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ブックレビュー「離婚の経済学」~結婚20年目、離婚について考えてみる

今年、結婚20年を迎えました。結構あっという間でした。
私的には、この人をパートナーに選んでよかったなと思います。
一緒に家庭を持って、子育てをするのにバランスのよい人だったと思います。普通に子どもが好きでイクメンだったと思うし、わたしよりも子育てはうまかったんではないかな。

ただ、自他ともに認める仲良し夫婦だったのですが、15年目くらいからは意見の違いが多くなってきました。

子どもの教育に対する価値観の違い
加齢によるエネルギーの低下
社会の価値観の急激な変化

などが大きな原因かと思います。
あんなに楽しく過ごしてたのに、どうしてこんな風になってしまったのかなと、ふと寂しい気持ちもあるのですが
なんだか仕方ないなーという気持ち(諦め?)もあります。

そんな気持ちでしたので、離婚をかなり真剣に考えた時期もあったのですが、決定打はないよねとお互いに話してそこで止まりました。
経済的に余裕があるわけではないので、離婚による経済的デメリットしかないということは理解しているし。
なんとなく、婚姻関係解消するほどのエネルギーと気持ちを持ち合わせないまま、いまに至ります。

そんな時、この本を手に取りました。


国内外のデータをもとに昨今の離婚事情を解説してくれています。
明治時代は離婚が多かったけど、民法制定のあとは離婚が減ったとか。
男女が自然にしていると、出会うことも別れることもあるわけだから、法の下の婚姻関係はそれを長引かせる機能があるらしい。

社会制度、結婚制度がいまの私たちの意識に追いついていないといったことが書かれています。

実は、離婚問題は夫婦のプライベートな問題だけではない気がしていました。考え方が違うし、むかつくーとかそんな次元ではない何かがあるんじゃないかと。
それをこの本では、客観的な視点である程度の社会的原因を示してくれていると思います。

個人的には夫婦別姓、同性婚は当然だと思うし、フランスみたいな事実婚が法律婚に近い権利が得られるといった話に魅力を感じる。また、父母の共同養育権も然るべきだと思う。日本でももっとこういった制度を整えてくれないと、安心して子供を産み育てるなんて本当に難しい。
娘ふたりを育てている立場としては、一向に女性の社会的立場が改善されない景色を絶望的に見ている。こんなジェンダー問題も、あくまでも「昭和男子」でいる主人を、残念な気持ちでみてしまう要因かもしれない。
私は娘たちを、海外に行っても通用できる人材に育てたいと思うけど、彼にはそんな危機感は全くない。
私がそんな焦燥感に駆られて、娘たちの受験期などを迎えていると
親が何をそんなにがんばるの?といった感じ。
おいおい国際社会は待ってくれないのだよ。日本の学力低下は明白だし、人口減少で国力も衰えていく。危機感がないほうがヤバいだろうと。

でも、子育てって本当はそんなこと気にしないでもっとのびのび育てるほうがいいに決まっています。小さなころはそうやって、夫婦二人で協力して楽しく子育てをしていました。でも子どもたちが成長し、進路進学が絡んでくると悠長に構えていられなくなってしまいました。

友人・知人の離婚もいくつか見てきて、もちろんプライベートな理由はあるけれど、社会情勢、経済的理由などもやっぱりどこかで絡みついているのではないかと思わされます。

この本に離婚の答えはないけれど、なにげに個別の問題だけではないんだよ、ってことが理解できたことで、ちょっと気が楽になった気がします。
私が至らないから、こんな風になってしまったのか、ともんもんとすることもあるから、
やっぱり仕方ないんじゃない?と、とりあえず肩の力を抜いて客観的に離婚というものを考えるいい機会でした。
離婚について考えている人には、冷静になれる良書ではないかと思います。


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