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レビューシートみたいな言葉で謝らないで

ケーキじゃなくて、プリン。家で作るとおいしい。

こんにちは。Amyです。

昨日は私の怒り方が面倒くさいというお話をしたのですが、今日は謝られてもなお面倒くさいというお話。

私は離れたくない人にほど面倒な怒りをため込むし、ぶつける。それが一番顕著なのは恋人に対してだ。自分でもびっくりだけれど、彼とはもう二年近い付き合いになる。

彼は私より年上で、子どもっぽいところがある。小動物をやたらと飼いたがるし、常にガムとチョコレートを持ち歩いている。政治や経済に詳しくて、小説はめったに読まない。論理的で(あろうとしていて)理不尽が大嫌い。相手の理屈に納得できないと気が済まないし、そのための努力も厭わない。酒飲みでオチのない小説ばかり読む私とは、真逆の人間と言っていいかもしれない。

私の怒り方は理不尽そのもので、彼をいつも困らせている。「黙られるのが一番きつい」と彼は言うけど、私は黙らざるを得ないのがきつい。彼がきついのがわかっているからなおさら。そのきつさから逃れるために、自分の中の厳しい審査を通過した「無駄に相手を傷つけない」「感情的でない」言葉を少しずつ話す。話したそばから感情がひっかきだされて、だんだん審査基準が甘くなっていく。そのうち、いつから・どこから始まったのかわからない怒りの感情がダダ漏れになって、制御できずに垂れ流してしまう。そうやって、すぐに相手にぶつけるよりも数倍ひどい形で、取り返しがつかないほど相手を傷つけてしまう。

そういうとき、彼の反応はこんな感じ。

「まず一つ。Amyは○○のことで怒ってるんだよね。それは至極全うだと思う。すぐには直せないかもしれないけど、気を付ける。二つ目。僕としては…」

まず丁寧に要点をまとめて、無責任な誇張はせずに謝る。そのうえで、建設的に意見を言う。冷静でできすぎた対応じゃないか。心が平和な時の私ならそう思う。だけど、理不尽な怒りでとち狂った私は違う。それ以上何を望んでいるのかわからないけど、そんなの求めてない、とはねつけてしまう。

「講義のレビューシートかよ!!!」

と心の中で叫んでしまうのだ。私が抑えられなかった感情を、そんなふうにキレイに整理して返さないでほしい。私と同じくらいには、抑えられないところを見せてほしい。私一人ぐちぐち感情を垂れ流して、バカみたいじゃないか。

彼は一通り私の発散が終わると、「今Amyと顔を合わせるのは恥ずかしい」と帰ってしまうことがある。罪悪感と羞恥心でその場にいられなくなってしまうそうだ。代返がバレた次の週の授業に行きたくないのと似た感じだろうか(多分違う)。わからなくはない。わからなくはないけど、同時にこうも思う。「レビューシートだけ渡して去るな!大教室授業の学生か!!」と。もしくは、死ぬ直前のネコなのか、と。キレイに整理されてそのまま置いて行かれると、残った感情の置き場に困る。もうちょっとで言葉になったのに、という感情がもやもやと溜まる。そのまま粘っこくて重たい怒りに逆戻りする。頑張って黙らなかったんだからせめて最後まで言わせてよ、と腕をつかんで引き戻したくなる。さすがにそこまではしないけど。

文章に起こしてみると、改めて身勝手だ。身勝手だし、理不尽で粘着質で気持ち悪い。Twitterによくいるマンスプレイニングおじさんといい勝負。いや、直接かつ結構な頻度でやってるからそれ以上だろう。こんなのに約二年も付き合ってきた恋人はマジですごい。すごいから、余計に申し訳ない。申し訳なくなる暇があるなら直せよ、とも常々思っている。

気づいたらこのキモい怒り方になってしまったもんだから、直すにはかなり時間がかかるだろう。一生かかっても直せるか微妙なところ。とりあえず、恋人とは「言語化できなくても引っかかったら挙手する」という約束をした。「違反したときのペナルティつけて」と言うと、「約束破るたびに口座に5万円振り込んで」とにやつきながら言われた。それは無理、と言うと「じゃあいいよ」と一蹴された。スタバのフラペチーノ一杯くらいだったらやったのに。



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