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[ファンタジー小説]地球に魅せられた宇宙人 2

あらすじ

 小学校最後の夏休みに最愛の父を亡くした千枝梨(ちえり)は、その悲しみを期に不思議な夢を見るようになる。それは、彼女の人生をサポートし、彼女の人生ドラマを記録する宇宙船仲間からのメッセージ。地球に魅せられた宇宙人時代に創造した人生の設計図を忘れてしまった彼女へ、夢を通してヒントを与えていく。

第一章と第二章はこちら↓

第三章: 未来への希望

 「エリー起きなさい、遅刻するわよ!」
母のイライラした声が扉の向こう側から聞こえる。
「はーい。」
学校に行きたくないと思いつつも、寝転がったまま伸びをした。
お母さんに起こされなくたって目は覚めていたんだけど、ベットから出るのが嫌だった。
 学校なんて楽しくない。ただ面倒なだけ。
 小学校の時からずっと仲良しだった友達三人とは、私だけが別のクラスになってしまった。仲が悪くなったっていうわけじゃないんだけど、その子達は新しい友達を作り、雰囲気が変わってしまった輪の中には馴染めなくて、私から距離をとってしまっている。
 私のクラスには気の合う友達がいなくて、孤立している私に突き刺さる冷たい視線から自分を守ることで精一杯。
 「部活をしたら楽しいんじゃない?」とお母さんは言うけれど、1秒でも早く家に帰りたいのに部活なんてやってらんない。
 それに、勉強だって、成績の為だけに、興味のないことを丸暗記しているだけ。この勉強が、将来どんな役に立つのか、誰かはっきり教えて欲しい。
 
 こんな無意味な生活を過ごす事に飽き飽きして、生きることさえ面倒に感じてしまう。でも、これ以上、お母さんに辛い思いをさせたくはない。だって、お母さんと私は可哀想な人達なのだから。お父さんが死んでから、お母さんと私は、辛い思いを抱え、大変な人生を生きている人達だと呼ばれている。勝手に貼られたレッテルだけど、その運命を背負って生きていかねばならないのだろう。
 今は、淡々と学校に行き、上っ面だけの真面目な学生を演じきる。それだけでいいの。それが一番お母さんを心配させないで済むんだから。
だけど…。本当は、それだけじゃ嫌だって思ってる事も知っている。

 こんなつまらない中学校生活で、唯一ラッキーな事は、校庭を見渡せる窓側一番後ろの目立たない席ということぐらい。

 「今日は、国語の先生が出張でいないので自習になります。教科書二十二ページで習ったような、四季を感じる詩を書いて、明日の国語の時間に提出してください。」とだけ言い残して、担任の先生はそそくさと教室から出て行った。
 「はぁ~。なんにも思い浮かばない。」
 頬杖をつきながら、ガヤガヤと賑やかになってきた教室の音をシャットアウトするように、校庭の大きな木をぼーっと眺めていると、いつの間にか眠ってしまっていた。

 草原の果てに一本の大木がある。太くて健康的な幹に、甘い蜜の香りがしそうな白い花が満開に咲いている。今までに見たどんなに美しい木よりも遥かに魅力的で目を離すことができない。花びらがそよ風に乗ってふわふわと飛んでくると、手の平にそっと落ちた。
「お母さ~ん、こっちこっち!」
 大木の横で、小さな男の子が両手を大きく振っている。
「お母さん?」と一瞬頭をよぎったが、私を呼んでいるように聞こえたので木のふもとまで走ろうとした。異様に体が重たい。水の中を必死に犬かきで進むようにして、なんとかたどり着いた。
「ハァ~、ハァ~、ハァ~。やっとついた。」
膝に両手をつき、息を落ち着かせてから、ゆっくりと見上げると、目の前には、ニワトリの着ぐるみを着たおじさん。
「お母さん、僕だよ。君の将来の息子。今はこんな格好だけどね。」
「えっ…?」と、私は眉間にシワを寄せながら、ウソみたいな話に困惑した。
 「僕は、未来で息子となるわけだけれども、この地球には、何度も旅に来ている先輩さ!だから、今のお母さんに必要なアドバイスを伝えにきたよ。今日は、僕の隣にあるこの木の話。小さくて、幹もヒョロヒョロで、今にも折れてしまいそうな木。枝もまだ数えるほどしかなくて、葉っぱも数枚しかついていない。この木があと十年程で大きな大人の木に成長するんだ。」
 あの遠くから見ていた、白い綿菓子のように花を咲かせていた大木が、なぜか弱々しい小さな木に変わっていた。そして、将来の息子は、こう続けた。
 「ジャジャーン!この木は、お母さんでーす!ここは、最高だと思わない?気持ちのいい風も吹いてさ、雨も降る。太陽の日差しもあって、土もあるんだよ!
 ねー、もしかして、ここに足りない物のことばかりを考えてる?
 お母さん、あるものを見てごらんよ。こんなにも、素晴らしい景色の中にいるって事に気づいてた?

