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高校の先輩と、脱毛の広告について小一時間語り合ったこと

その先輩と話すのはほぼ1年ぶりでした。Amyです。

高校の演劇部の先輩が「脱毛広告についてジェンダー的に話したい」とツイートしていたのを見て、反射的に「ムダ毛の話、すごく興味あります!」とLINEを送った。そこから電話で小一時間話したことを、備忘録として残しておこうと思う。

まず、現状について。いまのところ、社会的に「ツルスベであるべき」とされているのは女性だけで、広告のターゲットも女性に絞られている。また、脱毛はカミソリにしても光にしても痛みを伴うし、費用もかかる。
私と先輩との共通の問題意識は、乱暴にくくると以下の二つ。

①脱毛のコストを女性だけが負っているのは不公平で、その現実を知らない(もしくは見ようとしない)人が多いことも女性たちを傷つけうるのでは?
②Youtubeやインスタの男目線から煽るような広告はやめるべきだが、電車内やテレビの広告はどうなのか?

この問題について話し合ったことに加えて、私が電話で言いきれなかった部分についても書こうと思う。

①脱毛を労わるような広告を打つのはどうか

脱毛のコストを脱毛しない人(主に男性)に知ってもらい、女性の大変さに寄り添う広告を打つのはどうか、というのが先輩の意見だった。
「異性にあって自分にはない痛みについて知るべき」という考えは、最近だと生理についてよく言われている。私もこれには賛成。PMSやハイヒールのつらさについても、より多くの男性に知ってほしい。

だけど、それを脱毛の広告に転用することに、私は少なからず危険を感じてしまう。脱毛を労わることで、「脱毛する女性は偉い」「脱毛しない女性は怠慢」というメッセージも強調してしまわないか?脱毛のコストを知らせて、それでもなお「したい」と思わせるにはどうしたらよいのか?

今まで考えたことがなくて慌ててしまったので、後半の懸念については電話で伝えきれなかった。これから、私のほうでも考えていきたいと思う。

②電車内やテレビでの広告について

Youtubeやインスタに流れてくる「私、かわいくな~い!」系広告は論外として、電車内やテレビのキラキラした広告についてはどうなのか?

前者は女性に強迫観念を植え付ける点、女性蔑視を助長する点で滅びてほしいと思っている。後者は男性目線を抜きに「キレイになりたい」という女性の視点を反映しているから、問題がないようにも見える。だけど、私は後者こそ危険だと思う。

テレビCMでも電車広告でも、そこに登場するのは典型的な「美人」ばかりだ。若くて、細くて、「黄金比」に近い顔立ち。男性目線で見て美しいとされる、「モテる」条件が見事に盛り込まれている。脱毛に限らず、生理用品、化粧品、ダイエット用品といった女性用商品の広告の主役はことごとく「美人」ばかり。女性が「キレイになりたい」と思ったら彼女たちを目指すだろうし、理想と現実の違いに必要以上に傷つくだろう。男性のほうでも広告の女性を理想化し、その基準で現実の女性をジャッジしてしまうかもしれない。

テレビを見ることも電車に乗ることも、多くの人にとって日常的な行為だ。前者はまだしも、後者は「嫌だから見ない」ということができない。その中で広告が意図した以上のメッセージを刷り込んでしまう可能性を、もっと考えなきゃいけないなと思う。

脱毛の広告でも化粧品CMでも、とびきりの美人だけじゃなくて、もっと自分に近い人がいたらいいのにな。いろいろな体型、肌の色、年齢の女性たちが、自信満々に「キレイ」を謳歌するCMがあったら素敵だと思う。もちろん女性だけじゃなく、男性がいたっていいと思う。「かわいくな~い!」と不安をあおるより、「色黒がなんだ!歳がなんだ!体重がなんだ!そなたは美しい!」と言われたほうが絶対気分がいい。経済を学んでないから無責任なことは言えないけど、私なら後者の広告の商品のほうが買いたくなる。一般的な「美人」じゃなくても「キレイ」を諦めなくていいんだな、と思えるから。

脱毛じたいが性規範のうえに成り立っている産業だから、広告でジェンダーを配慮するのはすごく難しい。脱毛の広告という視点でジェンダーを語るのはほぼ初めてで、新鮮な体験だった。先輩、改めてありがとうございました。またカレー食べましょう!

私は、諸々の広告やエンタメで「キレイ」の多様性が広がるといいと思う。一部の人の特権じゃなくて、身近で自分のための「キレイ」をもっと提案できたらいいんだろうな。
とはいっても、自分の中の「モテ」の呪縛をどうにかしないことにはお話にならない。周りの目はいったん置いといて、私がただハッピーでセクシーでキレイであれる方法ってなんだろう?そこから考えていかなきゃな。



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