「おいしいごはんが食べられますように」 考察•感想


始めは仕事ができない人、その皺寄せを受ける人のあるある話かと思った。
でも違った。

人間はみんなそれぞれ能力が異なり、それ故の信念がある。
今の生活は信念に基づいた選択の結果である。
全ての選択にはメリットデメリットがあり、正しい生き方、楽な生き方なんてない。

そんなメッセージを感じました。


芦川さん

芦川さんは仕事ができない。仕事だけじゃなく犬の世話すらできない。

芦川さんの信念は できないことはやらない、逃げる である。

これを徹底しているので周りも難しい仕事や長時間労働は彼女にはふらない。一見「最強の働き方」に見えるが、それはラクなのだろうか?

彼女は代償として、セクハラに耐え、常に口角を上げている。(私は冒頭のペットボトルの件だけでも耐えられない。セクハラと訴える。)

お菓子作りも好きだからを過ぎて、仕事を押し付けている劣等感に駆られてやっているように見える。能力上そうするしかなかったとも言えるかもしれない。
でも実家から通えて支店も多そうな芦川さんにとっては背伸びの会社を転職せずに居座るのは彼女なりの戦略•処世術と言わざるを得ない。

押尾さん

押尾さんの信念は できることをやる。最後までやる。
学生時代好きでもないチアダンスをやり続けた押尾さん。結婚式の余興もやるからにはちゃんとやりたい、でもちゃんとやれないことに憤る。
仕事もちゃんとやる。芦川さんにも容赦しない。
しかし自分以外の人の芦川さん擁護は止められないので、彼氏と知りながら二谷に近づき、嫌がらせをする。
歪んだ行動だがこれも彼女の信念上やらざるを得なかったのかもしれない。
芦川さんに負けて会社を去ることになったが、去り際の挨拶も押尾さんらしい。結局行くのはチア関連の会社というのはもどかしい。 

二谷さん

本当は文学が好きなのに就職に有利と考え経済学部へ行った二谷。
食事を大切にするという価値観が嫌いなのに、食事を大切にする、弱く可愛い芦川さんと付き合っている。
二谷の信念は 実益優先 
でも気づいたら芦川さんの料理の後にカップ麺を食べ、押尾さんと芦川さんへの意地悪に加担する。
同業者にに文学部出身の男がいてショックを受ける。文学を趣味として続けるグループLINEは無視しているもののグループは抜けていない。 やっぱり実益優先で選んでも本心は揺れてしまうのだ。


3人それぞれ生き方は全く異なるが、それぞれの考えで行動し、その結果に責任を持って生きている。
どんな人にもその人の事情がある。
どんな選択にも代償はある。

そんなことを感じました。



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