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私が高校卒業後にイギリス学部留学してエジプト学の学位を取得してきた話 #2

2006年9月から無事にリヴァプール大学のInternational Foundation Year(IFY)Programmeが始まりました。私のイギリス留学の始まりです。

この学部進学準備コースは様々な学部への進学を希望している留学生が集められていたのですが、理工系と人文社会系は完全に分離され、私は人文社会系の方へ割り振られました。法学志望、経済学志望、英文学志望といった学生の中で唯一のエジプト学志望が私でした。(まぁ、これは想定の範囲内です)

同期の国籍は非常に多様で、中国や中央アジア、中東、それからEU圏だけどもエストニアから来ている人もいました。中国も上海から来た人もいれば、福建省から来た人もいたりと様々。そんな中で日本人は私一人でした。英語は最低限の能力を持っていたと思いますが、最初の半年はひたすら聞き返す日々の連続でした。周りの留学生も基本的には英語がそこまで上手ではなかったので、劣等感みたいなものは無かったけども、先生の英語を聞き取るのに三ヶ月位は四苦八苦してましたね

イギリスの大学では前期と後期でそれぞれ授業を半期60単位、1年間120単位を取得します。リヴァプール大学のIFYでは一つの授業が15単位だったので、半期に4種類を選択するのが一般的なスタイルでした。各授業は週2時間なので1週間で授業があるのは8時間だけです。日本の大学のシステムから考えると、物凄く少なく感じるかもしれませんが、その代わりに一つでも落第すると留年(もう1回やり直し)か退学の危機となります

選択した授業の詳細がもう思い出せなくなっていますが、確か前期は「英語」、「法学」、「イギリス文化」、「IT」で、後期は「IT」の代わりに「論理学」で他3つは継続しました。全くエジプト学と繋がり無いですが、あくまで教養課程のような位置づけなので専門性を高めることを目的としていないようでした。

授業で使っていた校舎が、元々は病院だったところだったという話を聞いたことがあります。リヴァプール大学は "Red Brick University"(赤レンガ大学群)と呼ばれる19世紀末から20世紀初頭に設立された大学の一つで、今でも残る上の写真の赤レンガの建物からスタートしましたそこから近隣に校舎が広がり、病院や住宅だった建物を吸収して校舎として使い、議員会館に至ってはSydney Jones Libraryという24時間オープンな図書館になっています。

これはヨーロッパ全般に言えると思いますが、古い建物が本当によく残っているんですね。築100年なんて若い方で、増改築していますが、築数百年もザラです。安全には支障ないですが、階段なんかはギシギシと音が鳴ってうるさかったのはよく覚えてます。でも、なぜか居心地がよかったですね。いま考えてみるとハリーポッターに出てくる建物の感じは、イギリス感が結構でてます。

さて、授業の中身についてですが、「英語」は座学とグループワークで構成されていて、座学では毎回配られたテキストを読んできた前提で基本事項の確認から始まって、応用問題があり、ちょっとした発展問題もやりました。イギリスに特異なことではないと思うんですが、「テキストや指定された書籍は読み終わって把握していることを前提」として授業が進むんですね。だから予習復習は絶対に、絶対に、絶対に必要!毎回のテキストはだいたい20ページから酷いと50ページくらいあって、しかも当たり前ですが英語なので、慣れるまでなかなかハードです。この方式はIFY時代の他の授業や、学部の授業でも同じでした。

大抵のことは1万時間やれば上達するといいますが、イギリスの大学生は在学中に1万時間以上は半ば強制的な速読と読解を経験するので徹底的に鍛えられています。多分、これはアメリカや西洋文化圏の大学なら同じだと思います。そういう頑張りって日本だと小馬鹿にする風潮が学生の時はあったりして、個人的には生きにくい世界だなぁと感じていたので、イギリスでの学校生活は非常に自分向きだったと思います。

ただ、授業内容の難易度は低めに設定されていたので、量と速さに慣れると、意外と余裕が生まれてくる感じでした。大量の文章を限られた時間で読もうとすると、①ひたすら自力で頑張るか、②複数人で担当して集合知で頑張る、となるんじゃないかと思います。私は基本的に①で自分のペースで進めていました。IFY時代にも友達はもちろんいたけども、同じ国や地域から来ている人たちだけが集まってコミュニティ作って②をやっていた印象です。どちらが良い悪いとかではないですが、自力で頑張ることで予定や時間の管理能力を高めることができたのではないかと思います。これは学部でも、その後の大学院や会社員になってからも役立っているgeneric skillです。

一方、グループワークは予習できない内容で、「英会話」の授業をイメージしてもらうと一番近いかと思います。恐らく小学校向けくらいの歌から始まって、80年代のPOPSも取り入れたりと、まぁ楽しめて気楽な授業でした。講師の先生は英文学・英語学の専門家で、歌の時は毎回ギターを持参してました。遊びみたいに感じられるかもしれませんが、いくら単語や表現を覚えていても多くの日本人が英語が使いこなせないのは「英語という言語のリズム」が身に付いていないからだということに、後に大学院で言語学を学び始めて気付きました。

この他に選択していた「法学」、「イギリス文化」、「IT」、「論理学」については、また次回のノートで書こうと思います。


【告知】イギリス留学するまでに、それから留学中にも取り組んでいた、英語学習法を有料ノートで公開しています。一部は見れるようにしていますので是非ご覧ください。


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