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エーミールと三人のふたご【読書のきろく】

エーミールと探偵たち』の続編。2年後の様子が描かれています。時が経って、少年たちは成長し、周りの大人たちにも変化が生まれています。
前回は、ハラハラドキドキの大冒険。少年たちの行動力を応援しながら、次々と展開するアトラクションを楽しむ感じでした。今回は、行動力に加えて、立ち止まって考えることの奥深さを提供してくれた感じです。その結果、クライマックスに感動して、ぽろぽろ泣きました。
ひとことで表現してみると、・・・

ハッとして、グッとくる、大人向けの子どもの話。

ハッとするのは、子どもと大人を対等に扱う姿勢。
たとえば、親子は、「大きい○○さん」と「小さい○○さん」と表現されています。僕と3人の息子たちが登場するとしたら、「大きい吉村さんと、3人の小さい吉村さんが、やってきました」という感じで。きょうだいのことかなと、一瞬、あれっと思うけど、それによって無意識に持っている上下関係みたいな思い込みに気づかされて、ハッとします。子どもの頃に出会っていたら、引っかからずに読めるだろうし、理解してくれていることに嬉しくなりそうな気がします。

だけど、社会生活の中では、子どもの力だけでは限界があります。子どもの力と大人の力が合わさって大きなうねりが生まれる場面には、グッときました。
『エーミールと探偵たち』は、実際に映画化された作品で、この物語の中でも映画化されたことがひとつの重要な要素になっています。作品の中の作品として登場させることで、読み手をさらに引き込んでくれた気がしました。映画化されたことを照れている本人たちの様子がほほえましいし、友だちのためにその映画を活用して一歩踏み出した場面には、ぽろぽろと涙がこぼれました。

物語には、理解してくれる大人が登場します。
本人たちが自分の力で成長していくことを見守りつつ、甘えを乗り越える現実の厳しさも教える。一時的に生き延びることと、社会で生活を営み続けることの違い。親と子の問題と、少年たちが遭遇するハプニングに寄り添いながら、そのバランスを整えてくれるように感じました。
子どもにより近い存在としてのおばあさんも、とても魅力的です。

子どもと大人の橋渡しをして、子どもの力強さ、未熟な部分を知り、子どもと一緒にどんなことができるかを考えさせてくれます。

図書館で借りて読んだけど、これは買って自分の本棚に置いておきたい。

読書のきろく 2021年20冊目
「エーミールと三人のふたご」
#エーリヒ・ケストナー
#池田香代子
#岩波少年文庫

#読書のきろく2021 #児童文学

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