「会津木綿手づくり工房 MON&MARI」でオーダーサコッシュを作ってもらった話
会津木綿をご存じだろうか?
会津木綿は福島県会津地方の伝統工芸品で、古くから野良着などとして会津の人々の生活になくてはならない織物だった。
現在、織元は会津に3カ所だけという貴重な産業となってしまったが、根強いファンとクリエイターに支えられている。
2020年7月、会津木綿を使って登山用のサコッシュをオーダーメイドで作ってもらう機会があった。
製作者は南会津町で「会津木綿手づくり工房 MON&MARI」を開いている佐藤成美さん。
成美さんとは、2020年4月に都内で開催予定だったイベント「Eyes on 會津 Fukushima」の打ち合わせに密着取材をしたのがきっかけで知り合った。(残念ながらイベントはコロナで中止になってしまった・・・。)
その後、地元メディア「あいづっぺでぃあ」のインタビュー取材で工房にお邪魔させてもらったときに、サコッシュの制作を依頼させていただくことに。
【会津木綿手づくり工房MON&MARI】「わたしが欲しいものは、わたしがつくる。」会津木綿から生まれる無限のクリエイティブ。
会津木綿の魅力に取り憑かれているという成美さんからお話を伺い、会津木綿の特徴を知れば知るほど、登山が好きな私は思った。
「会津木綿を山で持ち歩きたい!」
なぜそう思ったかというと、会津木綿は木綿の一般的なイメージとは正反対だからだ。
木綿と聞けば肌触りがよくて柔らかそうなイメージを持つが、会津木綿の特徴はなんといっても堅牢さである。
糊付けされた糸で織られた生地は、厚みがあって洗濯機でガシガシ洗っても縮みにくく強い。
さらに、生地に空気が多く含まれるため、汗をよく吸い込み保温性にも優れるので、服にすれば一年中着られる。
見た目も素敵だ。
会津木綿の独特な縞模様のパターンは組み合わせが無限で、洗っても色褪せしにくい染料を使っているから鮮やかな色のまま楽しめる。
すぐさま私は成美さんにサコッシュのイメージを伝え、オーダーさせていただいた。
MON&MARIではアウトドア向けのバッグは作ったことがないということで、試作を兼ねてのオーダーメイドとなった。
私が注文したことは以下の5つ。
・胸の前にサコッシュがくる長さで、体に密着するようにしてほしい。(山を歩く時、脚とザックのベルトに緩衝しないように。)
・口はファスナーではなく、折り曲げて蓋になるようにしてほしい。(サッとすぐにモノを取り出したいから。)
・マチ付きで収納力はある方がいい
・前面にスマホの入るポケット
・なるべく軽いほうがいい
サイズ感は既製品のサコッシュをお見せしてイメージを掴んでもらった。
使用する布のカラーや模様は、依頼した矢先に新型コロナウイルスが流行したためリモートで選ぶことに。
そして、完成したサコッシュがついに手元に届いた。
アウトドアで使うので遠慮なく派手にしようと、イエローの無地とグリーンの縞模様の布を選んだら、これが大正解!
(布を選んだときには無意識だったが、自然のなかの青葉や新緑や紅葉の色を少しずつ抜き取ったようなカラーだ・・・!)
裏地がついているにもかかわらず、総重量135グラムと軽量!
口折れ式の入口は、緩いカーブがかかっている。
分厚いところが重ならないように段差をつけることで、折ったときにすっきりするように考えられているのだ。
ちなみに、写真では普通の紐だが、あとからよりアウトドア感が出るようにパラコードとカラビナに替えてある。)
開いてみると、中にも秘密が。
そう、仕切りがあるのだ!
これも深~~~~いこだわりがある。
なぜポケットではなく、仕切りなのか。
細かいことではあるが、ポケットは小さいうえにたくさんモノを入れるとバッグが安定しなくて煩わしさがあるのだ。(実はオーダーするときにポケットの不満を話していた。)
それならば、サコッシュ自体に仕切りを作ったらという願望を成美さんがそのまま形にしてくれた。
実際に使ってみると、この仕切りがかなり使いやすい。
行動食と、ハンカチや財布、マップなどを分けて入れられ、上から見たときも何が入っているかすぐにわかる。
もちろん、肩に掛けているときも置いたときも安定する。
この仕切りシステム「通称:しきらっちぇる(会津弁で仕切られてるの意)」はMON&MARIさんが開発したというからスゴい。
会津木綿サコッシュは、もちろん登山で大活躍している。
たくさんモノを入れても丈夫だし、汗をかいてもサラッとしている。
毎回、帰宅したら服と一緒に洗濯機に放り込めばいいだけだ。
5回ほど洗ったがびくともしないし、糸もほつれてこない。
これは会津木綿の堅牢さだけでなく、MON&MARIさんの縫製技術あってのことだと思う。
(ちなみに、会津木綿は天然素材なので猫にもやさしい。)
2020年に購入したアイテムの中で、一番気に入っているのは間違いなく会津木綿のサコッシュだ。
今は会津地方を離れているが、会津のモノや会津の空気感がたまらなく懐かしい。
このサコッシュが、いつでも会津を思い出させてくれる。
登山を楽しむことも難しかったコロナ渦の自粛期間に山に登る楽しさを忘れずにいられたのも、このサコッシュのおかげかもしれない。
会津に行くことはかなわないまま年を越すことになりそうだが、こうしてモノを通して会津とのつながりを感じていこう。
「会津木綿手づくり工房 MON&MARI」の佐藤成美さんの作品・オーダーは↓こちらから↓
Web shop:https://monandmari.minamiaizu.shop/
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