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【詩】調和、共感・2 of Cups

単一性のモナドは
拡張してデュアドになった
父なる1から
母なる2へ

一者は原初なるものだったが
単一性から離脱した2は
多様性の原型となり
諸元素たちの母となった

カップは愛であり
美であるところのもの
受容を表すスートだった
また水という
感情を表す元素と
結びついている

愛であるものと
女性性である2が出逢うとき
そこには感情的な結びつきが生まれ
調和と共感のさざ波が広がってゆく

描かれた男女は
愛という感情の注がれた
杯を交わしている
その背後には
獅子頭と翼のついた
カドゥケウスの杖がある

翼を持つ獅子は
起源をペルシャの時の神
ズルワーンに遡ることができる
またの名をアイオーン
獅子の頭を持ったこの神は
永遠性を表す蛇を体に巻き
背には大きな2枚羽根を持っていた

大いなる時の神への信仰は
やがてヘルメス信仰に流れてゆき
カドゥケウスの杖という
錬金術のシンボルになった
男性性と女性性という
相反する対をなすものすべての
融合のシンボルとなった

男性と女性
太陽と月
光と闇
生と死
天上界と物質界
霊と肉体……

このカードは単なる男女の
愛の成就のみならず
対極に位置するあらゆるものが
表面的な差異を克服して
融合するという
秘密の教えに通じている
そこにこそ
永遠性の鍵があるのだ

大アルカナでは
男女の融合を表す
「恋人」のカードがあったが
カップの2では
まだそこまでは成熟していない
出会ったばかりの男女が描かれる

ふたつのものの結びつきは
始まったばかり
遠くに結婚の予感を含んだ
始まったばかりの
パートナーシップを表すだろう

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