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余裕=暇は必要! 「暇と退屈の倫理学」 要約、感想

こんにちは。仕事が暇なワーママ芳花です。

以前のポストにも書きましたが、今年に入ってから抱えていたプロジェクトが一段落し、仕事が暇になりました。

あれ、やること全部終わっちゃった…定時1時間前。なんて日もザラ。

なんとなく仕事が暇だと充実感が不足して、退屈だなぁと思ったり。週末充実させようとたくさん人に会ったり。でもこれで良いのかな?と不安になり。

そんな時、タイトルに惹かれこの本を読みました。要約、感想を書いていきます。


要約

退屈は必然、退屈は辛い

前半はひたすら人が退屈する必然性を説いています。
一万年前の気候変動により、それまでの遊動生活が難しくなり、食べ物を貯蔵するために定住生活をするようになった人類。
狩や採取し、食べ物が無くなったり環境が汚れたら移動していた遊動生活では日々変化があり退屈しない。人間の能力をフル活用できる。
一方定住生活では毎日同じ場所。同じタスク。
そりゃ退屈して当然だよね!

暇=余裕、暇≠退屈

また暇と退屈についても定義しています。
筆者によると暇は余裕がある状態で、暇=退屈とは限りません。
かつての有閑階級にみられたように、暇があってもそれを楽しめている人はいます。
(ただ有閑階級はその生活を維持するために犠牲になっている人がいるので社会構造として不適切)

消費と浪費

消費と浪費についても定義しています。
浪費=必要以上のものを受け取ること。
この「ものを受け取る」というのは文字通りではなく、そのものを楽しむことを意味しています
消費=ものを受け取らず、他人にアピールするために使うこと。
例えばテレビで紹介されているレストランへ行き、料理を楽しむのではなく、それをSNSにアップすること等。
浪費はいつかは満足しますが(料理を味わうならお腹いっぱいになる)、消費はさらに消費したくなり(SNSにあげたらさらに他のお店にも行きたくなる)際限がないと言います。

退屈の形態

さらに退屈には2種類あると考察しています。
退屈の第2形態
暇があり、退屈を感じながらも気晴らしをしながらやり過ごしている状態。人間らしい状態。気晴らしはパーティーに行って社交するなど。
退屈の第3形態≒第1形態
第3形態は退屈が煮詰まって退屈のことしか考えられない状態。やがて退屈から逃れるために行動しようと決心する。第1形態は行動している状態。何かをしようと決めて実行している間は退屈から逃れられる。だけどそれは退屈から逃れるための行動でありいわば退屈の奴隷。狂気。
例 ワーカホリックや戦争に喜んで参加する等

環世界、動物は退屈しないのか

環世界とは、生物は同じ世界を生きているようでそれぞれ別の世界=環世界を生きていると言う考え。例えばダニは目も見えず音も聞こえないが、吸血する対象を識別できるように鋭い嗅覚を持っている。ダニが生きている世界の見え方は人間とは異なる。

動物が持っている環世界は種や成長段階によって異なるが、個体間のばらつきは少なく、比較的1つの環世界に長く浸っている。
一方人間は新たな知識を得て環世界をどんどん塗り替えていく。天文学者が見る星と一般人が見る星は違って見える。

筆者によれば、人間は環世界の移動が早くできる故に1つの環世界に没入できない=退屈する

どうすればよいのか?

筆者の結論は

①楽しむこと、楽しむための訓練をすること
退屈の第1形態、第3形態は論外で、まず暇=余裕を持つこと。その中で消費ではなく浪費をすること。つまり他人にアピールするためではなく自分が楽しむこと。
楽しむには訓練が必要。例えば音楽や絵画を楽しむには知識が必要。料理だって知識があればただ生命を維持するために食べるのではなく、楽しめる。

②考えること、そのためのアンテナを貼ること
ちょっとここは理解できなかったけど、人間も考えることでひとつの環世界に没入できる(?)
新しい環世界を作り出す時人間は考えている。
また考えるには変化に気づくことが必要。変化に対してなぜなのか?と考えることができる。

感想

暇=余裕は必要!

はい、暇なことに罪悪感を感じてこの本を手に取りました。
しかし筆者曰く退屈の第1形態≒第3形態は狂気で、第2形態が人間らしい姿とのこと。
安心しました。
そして何となく感じていた「ただ忙しくして暇をなくして考えないようにするのは良くない」ということに確信が持てました。

消費ではなく、楽しもう

これも腑に落ちました。本当に楽しんでることって人に言う必要がない。
今は子育てで行けていないですが、私の出産前までの趣味はバードウォッチングです。可愛い野鳥、珍しい野鳥を探して日々駆け回っていました。
でもリアルの友達に話すことはあまりありません。理解されないの分かってますし、この楽しさは自分だけが分かっていれば良いので。

人に羨ましがられなくても、自分が楽しめることをしよう!そう思いました。
これからは子育て中でもできる新たな楽しみを探したいと思います。

まとめ

余裕のある今の生活は間違っていないし、この中で自分が楽しめるものを探していこうと思いました。
退屈から逃げるために、予定を入れまくるのも避けたいなと思いました。適度な気晴らしは必要ですが。

総じて読んで良かったです。

(筆者の結論の半分、環世界の考えは面白かったけど、環世界を素早く移動できるから退屈するというのと、考えることとの関係は私には理解できませんでした。。。)


余談

哲学についての本を読んだのは初めてでした。
色々なデータや過去の哲学者の研究をもとに論証して行くのですが、著名な哲学者も破茶滅茶なこと言ってたり互いに否定しあったりして面白かった。
著名な哲学者の言葉がさも正しいかのように引用されていることって多いけど、そうでもないんだな〜と言うのが分かった。


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