 この木はね、成長期と呼ばれる年齢。子供から大人への変わり目だ。心も体も猛スピードで日々変化しているんだよ。子供の無邪気で恐れを知らない、純粋な心を持ちながらも、理不尽な世の中が垣間見え、矛盾した大人にはなりたくないと思いながらも、早く大人になって自由になりたいと、混乱しながら一歩一歩自立への道を歩み始めている。今は、大人と子供、両方の視点を一度に体験できる素晴らしい時なんだ。そんな時だからこそ、学べること、経験できること、そこから吸収できることが星の数ほどある。
 この幹の部分には、現在の『軸』が通っている。そして、過去の『学びと経験』が根となり幹を支えているんだ。枝は『取り巻く環境』。そして、葉は未来への『希望』。
 学びと経験を常に繰り返している成長期は、多くの根をどこまでも太く深く、早いスピードで張り巡らせることが可能で、今後、この木がどんなに大きな木に成長しようとも支えることができるんだ。だから、より多くのことを知り、学び、チャレンジし、失敗し、成功し、悲しいこと、辛いこと、悔しいこと、理不尽なこと、楽しいこと、嬉しいこと、幸せなことも全部経験して、これからの人生の支えとなる土台を作り、その人生経験が、未来に必要な直感力、思考力、判断力、決断力、行動力、発想力を作り上げるんだよ。
 この先、年齢と共に枝もどんどん増えていくだろうね。自分と関係ないと思うような人や物事も全て含め、新しい出会いや環境の変化が増えていくからね。だけど、枝を増やすだけに一生懸命でいると、幹に栄養が行き届いていない事に気づけないんだ。急な変化を受け入れられずに、強い風が吹いた時に、枝の重さに引っ張られて、幹も一緒にボキっと折れてしまうよ。
 だから、こうやってお母さんが今、自分の木の様子を外側から見つめているように、時々自分の状況を俯瞰して、枝の剪定をしたり、メンテナンスしてあげて、命の循環を促してあげることが大事になるんだ。自分の状態を把握したならば、状況に合わせてしなやかな動きができる木になり、嵐が来ようとも折れる事なく立っていられるよ。強い風が吹いてどんなに枝が大きく揺れ乱れようとも、そこに逆らうことなく、強張ることもなく、幹は力強くしなやかに、ゆったりと、その揺れを受け入れ、平然な顔で立っていられるんだ。
 でもね、いくら管理された木でさえも折れることはある。生きてる限り、そんなことは、誰にも予測できない。もし、この木が折れてしまっても、根がしっかり大地に根付いていれば、また息を吹き返すチャンスはある。折れた後でさえ、幹に残った枝や枝の痕跡、または根から新目が出てきて、息を吹き返せる。だから、一本一本の枝と根には、必ず意味があって、無駄な枝や根はないんだ。お母さんが出会った全ての人や物事、経験には意味があるってことだよ。
 根があるから幹を支え、立派な幹があるから多くの枝を支え、枝があるから葉が芽生える。どこが欠けても駄目なんだよね。

