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「なんでなんで攻撃」の話

「なんでなんで攻撃」「なぜなぜ攻撃」は、精神保健福祉士の実習指導を経験するようになって、よく耳にするようになった言葉です。


精神保健福祉士の実習だけではなく、働き始めた新人さんに対しても多いかもしれないですね。

実習を受け入れる初体験

組織に所属していた頃に実習指導に興味があった
始めての経験はおそらく初任者の頃で、地域でソーシャルワーカーに興味があるという人(大学で学んでるでもなく)からの相談だった。職場もスタッフを増やしたい意向と僕に指導の経験をさせたかったのだと思う・・ということで受入れてみた。僕より年上だけど若いお姉さんで、熱意はすごいと思ったけど、指導して何か「違和感」を感じる経験だった。


「違和感」というのは

僕の未熟さも当然あって、伝えたいことをどう伝えるか、気づいてほしいことをどう導くのか、そもそも伝えたい事の言語化ができない僕がいた。
彼女はおそらく「こうあるべき」という理想をしっかりもって勇気をもって実習に臨み「精神科病院の現状」を体験して、僕と似た「怒り」のようなものが表情や態度に分かりやすくでていた。それが僕を見ているようでもあったと思う。僕はスーパービジョンを重ね、先輩との交流を重ねて、他病院の現状や先輩SWとの出会いを重ねて、患者さんにも病院職員にも地域の人にも「統制された情緒的関与」を意識していた頃だった。


大学生の僕は実習しなかった

当時、地元大学の福祉学科の授業内容は、高齢者、児童、障害者分野の福祉が中心で医療ソーシャルワークを学ぶ授業は記憶にない。僕がバイトばっかで不真面目だっただけかもしれない( *´艸`)
少なくとも医療ソーシャルワークを経験した先生はいなかったし、学生の頃の僕はソーシャルワーカーは目標ではなかったから、実習を経験したことがない。教授の社会調査に駆り出され、信号も横断歩道もないような田舎を一軒一軒回っておじいちゃんおばあちゃんと1時間程度話を聴くのは楽しかった。発達心理の授業も好きだったから、その教授のゼミに入った。なのに福祉職には興味がなかった(;^ω^)
でもソーシャルワーカーになったもんだから、困りました((+_+))

精神保健福祉士の国家資格化の話が右往左往していた頃に数名の実習相談の記憶はあるけれど、本格的なものではなかった。


20代後半、本格的に実習指導をはじめる

閉鎖病棟、開放病棟、デイケアと訪問看護、相談室の順番で、それぞれ1週間ずつ4週間を過ごしてもらうようにして、毎年何名か受け入れるようになった。
学生さんからは「いきなり閉鎖病棟はキツイ」という反応が多くて迷うこともあったけれど、殆どの学生さんが「いきなり閉鎖病棟、落ち着いてきて開放病棟、家に戻ってもデイケアや訪問看護で、どの過程でも相談室がかかわってくれている患者さんの立場を体験して学べてとても良かった、終わるのがもったいない」と言ってくれる学生さんが多かったから、この流れで続けていこうと考えていたら、精神保健福祉士という国家資格になって病院実習は2週間となってしまった((+_+))


「なんでなんで攻撃」が普通なの?

日本精神保健福祉士協会からの案内で、今後の実習指導者養成のための研修のプレ研修を開催する案内を見て、迷わず申込んで東京行の飛行機チケットを購入した。

全国の精神保健福祉士との出会いは刺激的だった。有意義な時間と学びを共有できたと同時に、おそらくこの頃から「なんでなんで攻撃」「なぜなぜ攻撃」というフレーズが耳に残るようになった。

実習に関する研修参加や情報収集をするほど、「なんでなんで攻撃」そんな言葉を当たり前のように耳にするようになった。そんな表現が浸透しているのはなぜ?どう捉えたらいいのか・・そんな感じだった。

◆「なんでなんで攻撃」
実習指導の振り返りをするとき、実習生の発言に対して指導者が「(そう思ったのは)なんで?」「(そう考えたのは)なんで?」「(そう言ったのは)なんで?」「(そう行動したのは)なんで?」と深掘りしていくことが、実習生には攻撃されているように思う体験として残るものらしい。

「なんで?」とか「なぜ?」そんなに使うかなぁ・・違和感を感じる・・使ってるかもだけど・・モヤモヤ
「その時どう思った?」「どんな様子だった?」「どんなやり取りしたの?」「もし担当SWだったらこの後どうするだろう?」いろんな聞き方するなぁ
聞き方の問題じゃなくて?深掘りすることが攻撃されるってこと?
いろんなことを考えるようになってたな(๑╹ω╹๑ )


吸収するだけが大事じゃないよ

ソーシャルワーカーもいろいろだから、「なんで?」の意図や聞き方はいろいろあるかもしれない。
学んだことや体験したことから何を吸収できているか確認したい場合
②吸収するだけでなく、感じたことを言語化して欲しい場合
一般社会では、ここまでしっかり言語化できれば優秀と勘違いしやすいけど、精神保健福祉士の指導者はさらに求める人が多いように感じている。

③現状を理解して吸収する実習生は頼りなく、「違和感」を感じてもがくその人らしい部分を知りたい場合

現状を受け入れ理解することも必要だけど、「違和感」を感じる感性を磨くことも大事だと思う。

「違和感」は、これまでの自分の認識との違いに触れているということで、「視野の広がり」「新しい気づき」「理解の深まり」に近づいている。

実習生が違和感を言語化できた時(その言い方もあると思うけれど)、現場に難癖を言っていると受け止める指導者がいるかもしれない。それこそ「なんで?」「いいところに気づいたようだけど、そう感じた理由をもう少し詳しく教えて」と、違和感を大事にもがく経験をしたらいいと思う。「“現状”を“理想”に近づける努力をしても、常に新しい課題は生まれるもの。だから「違和感」は現状を変える視点に活かすことが大切だよ。」と教えていいと思う。

指導者の意識や経験値も、学生さんの個性も、お互い様々で影響し合うから、「なんでなんで攻撃」話は無くならないのかもしれない。少なくとも指導者は学ぶ人の成長の種を摘まないようにしたい。実習する学生さんはコミュニケーションは苦手だとしても実習するのなら、積極的に能動的に体験から学ぶ姿勢で臨んでほしいのは、どの指導者も同じ思いだと思う。


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