2.奪還！未払賃金！

労働条件通知書の重要性に続き今回は未払賃金について纏めます。

※未払残業とは性質が違うので別で纏めます。

給料日♪♪労働の対価が得られる日です。ルンルン♪♪
給料入ったらこれ買ったり―、恋人とのデート費用にしたり、または支払いに充てたり。給料が入る事を見越して色々予定をたてる事も多いと思います。その給与が…未払に…

未払賃金が起きる理由

僕が今まで手掛けた未払賃金請求は確認したら312社でした。

解決金は最小17,091円で最大は1,500,000円。
金額小さくても未払は未払なので全力闘争です。

未払の理由としては大きく２つ
1.　退職時トラブル
2.　支払う給与の原資がない（経営状態の悪化）

1.　退職時トラブル

これまじで多いです。
特に建築業と美容関係、使用者は個人事業主である事が多いです。
（1）お前のせいで損害でたから給与は支払わない
（2）退職代行を利用した報復行為
（3）あ？最後の月は手渡しだから取り来いよ！？ゴラァ！
（4）貸してた道具（機器）が未返却
（5）無断退職

そもそも（5）については1回使用者に「飛んじゃってすいません！」って謝らないと労働者として筋通ってないよね？って僕は言います。
それでダメならうち（組合）でやるよスタイルです。

労基法は賃金の支払方法は、
賃金は、原則として＊、
(1)通貨で、
(2)直接労働者に、
(3)全額を、同法２４②において
(4)毎月1回以上、
(5)一定の期日を定めて支払わなければならない
と規定されています（賃金支払の５原則）。
＊「原則として」とあるのは、賃金支払の５原則には例外がある。

バックレ（飛び）に給与払いたくない気持ちも少しわかります。
使用者と労働者は「権利⇄義務」の関係で成り立っているからです。

とりあえず（5）無断退職して賃金未払なら一回自分で連絡しましょう！

では、
（1）お前のせいで損害でたから給与は支払わない
（2）退職代行を利用した報復行為
（3）あ？最後の月は手渡しだから取り来いよ！？ゴラァ！
（4）貸してた道具（機器）が未返却

についてです。

（1）お前のせいで損害でたから給与は支払わない

これ建築業の個人事業主はよく使う必殺技です。
全国共通の奥義みたいになってます。
「お前が辞めたせいで人工入れたわー」
「お前が辞めた穴埋めで採用費かかったわー」
「お前のミスが発覚してうんちゃらかんちゃら～」
「社用車の修理費かかったわー」
僕から言わせてみると「知らんがな」でお終いです。
この手のケースは回収難易度レベル2です。
※最高難易度レベル５

★point
このようなやり取りになりそうなケースは電話でなくLINEやショートメールでエビデンスを残しておきましょう。

（2）退職代行を利用した報復行為

最近多いですね。退職代行を利用して退職できたが…給与が未払…。
退職代行業者に連絡したけど…「未払賃金は対応できない」...。
最近は営利法人による退職代行が増えてきてますがそもそも退職代行業者に交渉権なんてありません。

退職代行については以前から注意喚起をしています。

このケースは「感情」のトラブルです。
僕はよく労働問題は３Kですって説明をします。
「環境」「金」「感情」
この中で一番やっかいなのが「感情」です。

「退職代行なんて使いやがってこの野郎！労基上等！未払上等！」
これが大半です。純粋に退職したい時は「退職願い」を提出して辞めるのが良いと考えています。引き止め等にあったらそれはそれで相談して下さい。
このケースはまず経緯記載の書面から入り使用者と団体交渉して解決に導きます。回収難易度レベル2。

（3）あ？最後の月は手渡しだから取り来いよ！？ゴラァ！

行きますけど！？。同行しますけど！？。
今まで同行した件数はもう覚えてないです。
去年九州のとある県で高圧的な対応をする法人がありました。
退社した女性従業員を脅しまくって「取りこいや」系です。
なら僕が同行しましょってなったんですが前日にコロナ陽性に…
ですがそこは組合の強さです。代役を立てました。
そのやり取りはこちら。
当日、本社のはずが社労士事務所に変更。
「これハメ呼びか？」って思いましたが無事回収。
金額も謎に85,000円程増えてましたｗ

あとムカついたら争議行為します。株式会社、有限会社でこのケースはほぼありません。これまた個人事業主です。
相手が個人事業主の場合はまず自宅を抑えます。
なぜか？
近所にビラ撒くからです。ビラを撒く前は争議行為の予告はしっかりしておきます。

組合が行う争議行為に関してはこちらを参照して下さい。
https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/6026/00000000/061.pdf

（4）貸してた道具（機器）が未返却

もう「はいはい」としか言えない。
会社の所有物を貸与するときには「貸与に関する誓約書」があるのが一般的です。ただ現実的にはあまりお目にかかりません。
「貸してた道具（機器）が未返却や！窃盗だ！」って言われる事が多々ありますがその場合は…
「被害届出せよ、ぼけ」で終了です。
あとは個人事業主名を開示して徹底争議行為です。
取引先を元従業員から聞き出して片っ端から電話します。
「未払賃金を支払う事に合意します」って言うまで調べた番号には毎日電話します。Facebookの友達にもメッセージを送ります。
※回収難易度3

2.　支払う給与の原資がない（経営状態の悪化）

これは倒産（廃業）してもらいましょう。
※ちなみにほぼ倒産でも法人口座の出入金がある場合は事実上の倒産とは認められないです。
未払賃金立替払制度の概要と実績

一昨年、新卒を巻き込んだ大倒産劇がありました。
連絡とれねぇなーと思って事務所行ったら…
破産管財人弁護士がある意味、占有状態です。
これは悔しかったです。
※Fridayでも記事になりましたね
このケースは回収は国の未払賃金立替払制度を利用するしかないです…

未払賃金回収のポイント

1. 　使用者とは連絡とれる状態にしておく

2. 　未払理由を把握する

3. 　督促は毎日行う

4. 　誠実に対応しない場合、ご相談下さい！

次回は解雇についてです。
最後までお読みいただき有難う御座います。

文章苦手ですが少しでも皆さんのお役に立てればと思っています。