 色々と話したけどね、お母さんに大切にしてもらいたいのは、見えない未来に不安を持ちすぎないって事。今は、「何でこんな事しなきゃいけないの?」と、あやふやな現実に疑問を抱くことも多いよね?それは、土の中で一生懸命に根を張り巡らせている時だから、しょうがないんだ。まだ見ることのできない未来を作っているところなんだよ。「もしも、こうなったら。」って起こってもいない未来を想像したら不安になってしまうのは当たり前。だから『今だけ』に集中してみると少しは安心に変わるかもしれないよ。だって、今、この瞬間が、昨日という根となり、明日という葉になる。全てが一本に繋がっているんだからさ。
 さっき見ただろ?お母さんの未来。あの木があんなにもキラキラ輝いて見えたのは、未来のお母さんは、希望に満ち溢れた時間を過ごしているってこと。これから、たくさんの花を咲かすことだってできるんだから、何にも心配しなくていいんだよ。全てが計画通り。全てが順調。全てがうまく行っている。何が起こっても大丈夫。僕は、お母さんが『未来への希望』という栄養で満たされるように、木を照らし続けるからね。

 将来の息子は、『トンッ』と優しく木の幹に手を置くと
『空っぽの心は、柔らかい春風に癒され、初夏の情熱に包まれる』」と言い残し立ち去った。

 トントン、トントン。
 クラスメイトの女の子がエリーの肩を叩いた。
「宮本さん、次は体育だよ!もう、着替えて体育館行かないと。」
「えっ⁈」と周りを見渡すと、誰もいない空っぽの教室。外からふわっと暖かい春風が入り、白いカーテンが揺れた隙間から初夏の強い日差しが私を照らした。

 その頃、宇宙船では、「翔太、よくやった!」と拍手喝采が起きていた。「さぁ、作戦会議だ。次はどんな展開が面白いだろうか?」と監督のお父さんが言うと、ミミが手を挙げ、「もう脚本できてます!皆さんの意見も聞かせて下さい。」と言って脚本をスッとお父さんに渡した。
「どれどれ。えーっと、うんうん。」とみんな一斉に脚本を覗き込み
「いいですね~」「やってみましょう~!」とやる気に満ちた歓声が湧き上がり、「さぁ~ソフィアさん『音』お願いしますよ~。よーいスタート!」と監督の一声が飛んだ。

 『キーンコーンカーンコーン♪』
 長い長い学校がやっと終わった。学校の正面玄関の重たいガラス扉をゆっくりと開けると、外の部活動の生徒達が練習する声が聞こえる。自転車置き場に向かって歩いていると、コロコロコロっと足元にテニスボールが転がってきた。テニスボールを拾い上げ、周りを見渡すと、ボールを追いかけて誰かこっちに向かって走ってきた。こんがり焼けた肌にサンバイザーをつけて、ニコッと白い歯を見せてこう言った。
 「どうもありがとう!1年生?部活入ってる?」
私が「入ってません」と答えると、「私は2年生なんだけど、1年生の入部が少ないの。テニス部すっごく楽しいのに。もしよかったら体験入部こない?」と、私の目をジッと見ながらも終始笑顔で、テニス部に勧誘してきた。「私、運動苦手だから。ごめんなさい。」生意気な後輩だとか噂が立ったらどうしようと不安もよぎったが、私は、俯きながら小声で断った。
 今は、全てのことが面倒なんだ。
でも…。本当は、中学校に入ったら部活の仲間と呼べる人達と、青春ドラマみたいな爽やかな思い出作ってみたかったのにな。

