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図書館が書店の売り上げを食っている?

こんばんは。
企画書を作成していたら、思考がフリーズしてきたので
気分転換にnoteの記事を書いています。

我が家には現在、小さい子どもが3人います。
そのため、寝かしつけた後仕事をしようと頑張ってみるのですが、
その後の脳みそは、ある部分は動くのですが、ある部分はフリーズしてしまう(同じ「書く」にしても記事は書けるけど、企画書は書けなくなってしまう…面倒な頭だ)。
結局諦めて翌朝起きてやってみるか…と思うものの、寝過ごしてしまう。
そして自己嫌悪…まあ、そんな感じです。

普段はビジネス書の編集をやっていますので、
そうした自分の経験も含めてビジネステーマになるかな、と前向きに捉えるようにしています。
「仕事をしていて、こんなこと悩んでるんだけど…」
というテーマがありましたら、是非お気軽にコメントやご連絡をいただければと思います。

X(旧twitter)でも情報発信をしているので、お気軽に覗いてみてください。

さて、Xといえば、下記の記事が、(出版業界内で?)話題になっています。

要は、ベストセラーを図書館が購入すると、本来書店で買っていただく分が売れなくなってしまい、書店が苦境に立たされている、と。

これについて、識者の方々の反応も様々です。

本を書くことをお仕事にされている方の場合、業界全体の売り上げが下がることは死活問題。
出版社の編集者としても、本の制作に関わっていただく方々にお金をお支払いするわけですが、本が売れてくれればもう少し多くお支払いできるのに…と思うこともあるわけで。

一方、こういうご意見も。

図書館の活動に対して、政治が介入することへの危惧を表明されている方も多いです。確かに、「こういう主張をする本を購入しないように」と政府が圧力をかけるようなことはあってはならないと思います。
無論、そういうことではない、と説明されると思いますが、現実に介入されるかどうかというよりも、「その余地が生じてしまうことへの懸念を表明しておかないと後々危ない」という観点も重要です。

難しい問題ですね。
同じことに関心があるようでいて、見ている世界が全く違う。
一方ではビジネスとしての出版をどう捉えるかという話、
もう一方では表現に対して政治が介入することへの危惧という話。

それぞれ重要な問題提起ではあるものの、もう少し交通整理をしなければならないかもしれませんね。

また、こういうご意見もありました。

これは確かに、と思います。学術書の出版社とビジネス書の出版社、両方での勤務を経験した者としては、会社(や本の性質)によって図書館の見え方が全く違うということがわかるのですが、
図書館で売れればいい、と思って値付けをしているものと、多くの人に買っていただきたいと思っている本とでは、全く企画の作り方自体の考え方が違うのです。
それは、値段や刷り部数にも反映されます。
収益化の仕組みが大きく違うので、同じ本として括るにはかなり無理があると言っていいような気がします。

大手出版社や、学術書版元でも比較的金銭的に余裕のある会社は、このモデルで納得するような気もします(返品時期との関係で重版の読みが難しくなるという問題もありますが)。
一方、自転車操業で企画を出して得た運転資金で次の本を…という会社の場合、購入タイミングが遅れるのはやはり辛いでしょう。

前提としては、こういうところなのかもしれません。

かつて専門書の編集に従事していたからなのかもしれませんが、図書館には、専門書をしっかり揃えておいていただきたい、という気持ちがあります。
あとは、生涯学習の拠点になって欲しいという気持ちもありますし、イベントや展示なども非常に楽しみにしています。
利用者の満足度は非常に大事な評価要素なのですが、でもそれって、ベストセラーをすぐに借りられるかどうかなのかというと、ちょっと違う気がするのです。

絶版になっていて書店では手に入らない専門書を調べようと思うと、やはり図書館は重宝します。
情報としての本へのアクセスの機会が担保されなければならない、そのために図書館が果たす役割は大きいと思う一方で、一般向けに売り出している本は、買っていただけるように、相当安い値段にしています。それが売れなくなると、仕事として成り立たなくなってしまうのです(もちろん、企画ごとの成功、失敗は別の話ですが)。
本の編集に関わっている人間としては、本の値段というのは、投下した労力や得られるベネフィットに対して安すぎると思っています。
だから本当はもう少し値上げした方がいいのですが、そうすると売れなくなってしまう…。ネットには無料の情報やコンテンツが溢れているのですから。

広告モデルのネットコンテンツとは違い、本は(図書館購入分も含めて、ですが)買っていただくことで成り立っているという現実があります。
もちろん、今は多くの人がお金も時間もないと言っている時代。その中で、もっと買って欲しい、というのはやや言いにくいような気もします。

でも、「売れますように!」と思って一生懸命工夫して編集した本を方々でPRしたところ「図書館で借りて読みました!」と言われたら、やはり複雑な気持ちになります。
僕の仕事にはお金を払ってくれないのに、他の何かにはお金を払うのか…ということです(苦笑)。

お金の話をするのは下品、という文化は出版業界にも強く残っていますし、私も正直、お金の話は苦手です。
でも、本の売り上げで食べている人たちがいる、というのは紛れもない現実です。そのことへの想像力を、多くの人に持ってほしいと思います。

今回の記事はお金の話に加えて政治的な判断も入ってくるので、結構難しいなあ、と思って書きました。
絶対の正解だと思っているわけではありませんが、多くの人がハッピーになれにはどうしたらよいかを考えていくことが大前提だとは思います。
その中で、自分たちも食べていくためにどういうところが落としどころになっていくのか、もう少し様子を観てみたいと思います。


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