の選び方にも違いがある為、可能ならばエージェントなどの第三者のアドバイスなども効果的に用いながら活動すると良いと思います。

ポイント② 定量的にこれまでの活動を語る ― 経歴書、面談準備編

2つ目のポイントはキャリアの棚卸です。これまでの経歴を整理するという行為自体はどんな転職活動のガイドでも紹介されている点ですが、
SaaS企業の場合、分業組織のマネジメントでも取り上げた定量的な視点でこれまでのキャリアや実績を語る力が求められます。

そのために、経歴書を通じてこれまでのキャリアで積み上げてきた実績や活動をどこまで言語化できるかが選考準備という点ではポイントとなります。
特に選考における面接は、(企業にもよりますが)だいたい2次から3次、つまりトータルで2時間から3時間ほどしか対話する時間が用意されていません。

そのなかで、あなたが積み上げてきた経験や実績が適切に伝わるような準備が必要となります。面接の時間を通じてこれまでの経歴やキャリアを説明しているようではなかなか面接で評価頂くことは難しいため、経歴書に可能な限りこれまでの実績や活動を定量的に記載しておき、面接で更に深い対話ができるよう準備をしておくと効果的です。

ポイント③ 成長企業との面接に向けたスタンス形成

いよいよ面接に向けた準備に入っていきますが、みなさんはまず何をしますか?多くの人が選考においての面接準備と聞くと、「何を聞かれるか」を想定し、回答を準備するのではないでしょうか。

しかしこれは間違いです。面接の目的は質問に答えることではなく、選考を通じてあなたが数ある候補者から選ばれるために実施するものだということを覚えておきましょう。つまり選考面接とはあなたが複数の候補者から選ばれるためにプロモーションを実施する場です。

その為に、あなたは自分自身をどのようにアピールするか、戦略的に面接を組み立てる必要があります。その中でも特に重要視されるのが「自己開示」です。

例えば、面接官が複数の候補者が同じ経歴、同じ能力だと判断した場合、どのように一人の候補者を選ぶかを考えれば、対象者を深く理解できているかどうかにかかっています。そのために、あなたは自己開示を適切に行い、面接官に深く理解されている状態を作ることが重要となります。

重要なのは「Why」を意識して常に自己開示を行うことなのです。

― なぜあなたは転職活動をしているのか
― なぜ過去のキャリアでその会社を選択したのか
― 実績を上げる為に、あなたは何故その行動をとったのか

など、あなたを形成する行動の価値観や判断基準に関わる情報を開示することが重要です。面接官の質問にただ答えるだけではなく、意識的に自己開示してアピールすることを常に心がけましょう。

企業研究や業界理解ももちろん大切ですが、企業はあなたとの「カルチャーフィット」も見ています。入社後にミスマッチをおこさないためにも、自分と合う企業なのかは面接の際に見極める必要があります。

まとめ

▽職種選びのポイント

同じ職種でも企業ごとに業務内容が異なる!
スキルや業界でもフィットする職種が変わることを理解しよう

▽履歴書のポイント

履歴書・経歴書は「定量的」に記載すること!
面接で更に深い対話ができるよう準備をしておこう

▽面接のポイント

面接官にいかに深く理解されるかが重要!
意識的に自己開示してアピールすることを常に心がけよう

ご興味持っていただいた方は、以下にも取材いただいた記事がありますので、よかったら読んでみてください。
▼新R25

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