 宇宙船では、「うんうん。これも予定通り。」と腕を組み、頷きながら翔太は言った。
「『挑戦する』という目的を達成するためには、まず『挑戦できない』も体験する。全ては表裏一体。表に現れた悩み、怒り、不平不満の裏に存在している不安の原因を、安心に変える手段や方法を学び経験することを地球の宿題帳に創造していった。不安の綱を渡っているのだから、不安になるのは仕方がない事なのに、エリーは、自分の不安をかき消す為に、面倒だけで片付けてしまっていないだろうか。
 「やってもやらなくても、どうせ結果は同じだから」と、エリーは母親に話していたけど、これって実は、宇宙の記憶がうっすらと残っているからなんだよね。そうそう、宇宙では、やってもやらなくても同じ。全てが完璧の世界で、全てが可能であるからこそ、何もしなくていいのだ。宇宙は究極の『無』なんだよ。
 だけど、地球は『行動』の惑星。やるとやらないでは全然違う。目の前に差し出された挑戦に、少しでも心が浮かれる感覚があるならば、その挑戦には、地球でどうしても経験したかった事や学びが隠されているんだよ。覚えているかな。宿題帳には『学びと経験』だけが創造されており『結果』はないって。『結果』は、行動の先にただあるだけで、本当に手に入れたいものは、挑戦している過程で既に手に入れているのだと。
 しかし、地球ではどうして、こんなにも『結果』にこだわってしまうのだろうか。
 単純で、簡単にわかりきっている事でさえ、エゴやプライド、周りからの評価をわざわざ持ち出して、結果が出ない原因や怒りの矛先を、絡み合った長い髪のように、複数の異なる問題をぐちゃぐちゃに絡め合わせて、ブラシさえも絡み取ってしまうまでに込み入った考えができる人間の思考能力は、絡み合うことを知らない一本一本独立したストレートヘアの宇宙感覚からすると、すごく魅力的だ。あ~いいドラマ展開になってきたぞ。」と満足そうに翔太は言った。

 長く伸びきってしまい乾かすのに時間のかかる厄介な髪の毛を、ドライヤーで雑に乾かしながら、英語の先生に言ってしまった事を後悔していた。

 いつも通り、読書で暇な時間を潰していた昼休み、『2年A組の宮本さん、職員室に来てください。』と英語の先生に突然呼び出された。
 「宮本さん、今度、市で行われる英語のスピーチコンテストに出てみない?宮本さんは、英語が得意だし、先生は宮本さんにお願いしたいと思うんだけど、どう思う?優勝したら、夏休みに2週間交換留学生としてカナダに行けるわよ!」
『ずっと、行ってみたかった外国に行けるチャンス!』と、ドキっとしたけれど、私なんて優勝できるはずない。結果を残せるはずがない。ただ恥ずかしい思いをするだけだと浮ついた心を消し取った。
「んー。、英語は好きだけど、やめておきます。」

 やっぱり私はいつも通りの悲観的な面倒くさがり屋。自分を見下し、愚痴と文句と言い訳はすぐに出てくるのに、自分を変える勇気は出ない。本当は、もっと素直になりたいのに。このままじゃ、何の為に生きているのかさえ、わからない。このままの私でいいのだろうか。私は何の為に生まれてきたのだろうか。誰か教えて。


