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5月6日編集者日誌:レシピ本の座組

連休が終わる。
と同時に、夏に向けてやらなくてはならないことが音を立てて近づいてくる。

今年の夏、わたしは大切なレシピ本の撮影をひとつ抱えている。いや、どの本も比較できないくらい大切なのだけど、自分が考えた企画はやっぱり大切さが少し上で、不安も大きい。

版元さんが企画にのってくれたからといって、わたしが考えた本に何百万もかけてくれるのだ。もし売れなかったらどうしよう、思い通りに作れなかったらどうしよう、うまくハンドリングできなかったら…という気持ちに押しつぶされそうになる。

特に今回は、カメラマンさんもデザイナーさんもスタイリストさんも料理家さんも、座組はわたしが決めさせていただいたので、責任重大。幸いみなさんいちばんにお願いしたいと思う方々にご快諾いただけて、スケジュールにも問題なし。もうそれだけで安心感100倍。

【座組】ざぐみ
企画や事業などに関わる人々。プロジェクトのメンバー。

レシピ本って文芸やビジネス書などと違って(でいいかな?)、たくさんの人がかかわる。写真、デザイン、スタイリング、料理、文章、ときにはイラストや栄養価計算。すべてのものが揃ってこその一冊で、誰が欠けてもできない。

どんなにいいレシピが上がってきても、素敵なスタイリングで撮らないと食べたい料理に見えない。肉眼で見て素晴らしいスタイリングでも、それが活きる写真が撮れないと意味がない。写真の上がりがよくても、デザインがひどかったらまず手にとってもらえない。他のすべてがよくても、どうやって作るんだかちゃんと説明できる文章でなかったら、作ってもらえない(まあ、そこはわたしの仕事だが)。

どの人も大切だし、自分が作りたい世界観を共有できるかも大事。ちなみにわたしはデザインセンスがあまりないので、そこに意見を言ってくれる強い人が好きだったりする。餅は餅屋だもん。「吉川さんが考えた感じよりこういう感じの方がいいよ」とハッキリ言ってくれる人は貴重。どんな場面でも議論できる人と仕事したいし、いい歳だが怒られたい。

というわけで、企画が走り出したあとはまず座組を考える。どんな企画ならどんな方が活きるのか。自分が作りたい本にしてくれるのはどなたなのか…。

と考えると編集はたくさんの人を知っている方がいい。「〇〇さんとかどうですか」と聞かれたとき、できればその人の作品を1冊くらい思い浮かべたいし、せめて名前だけでも見たことがあるところにはいたい。誰がいますかね?と聞かれたら、何人か適任だと思う人を挙げられるようにしたい。

なので、レシピ本のクレジットはわりとよくチェックしている(これは昔から趣味みたいなものでもあるが)。

ちなみに、まだ料理本とは違う仕事をしていたころ、わたしがいつかレシピ本を作ることがあったらあの人にお願いしたいな、と思ってた方がふたりいる。

ふたりともカメラマンで、ひとりはwebの記事でご一緒し、もうひとりは広告でお世話になった。つまり、まだ本の制作はできていない。

おふたりともとても個性のある写真を撮る方なので、企画ありきだとなかなかお誘いできず、いつかおふたりの写真を軸に企画を作ってみたいと思っている。

でもまずは、夏の撮影に向けてしっかりやらないと!

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