【Caitlin's】帝国の塊に吸収されたもう一つの国
バッシャール・アル=アサドはシリアからモスクワに逃亡し、ロシアから亡命を認められたと報じられている。アサドを追い出したアルカイダ関連組織は、ダマスカスで「ムジャヒディーン(mujahideen)」の勝利を宣言した。バイデンも ネタニヤフも政権交代を支援した手柄を主張しており、もちろんトルコのエルドアンも大きな手柄に値する。
しかし、西側の主流の言説では、これを米国とその同盟国が支援した政権交代作戦と呼ぶことは、いまだにタブー視されている。何年も何年も真逆の証拠が積み重ねられてきたにもかかわらず、私たちは皆、これがシリアの人々だけによる100%有機的な蜂起であるかのように装うことになっている。代理戦争、飢餓制裁、絶え間ない空爆、そして西側が支援した内戦後のシリアの復興を阻止するために、石油と小麦の供給を断つことを明確に意図した軍事占領を用いて、アメリカの武力同盟がシリアを粉砕するのを見た後でも、私たちはこのように装うことを意図しているのだ。
こう言うとみんな怒るが、事実だ。世界の大事件は、その結果に既得権益を持つ世界の大国の行動とは無関係には起こらないということだ。もし私がこう言うことで、あなたが不快に感じるなら、その不快感は認知的不協和(cognitive dissonance)と呼ばれるものだ。間違っていると感じることだ。
シリアにおけるアメリカの武力同盟の関与を指摘されるのが気に触るのかもしれないし、ハリウッド映画のように、勇敢な自由の戦士たちが自分たちの力で悪の超悪玉独裁者を倒したと信じたいのかもしれない。しかし、現実の人生はあなたの好みに合わせて動いてはくれない。現実の世界では、米国を中心とする世界規模の帝国が、そのような出来事に確実に深く関わってくる。
私がこう言うと、あなたは私が「シリア人の主体性を否定している」と信じたいかもしれないし、「主体性を否定すること」は人が犯しうる最悪の罪だと思うかもしれない。しかし、私が言っていることは、実際にはシリア人に主体性があるという考えと矛盾するものではない。アサドの退陣を望んでいたシリア人が大勢いたのは明らかだし、アサドと戦うために米帝とは無関係な独自の理由を持っていた人たちも大勢いたのも明らかだ。この明白な事実と、2011年の暴力が始まった当初から、アメリカの中央集権的な権力構造がシリアに深く入り込んでおり、その関与が今日のような事態を招いたという、十分に文書化された現実との間に矛盾はない。
ここから先は
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?