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絵本のこと話そうか【読書のきろく】

絵本の作り手によって、その背景や魅力が浮かび上がってくる

「絵本のこと話そうか」
このグッとくるフレーズと、表紙にその名が並ぶ有名な作家さんたち。

長新太、五味太郎、林明子、糸井重里、高橋源一郎、谷川俊太郎、・・・。

もう、おもしろくないわけがない。

名前を見たら作品が思い浮かぶ好きな作家さんも、プロフィールを読んで「おぉ、あの作品の絵を描いた人なんだ」とわかる作家さんも、それぞれに何らかの接点があって、リレー形式で繰り広げられた対談が掲載された対談集です。
見出しになっているのは、対談の中で飛び出したことば。それを見るだけでも、心が躍ります。

たとえば、こんな感じ。

・長 新太×五味太郎
魚とか鳥なんかから愛読者カードがきたら最高だね

・高橋源一郎×谷川俊太郎
ドラクエは絵本をダメにしませんよ。子どもっておとなだから。

・司 修×岸田今日子
わからないところというのは、わかることがいっぱい秘められている場所なんだ。

・小沢 正×佐野洋子
絵本がなくても生命に別状はない。だから、絵本っていいのよ。

どうでしょう?
Amazonの書籍紹介ページで、すべての組合せと見出しを確認できます。それだけでも楽しめるかもしれません。

ちなみに、『絵本のこと話そうか』は、1990年に刊行された『素直にわがまま』が、2018年に復刊されたもの。もともと、月刊誌に”絵本のこと話そうか”と題して掲載されたリレー対談が、一冊の本にまとめられています。
僕は図書館で借りました。
そこで注釈を見ると、この復刊にあたって、お一人から再録の許可が出なかったため、一部の対談が割愛されているそうです。そんなことを知ってしまったら、その対談も読みたくなります。
ということで、『素直にわがまま』も借りて、全員分の対談を満喫させてもらいました。

はい、とってもおもしろかったです。

アイデアやイメージが「絵」として表現される過程、物語と本人の体験とのつながり、影響を受けた絵本や作家さん、子どもの感性のとらえ方、手書きとワープロ書きの感覚の違い、などなど、興味深い話がたくさん飛び出します。
お互いに共感できるところは「そうそう!」と相づちを打ち、意見が違うときには「いや、そうじゃなくてね」とハッキリ伝える。自分の仕事に自信を持ち、相手のことを尊重しているから、本当に素直にお話しをされていることが伝わってきます。年齢が違う2人の対談でも、とても対等な感じ。それが気持ちよくもあり、仕事の範疇だけに限定されず生き方そのものをぶつけているから、生まれる作品が多くの人を引き付けているんだと感じました。

絵画やイラストとも、文章だけとも違う、”絵本”の世界。頭の中に浮かんでいるものを、目に見える姿に描くことや、言葉にする作業は、表現できるものと取りこぼすものがあると言います。
言葉が取りこぼしたものを絵が復活させるとか、制約の中で絵を描いた結果としてそういうものになってしまうとか、そんなことを頭の片隅に置いて絵本を読むと、またさらに味わい深いものになりそうです。

『絵本のこと話そうか』を教えてくれたのは、こちらのnoteです。ありがとうございました!


追伸。
今夜は、NPOの仲間たちと、絵本を紹介し合う会。

さ、絵本のこと話そうか。

読書のきろく 2021年40冊目
『対談集 絵本のこと話そうか』
#アノニマ・スタジオ

『対談集 素直にわがまま』
#偕成社

#読書のきろく2021

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