見出し画像

白鷹伝―戦国秘録【読書のきろく】

難しい本を読んだあとは、大好きな歴史小説を。
今回は、山本兼一さんの『白鷹伝』。これが長編デビュー作だそうです。そう思うと、ただ圧倒されます。

主人公は、天下一と称される鷹匠、小林家次。もとは浅井家に仕えていたのが、小谷城の落城から織田信長に召し抱えられました。運命をつないだのは、白い鷹。

鷹を取り巻く、信長、秀吉、家康といった時代に名を連ねる武将、戦いに人生を振り回された姫、宮中の人々、そして鷹匠たち。職人の生き様も、人と人との腹の探り合いも、濃いドラマがそこにあります。駆け引きに奔走する人間たちと対照的に、「鷹」と実直に向き合う姿はたくましく、清々しくて魅力的です。動物たちを含めた自然の営みは、人間の感情を超越させてくれるのを感じます。

職人の目線から見た信長像もおもしろい。「もし、立場が同じなら、よい友になれただろう」と語らせるくらい、好きなものに真っすぐに生きる姿は、好感を持てます。いろんな側面を持っているから、何百年後も愛されるんでしょう。
信長と言えば、その最期を遂げた「本能寺の変」。誰も止められないすべてを飲み込む勢いから、その時が近づくにつれて、少しずつ不穏な空気感が見え隠れしていきます。分かっていても、徐々に緊張感に包まれていきました。すべての命には、平等に最期が訪れる。はかないから、味わい深いのかもしれません。

物語の中心となる「鷹」は、優雅で、強くて、とても魅力的でした。「天空の教室」で描きたかった、鷹が大空を舞う姿。あの時、コマ送りの絵みたいにしか書けなかったものが、美しい映像になって空や山を飛び回っています。こまかい表情も、力強い動きも、躍動感にあふれて感動しました。小説のおもしろさにどっぷり浸かることができて、大満足です。

読書のきろく 2021年17冊目
「白鷹伝―戦国秘録」
#山本兼一
#祥伝社文庫

#読書のきろく2021 #歴史小説 #織田信長

この記事が参加している募集

最後まで読んでいただきありがとうございます!少しでもお役に立てたら嬉しいです(^-^) いただいたサポートは、他の誰かのお役に立てるよう使わせていただきます。 P.S. 「♡」←スキは、noteユーザーじゃなくても押せますよ(^-^)