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街の、ごちゃまぜ感を懐かしむ

喫茶店から外を眺めているのが好きだった。

道行く人を、どこに焦点を当てるわけでもなく、ぼんやり見ている。

そうしていると、不思議と落ち着いた。

昔から、人気のない所が苦手だ。誰もいない田舎道だと、不安を感じる。

だから、人の気配を感じているだけで、どこか落ち着く。ごちゃごちゃして、誰が何をしているかもわからないけれど、そのごちゃごちゃに落ち着く。

それができず、外に出ても人気のない時期が続いた。これは、私にとってとてもストレスだった。

その代わりに見ていたのが、Twitterだ。何かを求めているように、ぼんやりTwitterを眺める。

今、この瞬間に、人が息づいていることを感じられる。誰かが、今存在していることを感じて、自分が、今存在していることを感じる。

人の存在を確かめるように、ずっとTwitterの更新を眺めていた。

その日々が、ようやく少しずつ終わろうとしている。街の中に人が戻ってきはじめている。それでも、私の好きな雑多さは、まだ遠い。

はやく、この世界に多くの人がいることを思い出したい。今、この瞬間に生きている人がたくさんいることを、視覚的に感じたい。

社会的な距離の中で失われつつある、ごちゃまぜ感を、今は懐かしむのみだ。

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