見出し画像

ノンレム睡眠と痛みとの関係性

こんにちは。

本記事では、ノンレム睡眠と痛みとの関係性について説明していきたいと思います。

睡眠の種類
睡眠には、一般的に①ノンレム睡眠、②レム睡眠があります。

図:1日の睡眠の種類

就寝すると、まずは、「ノンレム睡眠」が始まり、深い睡眠に入っていきます。1時間程度経つと徐々に眠りが浅くなっていき、「レム睡眠」に移行していきます。
夜の前半では、90分サイクルの大部分は深いノンレム睡眠であり、レム睡眠はほとんど現れません。しかし、後半に入ると、ノンレム睡眠とレム睡眠のバランスが変わり、今度は、レム睡眠が大部分を占めることになります。

まずは、このノンレム睡眠が身体にとってどんな働きをしているかみていきたいと思います。

【ノンレム睡眠の役割】
①成長ホルモン分泌
②記憶の定着
③運動スキル向上
などがあるとされています。
それでは、各々の役割をもう少し詳しくみていきたいと思います。

①成長ホルモン
成長ホルモンは、その名の通り子供の成長を促進します、一方、大人にとっては、傷ついた細胞をケアし、修復を進めてくれる物質になります。具体的には、皮膚や骨、筋肉などを作る組織の修復や再生を行ってくれています。
最初90分のノンレム睡眠は、睡眠全体のなかで最も深い眠りになります。成長ホルモンが最も分泌されるのがこの最初の90分であるといわれています。また、分泌量は日内リズムの影響はあるものの、圧倒的のノンレム睡眠の質に依存しています。
つまり、ノンレム睡眠の質を高め、しっかりと成長ホルモンを分泌させることが、皮膚や骨、筋肉(痛みを感じる組織)の修復に役立つことになります。

②記憶の定着
記憶の保持時間による分類では、感覚記憶(保持時間が数秒以下できわめて短い)、短期記憶(保持時間が数秒~数十秒)、長期記憶(保持時間が数分~永久)に分かれています。
この短期記憶から長期記憶に移行する作業をノンレム睡眠で行っているといわれています。つまり、新しい情報を入手しても、睡眠を疎かにしていたら、記憶の定着が起こりにくいということになります。
また、人は忘れるためにも眠りを使うといわれています。睡眠は、必要な情報をきちんと保管するだけでなく、いらない情報を捨てるという役割も果たしています。この記憶の選別もノンレム睡眠が行っていることがわかっています。
例えば、ぎっくり腰で腰を痛めたことがあると、腰を反ったら痛むのではないかと不安になることがあると思います。ケガした直後は痛みがあると思いますが、治ってからもその不安が頭をよぎるケースもあるかと思います。そんな嫌な記憶を忘れ、新しい動かしてもが大丈夫という記憶を定着させてくれるのは、ノンレム睡眠になるわけです。
つまり、感情面の問題はあるにせよ、動いても大丈夫というポジティブな記憶に変換してくれるのに、ノンレム睡眠は一役買ってくれることになるのです。

③運動スキル
睡眠が、運動スキルを高めることを証明する研究を紹介させていただきます。
非利き手を使ってキーボードで数字を打ち込む練習をしてもらい、できるだけ早く、正確に打ち込めるようになることを目指してもらった。被検者は数字を正確に打ち込めるように、途中で休憩をはさみながら、12分間の練習をしてもらった。
被検者を①、②の2つのグループに分けた。
①午前中に練習し、その日の夜にテスト受けた。
②夜に練習し、8時間寝てから翌朝にテストを受けた。
結果、一晩寝てからテストを受けたグループは、数字を打ち込むスピードが20%上昇し、正確性は35%上昇した。
つまり、脳は独自にスキル練習を続けていたということであった。
睡眠によって問題の箇所が洗い出され、問題が解決され、スキルの習熟が起きていた。
このスキルの習熟の要であるスピードと正確性の向上は、ノンレム睡眠(睡眠最後の2時間で現れるノンレム睡眠ステージ2が重要)とのつながりがあったといわれている。起きている間に一番鍛えた脳の運動を司る部位で活動が多くなることがわかっている。
つまり、痛みを軽減させるために、リハビリなどで運動方法を変えていくことになった場合は、ノンレム睡眠による運動スキルの向上が重要となってくるのです。


痛みの改善(痛みには様々な原因があるため一概には言えませんが)には、質の良い睡眠はとても重要な要素になると思います。
痛みに悩んでいる方には、睡眠を大切にしていただきたいと心より思っています。
引き続きよろしくお願いいたします。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?