本を読むときの自分を見つめる
読書の秋が近づいてきた。。。
とか、たぶん関係なくて、物語の世界に没頭したい気持ちが強くなっているみたいです。身近なところで変化の時機を迎えているからかもしれません。
そして、作者の意図や伝えたいこととはまた別に、読みながら自分の置かれている状況に重ねて、勝手に意味づけを構築してしまいます。
8月後半から9月にかけて読んだ本と読み始めた本に、自分の仕事の今までとこれからを感じる。
別の時期に読んでいたら、また違った感想に満足していることでしょう。
『野の医者は笑う』
今までに読んだ本の中で、一番心がざわついたかもしれない一冊。
「野の医者」とは、近代医学の外側で活動している治療者たちを指します。ヒーリングとか、セラピーとか、占いとか、スピリチュアルと呼ばれる分野で活躍する人たちのことです。僕がお世話になっている人もたくさんいるし、僕が携わっているマヤ暦もその中のひとつ。実際にこの本の中にも出て来ます。
著者の東畑開人さんが、その「野の医者」たちと接して、治療を受けたり自分でも学んだりしながら「心の治療とは何か?」を問うのがこの本の目指すところ。
東畑さんは臨床心理士なので、近代医学側。僕は、そうじゃない分野として存在する「野の医者」側。
その対立を意図していないとは繰り返し訴えられているけど、あとがき部分で出てくるように、野の医者たちにとって決して心地よいものではない内容になっています。自分たちが信じているものは何なのだと、地面を揺さぶられる感じです。
そこから、何をもって治療とするのか、さらには、どんな生き方を周囲と共有しようとするのか、そんなところまで引き上げてくれます。
「野の医者」側の人が読むなら、最後まで読み終えないときついと思います。
僕はマヤ暦に関わるようになって、間もなく10年になろうというところ。もちろん、これからも続けていく予定です。
より深く、より冷静に、そんな心の置き所を与えてくれた気がします。
一年とは言わず、結構前に地域の人に借りっぱなしだったけど、今が読むタイミングだったんだと思いました。
『リーチ先生』
毎日更新されているnoteで紹介されているのを読んで、無性に惹かれた作品。原田マハさんの作品は好きで何冊か読んだけど、まだ知らない作品もたくさんあって、これも紹介記事で知りました。
主人公は、イギリス人の陶芸家で日本にも縁が深いバーナード・リーチと、その弟子としてお世話係を務めた父と息子。
僕は陶芸の世界には疎くて存在を知らなかったけど、リーチ先生も、苦楽を共にした人物たちもすごいんですね。人間国宝とその仲間たち、という感じで。
いや、そのやり取りが繰り広げられている様子が目の前に浮かんだり、一緒に旅に出て悔しがったり喜びが爆発したりする感情に浸らせてくれる原田マハさんの描写がすごいってことですね。
遠慮なく、その世界に没頭させてもらいました。
『野の医者は笑う』で心の治療やマヤ暦のあり方について思いを巡らせた直後に読んだから、僕が弟子の立場での師弟関係を考えさせられた作品にもなりました。
信頼する師の元で学ぶ。そこから自分の道をどう見出していくのか。
人生の転機に読んで、心に灯をともしてくれた作品として、思い出の一冊になりそうです。
『塞王の楯』
今村翔吾さんの作品で僕が読むのは、『幸村を討て』『八本目の槍 』に続いてこれが三冊目。図書館で数ヶ月の予約を待って、今朝受け取ってきました。
戦国時代ものは好き、今村さんの作品も好きになった、ということで、とっても期待して読み進めています。
「石垣職人と鉄砲職人の宿命の対決」が描かれている作品。まだ石垣職人しか登場してないけど、おもしろいです。
ここ最近の状況だったり、読んできた本の余韻を引きずっているのもあって、仕事に対する心意気みたいなものに心惹かれています。