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なんでじゃがいもの防除に、こんなにいろんな農薬が必要なのよ!と調べてみた件

どんどん大きくなってくるじゃがいも。高畝にズラッと並んでいる緑の葉を見ているとなんだか気持ちがいい。いい調子じゃないか。上出来、上出来。こうなると病気や虫にやられたくないという思いが強くなってくる。

ということで、今日、防除を始めることにした。

今回使った薬剤は「ゾーベックエンカンティアSE」。やたらと名前がかっこいい農薬だ。かかった葉っぱだけでなく新しく出てくる葉にも効果がでる浸透移行性を持っている。その上、耐雨性と残効性(7〜10日後に次の防除が目安)に優れているらしい。


「ほうほう、素晴らしい。それではじゃがいもの防除にはこのゾーベックを基本的に使っていけばいいんだな」

とはならないのだ。


今回、さいこうファームで参考にしている網走農業改良普及センターの資料によると、防除スケジュールはこんな感じ。

種いも消毒:モンカットフロアブル40、銅ストマイ水和剤
萌芽揃〜6月中旬:ゲットアウトWDG、グリーンダイセンM水和剤
着蕾期6月中下旬:リライアブルフロアブルまたはゾーベックエンカンティアSE
開花期7月上旬:フロンサイドSCまたはグリーンダイセンM水和剤、ビレスコ顆粒水和剤
7月上中旬:ホライズンドライフロアブルまたはブリザード水和剤
7月中下旬:プロポーズ顆粒水和剤またはランマンフロアブル
7月下旬:グリーンダイセン水和剤、フジドーLフロアブルまたはアグレプト液剤
8月上旬:リライアブルフロアブル、コサイド3000またはスターナ水和剤
8月中旬:ランマンフロアブル
8月下旬:グリーンダイセンM水和剤
9月上〜中旬:レバースフロアブルまたはランマンフロアブル

「種類、おお!」

じゃがいもを病気や虫からしっかりまもるためには、こんなにいろいろな薬剤が必要らしい。今年が一年目のさいこうファームは、まずはできる限り基本に忠実にいこうと思っている。

「にしても、種類が多いな。いろいろ揃えるとお金もかかるし、効くなら同じのぶっかければいいんじゃないの?農薬会社の回し者なんじゃないの?」

とちょっと思ってしまうが、調べてみるとそうでもないようだ。

キーワードは「耐性菌」だ。

人間がかかる病気では耳にすることも増えてきた薬剤耐性菌。これは、農作物に感染する病気においても問題になる。ヒトの病気と同じで、同じ薬ばかりを使っているとその薬に強い菌ばかりが生き残り、ついにはその薬が使えなくなってしまうのだ。この耐性菌の管理をしている国際機関がある。それがFRAC(Fungicide Resistance Action Committee)だ。FRACが動画で簡単にこのことをまとめてくれていた。しかも、日本語!

「なるほどねぇ。でも本当に耐性菌なんてでるのかねぇ、FRACも世界的な農薬会社同士で作ったみたいだし。ねぇ」

と思ってちょっと調べてみると。じゃがいもがあっという間に枯れていく恐ろしい病気「疫病」において、実際にフェニルアマイド系殺菌剤の耐性菌が発生してしまった例があった。

https://www.hro.or.jp/list/agricultural/center/kankoubutsu/syuhou/74/74-2.pdf

「うーむ、やっぱり耐性菌うまれるのかぁ」

ということで、これ以上耐性菌を増やさないためにも、いろいろな薬剤をローテーションして防除をする必要があるようだ。

ぼくらも必要な農薬はそろえよう。美味しいじゃがいもの未来のためにも仕方ない。

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