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わからないことに没頭するためにもダイエットが必要のようだ【読書のきろく】

共通して感じたのは、「何に取り組むのか」という問い

最近読み終えた、2冊の本。
『「わからない」という方法』、『News Diet(ニュースダイエット)』。

読み終えてすぐに思いました。
「なぜだろう、今までのような【読書のきろく】を書くのが難しい。」

それだけ心にひっかかったものがあって、にもかかわらず、うまく言語化できないように感じてしまいます。でも、図書館の返却期限が迫ってきて、書かないままなのは悔しいから、今書けることを書き留めておきます。

2冊をまとめて振り返って見えてきたもの、それは、「何に取り組むのか」という問いでした。

まずは、こちら。

橋本さんは、バラバラなジャンルの本を書かれている方だそうです。小説、評論、エッセイ、古典の現代語訳などの作品があります。著書を読んだのは、これが初めて。他の作品も読んでみたい作家さんです。

今回読んだ『「わからない」という方法』は、「なぜあなたはそんなにもいろんなことに手を出すのか?」という問いに対する答えがまとめられています。

ひとことで言うなら、「わからないから」。

わからないからやれない・やらない、ではなく、わからないからやってみよう。どこかで一度は聞いたことがある人は、多いのではないでしょうか。僕も、聞き覚えはあります。そんな行動ができる時もあるし、「とは言ってもね」と一歩引いてしまう時もある。その波に揺られながら、今に至っている気がします。

やり方さえわかればうまくいくと信じて、つい正解を求めてしまうけど、橋本さんは正解がある時代は終わったと言います。それは、20世紀の生き方だと。
今は、21世紀。もしかしたら絶対的な正解なんてないのかもしれない、という漠然とした不安があるかもしれないけど、正解がないことこそが現実で、わからないをスタート地点としてやっていく。

二十世紀が終わって、人間は再び過去の次元に戻った。そこでは、困難を切り開くものは、常に「自分の力」だった。「自分の力」がふるえるようになる前に、「どうしたらいいのかわからない、なにがなんだかわからない」という混迷に吞み込まれても不思議ではない。
「わからない」は、あなた一人の恥ではない。

そう言われると、今の時点でわからないことやできないことがあっても、卑屈になる必要はないと思えてきました。さらに、やるっきゃないよね、と思わせてくれる記述もあります。

いろいろなことをやってしまうと、「あの人はいろいろなことがやれる人だ」と錯覚が生まれる。しかし、「いろいろなことがやれる」は結果論であって、なぜ人が「いろいろなこと」をやるのかと言えば、「いろいろなことをやらざるをえないから」であって、その人のやった「いろいろなこと」とは、壁にぶつかった人が示す、挫折の数であり、試行錯誤の数でしかないのである。

「挫折」という言葉だけに出会うと、ウッと気持ちが締め付けられるけど、それは挑戦し行動した結果であって、ただ認めればいい。正解を求めようとする欲求と一旦見つめ合って、そして手放すことを繰り返すことで、少しずつその境地に近づいていけそうです。

知らないことやわからないことを恥とせず、わからないことを受け止める。そこが始まり。楽しく感じれるようになるのは、やっぱり、わからないからやってみるしかありません。

「自分はどうわからないのか?」ー これを自分の頭に問うことだけが、さまざまの「わからない」でできあがっている迷路を歩くための羅針盤である。「自分はどうわからないのか?」ー それこそが、「わかる」に至るための”方向”である。その”方向”に向かう進むことだけが、「わからない」の迷路を切り抜ける「方法」である。

そしてそれは、頭で暗記しようとするとうまくいかないので、身体に覚えさせることも重要だと述べられています。

そして、2冊目。

副題が「情報があふれる世界でよりよく生きる方法」。薄々感じながらも目を背けていた、現代社会の問題と生き方を示してくれる一冊です。

インターネットやテレビなどのメディアを通じて、僕たちの毎日を取り囲んでいるニュース。最近だと、コロナ、オリンピック。それらがなかった年にも、芸能人のスキャンダルや、事件、事故、自然災害、などなど。中毒症状に陥っていることに気づかないまま、ニュースまみれの生活になっています。そうだよねと突き付けられると、反論の余地がありません。

著者の提案は、一切のニュースメディアを断つこと。

ちょっと極端だなと感じてしまう自分がいるのが正直なところだけど、冷静に向き合うと、実現できたら理想的だなと思います。理想的だと感じるということは、どこかで求めている自分がいるということ。

インターネットのニュース記事を読み、一緒に表示された興味を引くリンク先まで見ていくうちに、あっという間に5分、10分と時間が過ぎている。世界の動きを知れたから良しとしよう、と言い聞かせても、表面的なところをなぞっただけで、何も心に残っていない。先にやるべきことに手を付けてたら、今ごろ終わっていたのに・・・。
そんな後悔は、しょっちゅうとは言わないにしても、身に覚えがありまくりです。

この本を読んで納得したのは、そうやって無駄に過ごしてしまった時間だけでなく、ニュースに気をとられていた思考を、また自分のやることに戻すにも時間がかかるということ。往復分の無駄を生んだようなものです。
その無駄な時間は、積み上げていくと年間で一ヶ月分にもなるそう。

この本は、そんなニュースメディアを断つことに加えて、「能力の輪」という表現を使って自分が影響力を及ぼせる分野に力を注ぐことも力説しています。

ニュースで目にして、驚いたり、不快な気持ちを心に宿したり、同情で心を痛めたりするのは、ほとんどが自分には手出しができないこと。同じ気持ちが書き込まれたコメントを読んで腹を立てたところで、状況は何も変わりません。

今日からいきなりニュースを断つことができるかと問われると、自信はないけれど、一度知っておくと、次のニュースのリンクをクリックしそうになった自分に気づくことはできそうです。
踏みとどまることで手元に残した時間で、わからないことを問う。まずは、そのサイクルを意識するところから、取り組みたいと思います。

この本では、ニュースメディアに触れる代わりに、人と議論を交わしたり、本を読んだり、長文の記事をじっくり読むように進めています。
うまく言語化できないと書き始めたこの記事は、もう2600字を超えました。短いニュース記事よりも長くなっています。読む時間も、書く時間も、しっかりほしい。そのためのニュースダイエット、取り組む価値がありますね。

読書のきろく 2021年38冊目
『「わからない」という方法』
#橋本治
#集英社新書

読書のきろく 2021年39冊目
『News Diet』
#ロルフ・ドベリ
#安原実津
#サンマーク出版

#読書のきろく2021

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