7月19日編集者日誌:レシピ本のメニュー決め
レシピ本を作ることと座組を決めた後、いちばんにしなくてはならないことは、何よりもメニュー決めです。
【メニュー決め】
本の企画に沿って、料理家さんにメニュー案をオーダー。「おかず50品」などではなく、「10分以内でできそうなもの10品、ごはんが進みそうなおかず10品、おつまみにもなりそうな軽いもの10品」のように細かく伝え、それよりも少し多めに出してもらいます。その後は相談しながら取捨選択。
というわけで、このごろわたしは夏に撮影する本のメニューを決めていました。
料理家さんからあがってきたメニュー名と簡単な作り方を見ながら、ビジュアルが似そうなものを省いたり、見せ方を工夫したい旨を伝えたり、レンチンにできますか?とか、もう少し材料を減らせますか?とか、こちらの材料に変えてもらえますか?こんなものは作れないでしょうか?など、わたしからもアイデアを出して、作り方と掲載メニューを固めていきます。
今回作っているこの本は、少し少なめで50〜60品。通常は80ほどが平均…かな?厚めの本だと100や200品になることもあります。
掲載するメニューが決まったら、今度はページの並びを考えていきます。
たとえば、にんじんしりしりとにんじんのグラッセは見開きで左右にあったほうがかわいい場合もあるし、にんじんが続くなあ…分散させようか、というときもあります。
このへんは企画内容と他のメニューとのバランス、あとは割と好みとデザインの方向性から決めています。
ここで決めたページ構成の通りに進むことも多いのですが、撮影のとき実際に料理を見たインスピレーションから「こっちの並びのほうがいいから変えよう!」ということもあるし、デザイナーさんが写真を並べてみて、「変えてもいいですか?」ということもあります。
あとは、1ページに1品だったのに、2品を合わせて1カットで撮ったほうがかわいいよね!と現場で盛り上がり、そのページだけ構成が変わることも。
なにしろ料理を見てみないと、撮影してみないと、最終的なことはよくわからないので、あくまで暫定。
メニューも、実際見てみたら上にゴマがほしかったなとか、もう少しタレ多めがいいですね、みたいなことも出てくるので、最終レシピは撮影後にいただきます。
並びが決まったら台割に落とし、何ページに何の料理がくるのかを全員が把握できるようにします。
そこまでできたら、料理家さんはいよいよ試作に移ります。
試作の意味合いとしては、それぞれの分量を出すことはもちろんなのですが、スタイリストさんが試作時のお料理を見てお皿の深さやサイズを決めるので、試作のときは写メしていただくことが多いです。
ちなみに著者となる方が料理しない場合…というのもおかしな話に聞こえますが、実は著名で忙しい方だったり、撮影時の調理はしたことがない方だったり、遠方の方、まあ諸々の事情がある場合は、著者さんにはレシピだけご提出いただき、フードさんと呼ばれる人たちが撮影の調理をすることもあります。
また、その方のアイデアやパッケージだけお借りして、フードさんと協力してレシピを考えるところから作り込む場合もあります。
やっぱり、レシピ本の調理って特殊なんですね。
レシピ本の撮影は、場合にもよりますが、だいたい長くても4日間なんです。たとえば3〜4日で100品撮るとなると、1日25品。1品30分としても12時間半。
仕上がりの写真だけじゃなく、作っている工程も撮るとなるとカット数が増えます。それ以外に材料カット、あとがきなどで使うイメージカット、著者さんのプロフィール写真…となると、もう大変。
フードさんにアシスタントが何人つくかにもよりますが、フードさんひとりなら1日に25〜30品が割と集中力的にも限界なんですよね…まあ、なにを作るかにもよりますが…。
なので、殺気だって料理しないと間に合わないんです笑!わたしは編集以外にフードの仕事もしているのですが、1日25品くらいでご勘弁をー!ってなります。
しかもだいたい1メニューを2回は作れるよう材料を用意するので、買い出しも膨大です。フードはなかなかの体力仕事なんですね。
というわけで長くなりましたが、フードさんが入るときは、料理家さんからいただいたレシピをフードさんに渡して試作してもらい、撮影に備えていただいたりします。
とはいえ、80品100品というお料理を先に試作してねというのも大変だし、そこまで特殊なレシピでない限りはぶっつけ本番のときも多く…ですが以前「料理家さんのレシピ通りに作っているのにそうならない!なんだこのレシピは!」となった現場があると耳にして、それはそれは恐怖を感じましたよ…。
なので、試作なしでフードとして入る場合でも、もちろん事前に何度もレシピに目を通してイメージしておくし、心配だなと感じるメニューはやっぱり作ってから撮影にのぞみます。
わたしは自分が編集する本の調理を担当することもあれば、編集はしないけど調理だけする、編集はしないけどライティングとフードを担当する、ということもあるので、そういうときは編集さんと連携をとって進めています。
よく「自分のレシピ本を出せばいいのに〜!」と言われますが、いやいやとんでもない!!なわけですよ。フードコーディネーターと料理家はまったく別の仕事ではないかとわたしは思います。まあ、かなり個人差あるとは思いますが。
わたしは、フードとして決まったレシピを作ることや、まあ50品くらいまでならがんばってレシピ出せますが、やっぱりレシピ本のレシピを何十も考えるのは特殊能力。
料理家さんからあがってきたメニューやレシピを見るたび、すごい…と感動し、自分にはできないわ〜とお手上げしてしまうのでした。
まあそんなわけで、今回の本もようやくメニューが固まりまして、かたちが徐々に見えてきました。
次回は、カメラマン、デザイナー、スタイリスト、料理家さんを交えて、具体的にどんな世界観で撮影していこうか?を相談します。
お楽しみに。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?