江戸中期から伝わる「皮なめし」をイノシシでやってみた ③毛が抜けてきた
原皮を川にさらす「川漬け」をしてから、2日目、3日目と変化が表れてきましたよ。
このシリーズは、ある狩猟雑誌の取材をかねてチャレンジしています。プロのアドバイスも交えて手順をまとめた記事は、誌面で公開されます。(3月には告知ができると思いますので、お楽しみに!)
前回、川漬けの準備
川漬け2日目 古皮に変化が!
次の日は、野犬に喰われちゃいないかと、気が気じゃなかった。愛しい姫をたったひとりで城に残したナイトの気分が、今ならわかる。昨日と同じ時間に、川へ向かうと・・・
あった! ふたり(?)とも元気だ。上流が新しい皮、下流のが臭かった古い皮だ。心なしか、初日より柔らかく、へなへなしているように見える。
古い皮は、少し力を入れてひっぱると、こんなにごっそり抜けた。
わぁ~、本当に抜けるんだ! 話に聞いていたことが現実に起きた感動。
部位によって抜けやすいところ、そうでないところがあって、首肩まわりが一番抜け安く、次いで背中(写真の白くなっている部分)、まだぜんぜん抜けなかったのはお尻だった。足もなかなか強敵。
新しいほうの皮は、びくともしなかった。そりゃそうだろう、まだ2日目なんだから。
夜は、オーガキさんが電話をくださり、なめし工程を再レクチャーをしていただいた。前回ギモンだった、ロープの種類は綿でもなんでもいいそうだ。ちなみにオーガキさんが子どものころは、たぶん麻縄だったとのこと。ロープの結び先は、川の両端には木の杭を打って、連結部分が浮かないように途中を石で押さえていたらしい。
皮王は、あと数日でパリに行っちゃうんだけど、ぎりぎりまでこうやって教えてくださる。ありがたい。なんだか、頼もしい「皮なめしのパーソナルトレーナー」がいてくれるみたいだ。
川漬け3日目 この「ねろねろ」は何?
おやおや、なんだかヒラメかカレイのように、川底に沈んでいるぞ。
皮王オーガキさんによると、塩がぬけると水に沈むんだとか。
新しい皮は、首元もまだ抜けず。
しかし、古い皮は抜けがよくなってきた。
首元をこうやって引っ張りあげようとするだけで・・・
わりとサクサク抜ける。
ん? これは?
太い毛の下に、ほわほわした産毛がびっしり生えていて、根元にはねろねろとした組織が張り付いている。そこを指でこそげ落とすと、真っ白な皮が表れた。
きれーい!
見よ、毛利家の家紋「丸に三つ星」・・・ならぬ、イノシシの「1ケ所に3つの毛穴」を!!
テンションを上げるために、毛をぬいて白いお肌をいっぱい出す。ちなみに、このお腹に近い端の部分にねろねろはなかった。
ねろねろの正体は、革王オーガキさんにLINEで確認中。毛を抜いたあとは、米ヌカを使ったり、まだまだドキドキわくわくの工程が待っているのだ。
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