 宇宙船には、おばあちゃんとソフィアの二人きり。そして、おばあちゃんは独り言のようにぶつぶつと話始めた。
「人間は数え切れないほどの種類のラベルをペタペタと張り合い、自分達を分類し、同じラベルを持つ者同士は、マグネットのように引き寄せ合い、コミュニティを作り居場所を確立し、自分が所属するカテゴリー上での価値観を基準に、身分が上だ、下だ、善だ、悪だ、得した、損したと、自分の位置や相手の位置を確認し安心を得る。
 または、称賛や非難などの他人からの評価、物質的評価、喜びや怒りの感情を受け取り存在価値を見出し安心を得る。
 『存在価値』を自分自身で確認し、評価し、同等の満足感を得られるのであれば最もシンプルだけど、高度で複雑で繊細な人間感覚では、そう簡単にはできないの。
 エリーはまだ気が付いていないけれど、自分の『生まれてきた理由や生きている目的』を考えると不安になるのは、宇宙の記憶が微かに残っているから。
 地球旅行の出発前に、行く目的はこれだと、はっきりと定めて来たはずなのに見失ってしまった。目的はモヤモヤの向こうのどこかにあるはずなのに、あと少しで掴めそうで掴めないから、やっぱり自分の存在価値や理由は無いと勘違いして不安になる。
 この存在価値への不安は、時に他人へ、時に自分自身へも刃を向け、凶暴に暴れ出し、悲しみと痛みを生む。だから、他人があなたの価値を認めてお願いしてきた事は、不安な心を満たしてあげられるチャンス。心が浮き立つような頼み事なら尚更ね。
 存在価値に悩むということは、もうすぐ、あなたが存在する理由の一つを発見できるっていうサインでもあるのよ。素敵ね。面白いドラマになって来たわよ。」と、言い残してスッと消え去った。
 他のクルーたちも、早々にそれぞれ掛け持ちしている宇宙船へ行って帰ってこない。ソフィアが一人残された宇宙船では、操縦席横の赤いランプが点灯した。
 「あら、記録ランプね。一人になってしまったけれど、エリーちゃんが必要な記録を取って来ましょうか。」と言って点滅しているボタンを押し、エリーが必要としているその場面まで時空を超えた。
 宇宙船のクルーたちは忙しい。掛け持ちしている宇宙船を行き来きしたり、主人公の過去、現在、未来の時空も行き来している。
 主人公が、必要な情報を時間軸から宇宙船が見つけ出すと、『記録ランプ』が知らせてくれる。時空を超えたクルーが、そこから一コマを切り取って現在に持ち帰り、記録プレイヤーで再生する。
 主人公たちは、ふと思い出した過去の記憶、予感、ひらめき、夢、ふとした誰かの発言や目や耳に入って来た情報など、無意識の宇宙感覚の空間で受信する。
 この記憶に意識を注入すると、未来の問題を回避できたり、シンクロニシティ、デジャブ、正夢などの不思議な現象が起こる。
 
 「エリーは、気づいてないけれど、このふとした瞬間に受信した情報は、あなたに必要な何かが含まれている。気のせいで終わらせたらもったいないわ、エリー。」と言いながら、切り取ってきた場面を記録プレイヤーに入れて再生させた。
 ソフィアが鼻歌を歌いながら宇宙をボーッと眺めていると、突然、「あ!そうだわ、エリーちゃんに好きな人を作ったらいいわね!」と言いながら、おばあちゃんが宇宙船に現れた。
 その提案を聞きつけた、クルーたちが続々とキャンドルに火がポッ、ポッ、ポッと灯るように宇宙船に戻ってきた。
 「ミミちゃん、エリーちゃんの初恋ってどう思う?素敵な脚本かいてくれないかい?」とおばあちゃんはミミに頼んだ。
 ソフィアは、おばあちゃんの提案を聞いた瞬間、嬉しさとワクワクが止められず、椅子から勢いよく立ち上がり、ミミの顔をパッと見た。
 「はい、わかりました!」ミミは嬉しそうに返事をすると、あっという間に脚本は完成し、お父さんは脚本見るなりこう言った。
「これも、面白そうな脚本だ。さぁ、今回のキャスティングは、どうしようか。」お父さんは、『地球の宿題帳』を読み取り機に入れ、今のエリーに必要な人員計画を立て、カメラで地球を覗き込みさらに要員を絞り込む。
 「ソフィアさん、早速この宇宙船に連絡して下さい。」ソフィアは急いでいくつかの宇宙船へ通信し、エリーの初恋ドラマ出演の同意を得た。それぞれの宇宙船も同時に、エリーと出会う為のタイミング調整が始まると、宇宙船からエリーと出演者達へ光の糸が降りて行き、『エリー、演者、宇宙船』を繋ぐ複数の三角形の光を作り出した。そして、「ビビッ」とタイミングがあい、お互いがお互いを引き寄せ合う。
 それを感じたお父さんは、急いで別の飛行船から戻ってきて席に着くと、「よしっ、食いついたぞ。みんな揃ってますか?さぁ、始めるよ。よーいスタート!」と撮影の合図を送った。


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