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佳野
2023年3月1日 23:24
終業式が終わって夏休みが始まった。案の定誘いを断れる訳もないまま私は美夜子と露店の並ぶ通りを歩いていた。すれ違う人の多さに目が回る。時々ぶつかる肩が少し痛い。家を出るまで楽しみにだったはずなのに、今は熱気と慣れない浴衣の帯が苦しくてそれどころではなくなってしまっている。「春、次ベビーカステラ行こ?」「あ、うん。」当然の様に私の手を引く美夜子は私とは真逆でこの空間をきちんと楽しんでいる