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君に贈る火星の【ショートショート】

花火がドンと鳴る瞬間、ビクッと体が反応した。だけど、おじいちゃんにもらった黒い石をギュッと握りしめると、怖い気持ちはどこかに飛んで行った。手のひらに、じんわりあったかさが伝わってくる。

おじいちゃんがくれたのは、火星の石。

僕は小さい頃から花火大会に興味津々で、いつもおじいちゃんが連れて行ってくれた。なのに、いざ花火が始まると、大きな音に驚いて一発目から「帰りたい」と泣き出していた。3歳頃から、毎年その繰り返し。

小学1年生の花火大会の日、玄関先でおじいちゃんが僕に手を重ねてきた。
「もう小学生になったから、特別なプレゼントをやろう。これは、火星から飛んできた石だ。火星には火の神様がおって、力を授けてくれる。怖くなったら、握りしめるといい。」

それ以来、いつもポケットに入れて持ち歩いた。花火だけじゃない。大きな犬も、跳び箱も、怖くなくなった。

実は、畑で拾った普通の石だと種明かしされたのは、中学校を卒業する時だった。

ー了(408字)ー

お題にそった410字以内のショートショートを投稿する、「 #ショートショートnote杯 」。
応募作品、第3号が出来ました。今回は、『君に贈る火星の』。

「君」と呼ばれるのは誰で、呼んでいるのは誰?

というところから考えました。
恋人同士?後輩と先輩?少年とおじさん?男の子とおじいちゃん?

で、選んだのは、男の子とおじいちゃん。

組み合わせを決めた瞬間、僕と祖父の思い出が頭に浮かび、そこから物語を作ってみました。いかがでしょうか?

「 ショートショートnote杯 」の締め切りは、11月14日です。

楽しく書けました。

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